【吉例 秋の時代小説感謝祭】梶 よう子/霧島兵庫/志川節子/武内 涼/永井紗耶子/矢野 隆
小説新潮 2017年10月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2017/09/22 |
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JANコード | 4910047011074 |
定価 | 947円(税込) |
吉例 秋の時代小説感謝祭
■目次
【吉例 秋の時代小説感謝祭】
――夜は長くなり、さりとて寒すぎもせず。そんな時節に似つかわしいのは、やはり時代小説。目頭を熱くし、胸躍らせる逸品6編と、秘話満載の対談をご用意しました。
◆志川節子/芽吹長屋仕合せ帖 背中
――魚売りの縁組を買って出たおえんだが、何か腑に落ちない
◆武内 涼/もう一人の源氏 敗北者たち
――三代将軍実朝暗殺。空位となった将軍職へ推されたのは
◆霧島兵庫/フラウの戦争論 ライプツィヒの狐
――軍歴を飾るべく、参謀総長の座を狙うクラウゼヴィッツは
◆永井紗耶子/ちょぼくれの女
――大奥での舞の指南など名誉なことなのに、私の心は晴れず
◆矢野 隆/耕書堂モンパルナス 其ノ弐 しょう吉が迷う
――書きたい物が書けない鬱屈で、己がどんどん捻じ曲がり
◆梶 よう子/木馬と牡丹 みとや・お瑛仕入帖
――お花に人捜しを頼まれたお瑛。面識のない兄だと言うが
○二大対談
◆藤沢周平没後20年記念対談
上橋菜穂子×遠藤展子(藤沢周平氏長女)/橋の向こう側
――人気作家と愛娘が語る、藤沢作品の魅力とその味わい方
◆朝井まかて×浅野秀剛(あべのハルカス美術館館長)/葛飾父娘に魅せられて
――作家と研究者、それぞれの立場から迫る異能の絵師の人生
【新連載小説】
◆乙川優三郎/二十五年後の読書
――女は旅を生業に生きてきた。カメラマンだった男は作家になった。もう一人の男は日本を去った。女は今、酒に活路を見出す。男たちは……
◆高田崇史/姫神の葬祭―天照大神暗殺―
――宮崎県・高千穂の収穫を感謝する祭りである「夜神楽」で、舞手の一人、杉橋吾郞が首を落とされ殺された! 犯人はなぜこんな殺し方を?
【新連載ノンフィクション】
◆高野秀行/謎の未確認納豆を追え!
――アフリカに、納豆に似た食品がある!? 果たしてそれはどんな食べ物か、そしてそれは本物の「納豆」なのか。壮大すぎる〈納豆をめぐる冒険〉!
【特選読み切り小説】
◆井上荒野/ペルー
――「ユムヨーコ」、二人セットのいじめは段々エスカレートし
◆篠田節子/肖像彫刻家 雪姫立像(りゅうぞう)
――回向院の雪姫様が動く? まさか、あの像を作ったのは私だ
◆桜木紫乃/幸福論 シリーズ最終回
――膨れるお腹、安定した生活。幸せといってもいいのだろうか
◆木皿 泉/雨雲
――小五の息子が残虐なSF小説を書いていることを知ったチカダは
◆野中 柊/ゴールデンレコード 猫をおくる
――猫の火葬という仕事について七年。天職なのか修行なのか
◆本城雅人/人事の風
――社会部同期、全員デスクに昇格。早速スクープを繰り出すが
◆小松エメル/白い箱 銀座ともしび探偵社
――助けた老爺がくれた箱の中身は、ぼくの欲しい物らしいけど
【連載第二回】
◆白石一文/ひとりでパンを買いに行く日々に
【小説新潮作家名鑑】
◆志川節子
――オンとオフ、好きなものに囲まれて見せる、飾らない素顔
【バラエティコラム】
〈マイルーティーン〉 pha
〈いつか住みたい街〉 中島 淳
〈もういちど会いたい〉 吉田亮人
【連載コラム】
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助/〈医療・介護〉杉江松恋/〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【第四回新潮ミステリー大賞】
決定発表
選評 伊坂幸太郎/貴志祐介/道尾秀介
【好評連載小説】
あさのあつこ/ハリネズミは月を見上げる
石田衣良/清く貧しく美しく
乾 緑郎/杉山検校
窪 美澄/トリニティ
西村京太郎/広島電鉄殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
野口 卓/大名絵師写楽
早見和真/ザ・ロイヤルファミリー
薬丸 岳/刑事弁護人
山本一力/船旗を替えよ!
山本文緒/自転しながら公転する
【連載エッセイ】
Oka-Chang/へそのお
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
武田砂鉄/ポジティブ・ファシズム
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
西 きょうじ/そもそも
群 ようこ/じじばばのるつぼ
第十六回「小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞」決定発表
第五回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
百年目にがんばる「綺堂の後輩」たち
時代小説の魅力は読者によって様々でしょうが、私の場合は、決して訪れることのできない過去の時代を体験できるという一点に尽きます。捕物帳の鼻祖である岡本綺堂の「半七捕物帳」が書き起こされて今年で百年。江戸の空気を鮮やかに甦らせた綺堂の後輩たちが、特集「秋の時代小説感謝祭」で腕を振るっています。志川節子、武内涼、霧島兵庫、永井紗耶子、矢野隆、そして梶よう子の各氏の意欲作で、百年目の達成度を確認してみて下さい。
そして今月は対談も豪華。実は藤沢周平作品の大ファンだという上橋菜穂子氏と藤沢氏の長女・遠藤展子氏。『眩』で北斎の娘・応為を描いた朝井まかて氏と北斎の展覧会を企画したあべのハルカス美術館館長・浅野秀剛氏。二組の対話は時代小説の面白さを倍加させます。
乙川優三郎氏「二十五年後の読書」と高田崇史氏「姫神の葬祭―天照大神暗殺―」、高野秀行氏のノンフィクション「謎の未確認納豆を追え!」の連載もスタート。
小説新潮編集長 江木裕計
次号予告
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。