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【お年玉 読み切り短編大特集】
畠中 恵/三浦しをん/島本理生/小川 哲/益田ミリ/木下昌輝/赤松利市/諸田玲子

小説新潮 2020年1月号

(毎月22日発売)

特別定価1,100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/12/21

発売日 2019/12/21
JANコード 4910047010107
価格 特別定価1,100円(税込)
■目次
【お年玉 読み切り短編大特集】
畠中 恵/また会おう しゃばけシリーズ
――草双紙の中から手が飛び出した! 若だんなが掴まれて――

三浦しをん/希望はいつも色がない
――家の中は必ずきちんと綺麗に。でも私の目に映る室内は……

島本理生/すごく暗くて、明るかった森
――好意を示す青年の向こうに、まだ、愛した人を探している

◆小川 哲/十二月二十五日
――母が残したクリスマスプレゼント。本当にこんな場所に?

益田ミリ/念のため
――台風が近づく中、新幹線でラグビー観戦に臨んだまどかは

◆木下昌輝/戀童れんどう夢幻 性の章 中編
――千宗易は茶の湯の完成を望み、ある計画を練っていた――

赤松利市/宿無し
――上野から浅草へ。僅かな金とともに最底辺を流浪する六十男

諸田玲子/ちよぼ 連作新シリーズ
――気丈で、無邪気で、思慮深く聡明で。太陽のように周りを照らしながら混沌の世を生き抜いたその人の名は、寿福院。
【新春特別対談】
◆ちばてつや×道草晴子/『あしたのジョー』に背中を押されて
――13歳の時に「ちばてつや賞」を授けてくれた、漫画の恩師と22年ぶりの邂逅

【怒濤の新連載群】
〈小説〉
加藤シゲアキ/オルタネート
――円明学園調理部部長の蓉は、不安を胸に新入部員に向けたガイダンスを行っていた。少年少女の成長を描く群像劇開幕!
◯連載開始記念ロングインタビュー
作家生活十周年を前に――
――作家とアイドル。二つの顔を持つ注目の書き手が語る決意

山田詠美/血も涙もある
――尊敬する先生。その年下の夫を寝盗った助手の私。小説の名手が華麗に描き出すのは、美味なる「不倫」の世界。

〈エッセイ〉
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
――大好評連載が、堂々の凱旋! 違和感に満ちた現実を突き進む鋭さに、読めば読むほどクセになる。日常系エッセイの金字塔!
【連載第二回】
長浦 京/プリンシパル
筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉伊野尾宏之
〈わたしの愛用品〉北澤平祐
〈思い出の手料理〉月永理絵
【連載エッセイ・ノンフィクション】
阿刀田高/谷崎潤一郎を知っていますか 最終回
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
川上和人/オニソロジスト嘘つかない
酒井順子/処女の道程
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆清水克行/アナーキー・イン・ジャパン
高野秀行/謎の未確認納豆を追え! 最終回
坪内祐三/玉電松原物語
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
中野 翠/コラムニストになりたかった
平松洋子/プロレスは何を食べる
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
梓澤 要/華の譜 徳川和子と後水尾天皇
奥泉 光/死神の棋譜 最終回
織守きょうや/朝焼けにファンファーレ
梶よう子/東都の藍
黒川博行/熔果
桜木紫乃/緋の河 第二部
重松 清/十一番目の色 シリーズ「まなつ」
高杉 良/破天荒
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
花房観音/果ての海
葉真中顕/異郷のイービス
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
◆薬丸 岳/刑事弁護人
山本一力/ひむろ飛脚

第七回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2020」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

読まない選択肢ナシ 怒濤の三大新連載

 アイドルと小説家という二足の草鞋を履いて八年。話題となった『チュベローズで待ってる』など五作の長編、短編集を上梓し、旺盛な執筆活動を展開する加藤シゲアキ氏の新作が、小誌に登場する。タイトルは「オルタネート」。架空の高校生限定SNSサービスで結びつき、時に翻弄される三人の視点から語られる、瑞々しい青春群像劇だ。
 意外にも、小誌での小説連載は初めてとなる山田詠美氏の「血も涙もある」は、「私の趣味は人の夫を寝盗ることです。」という衝撃的な一文で幕を開ける。長いキャリアの中でもおそらく例のない「不倫小説」で、濃密な読書体験が期待できる。
 そして本誌連載エッセイ『僕の人生には事件が起きない』がヒットし、一躍「文筆芸人」となったハライチ岩井勇気氏が続編をスタート。微苦笑を誘う独特の文体はますます快調だ。
 以上、怒濤の新連載群、人気作家8氏の競作が並ぶ「お年玉読み切り短編大特集」ともども、年末年始のお愉しみとなれば幸いだ。

小説新潮編集長 江木裕計

お知らせ

「オルタネート」連載開始記念 加藤シゲアキ ロングインタビュー 作家生活十周年を前に——

2012年1月、『ピンクとグレー』で鮮烈な作家デビューを果たした加藤シゲアキ
以来、数々の話題作を世に送り出してきた。
作家生活十周年が見えてきた今、作家・加藤シゲアキが次に目指すものとは——

インタビュー・構成/「小説新潮」編集部

「作家・加藤シゲアキ」の誕生

——「小説新潮」への初登場、ありがとうございます。加藤さんをお迎えできてとてもうれしいです。

加藤 いえいえ、こちらこそ。月刊誌での長編小説連載というのは初めてなので、いろいろと不安もありますが、みなさんに楽しんで読んでいただけるよう頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

——加藤さんは2012年1月、『ピンクとグレー』(KADOKAWA)にてデビューされました。ジャニーズ事務所に所属している現役のアイドルが書いた小説ということで、当時とても話題になりました。小説を執筆しようと思われたそもそものきっかけは何だったのでしょうか。

加藤 そうですね。いろいろな理由があるのですが、事務所のwebサイトでファン向けに書いていたブログの評判が良かったことが、仕事として文章を書くことを意識した最初のきっかけでした。「吾輩はシゲである」というタイトルのブログで、猫目線で僕を語るというスタイルの、ちょっと自虐的な内容だったのですが、これがけっこう好評で、エッセイやコラムの依頼が増えてきたんです。書く仕事って自分に向いているのかな、と思いました。
 でも本音を言うと、もともとはずっとフィクションに対する憧れがありました。エッセイだと自分のことを書かないといけないから、それに対して色々言われたりもするし、正直少し疲れてくることもあります。小説は自由でいいな、と二十歳くらいのころから漠然と思い始めました。実は、小説を書くこと自体は小学生くらいからずっとやっていたんです。僕は一人っ子で、家でテレビゲームをして過ごすことが多かったんですね。RPGが好きだったから、そういうフィクションの世界観を自分の中でも広げて小説を書いていました。家にあったワープロの「一太郎」を使って少しずつ書いていたのが創作の原体験ですね。でも、当時はなんとなく思いのままに書いていただけだったので、書き上げられたことはなかったです。

高校の授業を通して

——初めて書き上げた小説が『ピンクとグレー』だったんでしょうか。

加藤 いえ、通っていた高校で「国語表現」という授業があって、その授業で書いた短編小説が初めてです。法学部に進学するつもりだったし、論文や文章を書けたほうがいいな、くらいの軽い気持ちで授業を受けたのですが、実際にやってみたらすごく楽しかったんです。やるからにはちゃんと評価されたいと思って、与えられた課題に対して匿名で発表することもありました。匿名だから誰が書いたか分からないんですが、先生や生徒からの評判が良くて、先生からは大きな花マルをつけてもらったりしました。小学生じゃあるまいし、高校生で花マルをもらうことなんてないじゃないですか。それが純粋に嬉しくて、書くこと、創作って楽しいなと思いました。

デビュー作『ピンクとグレー』へ

——『ピンクとグレー』を書かれたきっかけは何だったんでしょうか。

加藤 ブログの評判は良かったんですが、自虐的な内容を含んでいたこともあって、少し書くことに疲れた時期がありました。小説で、直接的な自分のこと以外を書いてみたいと事務所に伝えたら「じゃあ書いてみたら」って。今考えると、アドバイスというか無茶振りでしたけど「来月までに書いて持ってきなさい」と背中を押してもらったんです。

——小説のテーマを芸能界にしようと思ったのはなぜですか?

加藤 背中を押してくれた人が「せっかく書くなら自分の世界のことを書いたら?」とアドバイスをくれました。確かに、自分の周りの話が一番書きやすいし、僕が芸能の世界を書くことで読者の方にも興味を持ってもらえるんじゃないかなと期待した部分もあります。学生生活を過ごした渋谷を舞台に芸能の世界を小説で書くというのは、僕にとってとても自然な流れでした。
ピンクとグレー  書いていた当時は、この小説が最初で最後の作品になるかもしれないと思っていたんですよね。書く気がなかったわけではないんですが、誰かから依頼されて書いていたわけではないので、出版できる当てもなくて。だからそのときの自分のすべてを注ぎ込もうという意識はありました。自殺する人が出てくる小説というのも、この先何度も書けるものではないですよね。でも、これが最後かもしれないし、せっかくだから書きたいことを全部書いてしまおうと思って挑んだ作品です。

渋谷サーガ三部作

——二作目である『閃光スクランブル』(KADOKAWA)はすぐに書き始めたんですか?

加藤 『ピンクとグレー』の刊行時、書店回りをさせてもらったんです。CDを出してもCD屋さんを回ることはないのですが、出版の世界はそういうことがあるんですね。そこで書店員さんから直接感想を伝えてもらってとても励みになりましたし、「絶対に書き続けてください。書き続けてくれないと、応援し続けることができないから」と言われたんです。ああそうか、書き続けることが大事なんだと思って、その数ヶ月後には『閃光スクランブル』を書き始めていました。

閃光スクランブルBurn.

——『閃光スクランブル』はパパラッチと女性アイドルというかなりスキャンダラスな二人が出てきますが。

加藤 華やかで分かりやすい、エンターテインメント作品を書くということを強く意識しました。『ピンクとグレー』は冒頭が読み進めにくいという意見を聞いたりもしたので、それなら最初からアクセル全開で没頭できる小説を書いてやろうという気持ちがありました。

——その約一年後、三作目である『Burn. -バーン-』(KADOKAWA)を刊行されました。これは家族が大事なテーマの一つになっていると感じました。

加藤 渋谷を舞台にした小説を二作書いたとき、「渋谷サーガ」というコピーをつけて三作目までは渋谷を書こうと決めたんです。三作目はその完結編みたいな意識もありました。『ピンクとグレー』が幼なじみの男の子二人の友情、『閃光スクランブル』が男女の恋愛だったので、三作目はやはり家族かな、と。ちょうどそのころ、友達が結婚したり、子どもが生まれたりしていたのもあって、家族というのに改めて興味を感じ始めたタイミングでもあったんですよね。

——書いていて難しかった部分などありましたか?

加藤 一作目、二作目と違って、自分の話ではないというのが難しかったです。僕は結婚もしていないし子どももいないので、その部分は想像で書くしかないんですよね。それまでの小説は二、三ヶ月で書き上げることができていたんですが、『Burn. -バーン-』についてはけっこう難航したのを覚えています。でも、ここが作家としての踏ん張りどころというか、自分のこと以外も書けるようにならないと、この先はもう書き続けられないと自らを奮い立たせるような思いもありました。この頃から、作家として書き続けていくことが、僕自身にとっても必要なんじゃないかという自覚が生まれてきたと思います。

——二作目、三作目と書き続けていくことで前作を超えなくてはというプレッシャーを感じることもありますよね。

加藤 そうですね。三作目ということで、自分でもそれまでの作品と比較しながら書くことになりました。『ピンクとグレー』にはあった熱量のようなものが、今自分が書いているものには足りてないなと思って焦ったりもしていました。『Burn. -バーン-』には、自分に向けて書いた表現もけっこうあります。執筆をしていたパソコンに「頑張れ!」とか「諦めるな!」と書いた付箋をたくさん貼って、それを見ながら書いていましたね。まるで受験生みたいですよね(笑)。結果的に、一度燃え尽きかけた情熱をもう一度燃やせよ、という自分へのメッセージも込められた作品になりました。

いろいろなテーマへのチャレンジ

——四つ目の作品はそれまでとうって変わって『傘をもたない蟻たちは』(KADOKAWA)という短編集でした。これはどのようにして生まれた短編集なのでしょうか。

傘を持たない蟻たちは

加藤 いわゆる「渋谷サーガ」を書き終えて、全く違うものにトライしてみたいという気持ちがありました。僕が書いた小説ということで手に取ってくれる読者の方がたくさんいたと思うんです。そういう人たちをがっかりさせたくない思いもあって、それまでの長編三作はやはりエンターテインメントを書こうという意識が強かったんです。でも、もうそろそろ違うものを書いても読者が許してくれるかな、と思って、芸能じゃないもの、SFや恋愛とかにもトライしてみました。色々なものにチャレンジできるということもあって、短編を書くのは本当に楽しかったです。
 そうそう、この中には「にべもなく、よるべもなく」というタイトルの短編があるのですが、この短編の冒頭にある「妄想ライン」という小説内小説は、先ほどお話しした、僕が高校時代に初めて書いた小説がベースになっています。

初めての週刊誌連載

——約二年前に出版された最新長編『チュベローズで待ってる』(扶桑社)は、前編は「週刊SPA!」での連載をまとめたもので、後編は書き下ろしというかたちで出版されました。連載はこれが初めてだったんですよね。

チュベローズで待ってるage22 チュベローズで待ってるage32

加藤 最初に「週刊SPA!」から長期連載の話をいただいたとき、正直、自分に連載という執筆スタイルが可能かどうか不安があったので、一度短編を書かせてもらうことにしました。それが『傘をもたない蟻たちは』に収録されている「Undress」という小説です。それにはわりと手応えがあったので、すぐに長編のプロットを提出して、とんとん拍子に連載の話が進むことになりました。出版社からリクエストされたテーマは「サラリーマン」。「Undress」ではサラリーマンを辞める男性を主人公にした小説を書いたので、今度はサラリーマンになる男性の話を書こうと思いました。就活で失敗してホストになって、その後サラリーマンになるという主人公の設定は、大衆的なイメージのある「週刊SPA!」の読者を意識して作りました。

——連載ということで、意識された部分はありましたか?

加藤 そうですね、それまでの長編は全部書き下ろしだったので、週刊誌で読んでくれる読者のためにリーダビリティを追求しようと思って取り組みました。「週刊SPA!」のメイン読者はサラリーマンで、その雑誌でサラリーマンをテーマにした小説を書いていたんですが、僕自身は就活もしたことがないしサラリーマンをやったこともない。でも学生時代の友達はほとんどみんな就活をしてサラリーマンをやっているんですよね。だから想定読者や取材対象者が周りにたくさんいたのも心強かったです。
 あと、それまでとは小説の書き方を変えてみたというのも「チュベローズ」で試みたことの一つです。連載時はとにかく「読ませる」ことを意識して書いていって、書き下ろしの後編で、そこの伏線を一気に回収するように書いてみました。最初から設計図をつくって書き始めなくても、とにかく求心力の強い物語というのを意識して書くことができたという手応えがありましたね。

アンソロジーへの挑戦

——『行きたくない』(角川文庫)は色々な作家さんが同じテーマで競作するかたちのアンソロジーですが、緊張されたりはしませんでしたか?

行きたくない

加藤 ほかにどんな執筆者の方がいらっしゃるか分からない状態で書いていたので、緊張はなかったです(笑)。でも書き上げたあと、ほかの作家さんのお名前を見て、エンタメ系のさわやかな書き手の方の中に放り込まれたんだなとびっくりはしましたね。
 でも、次に書く長編小説は高校生を主人公にした話にしようと思っていました。実際に長編を書き始める前に高校生を主人公にした小説に挑戦しておきたいなとも思っていたので、ここで書いた「ポケット」で、高校生を書けて良かったと思いました。こんなことを言ったらKADOKAWAさんに怒られるかもしれませんけど(笑)。
 高校生の、思春期独特の心理を小説で書くことにトライしてみて、長編「オルタネート」も書けるという感覚を得ました。

そして新連載「オルタネート」へ

——『チュベローズで待ってる』の刊行から約二年ですが、この間、加藤さんに何か変化はありましたか?

加藤 おかげさまで執筆の仕事はいただいていたのですが、書いていくうちに「作家生活十周年」という区切りの年が近づいているという漠然とした不安がありました。「NEWS」の活動のほうは、去年十五周年という区切りのタイミングで大きなイベントをしたりしているんです。作家生活のほうもあと二、三年で区切りが来てしまう。僕はそのキャリアに見合うだけの仕事ができているのかと自分を見つめ直したりしていました。それと、「タイプライターズ〜物書きの世界〜」(フジテレビ)という番組で色々な作家の方のお話を伺ったりして、とても刺激になりました。次にチャレンジする小説は、作家として説得力のあるものにしていきたいという思いがあります。

——新連載「オルタネート」は高校生が主人公の学園ものです。どうしていま高校生を主人公にした小説を書こうと思われたんですか?

加藤 三十歳を過ぎて、だんだんと高校生が遠くなってきたと感じているんです。それは当たり前のことでもあるんですが、こうして感覚とか存在とかが離れていくんだなと、ふと不安に思うこともありました。だからこそ、これから僕は若い人を主人公にした小説を書きにくくなる。なら「今」チャレンジするしかないんじゃないかと思って、新作のテーマに選んでみました。
 あと、高校生の恋愛も書いてみたいと前から思っていたのですが、自分が若いうちだと自分と重ねて読まれるのも嫌だなと思って、敬遠して書いていなかったんです。でも、今の僕が高校生の恋愛を書いても、誰も重ねて読むことはないだろうから安心して取り組めました。
 高校生を書くなら今がラストチャンスだという思いと、高校生という存在に対して適度な距離ができたからこそ、彼らを主人公に据えることができたんだと思います。

——新連載「オルタネート」には、「オルタネート」という架空のSNSサービスが登場します。

加藤 僕自身はSNSは全くやらないのですが、「NEWSな2人」(TBS系)という番組をやらせてもらっていて、そこで若い人たちからSNSやマッチングアプリについての色々な意見を聞いたんです。賛否両論というか、本当に色々な意見や関わり方があって、とても興味深いなと感じて、高校生を書くうえで、こういうものを装置として使ってみるのも時代を切り取るという意味でも面白いかなと思って小説に組み込むことにしました。
 SNSという新しいサービスと、「高校生」という普遍的な存在、それらを僕が書くということの化学反応を、これから読む読者の方には楽しみにしていただけたら嬉しいです。

(かとう・しげあき)
小説新潮 2020年1月号より

次号予告

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞