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新発見、未発表作品を完全収録する決定版全集!

決定版 三島由紀夫全集 第31巻

三島由紀夫/著

6,380円(税込)

本の仕様

発売日:2003/06/10

読み仮名 ケッテイバンミシマユキオゼンシュウ31
シリーズ名 全集・著作集
全集双書名 決定版 三島由紀夫全集
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 724ページ
ISBN 978-4-10-642571-4
C-CODE 0395
ジャンル 全集・選書
定価 6,380円

当代一流の文章家であり鑑賞家であった著者が、古今東西の小説を例にとり、具体的かつ明快に文章論・文体論を展開した精読者(リズール)のための「文章読本」等、昭和34年~36年の評論エッセイ149編を収録。

著者プロフィール

三島由紀夫 ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

書評

波 2003年12月号より 三島由紀夫全集の現在 決定版 三島由紀夫全集

田中美代子

 さしも広大な三島由紀夫の世界も、この十一月に、第三十六巻(評論十一)までまとめられて、一段落。平成十二年十一月の刊行開始からまる三年、私たちは山坂を越え、息もつかずにここまで登りつめた、という感慨が深い。
 今回の決定版全集は、没後の第一回全集を経て三十年、山中湖村に開設された三島由紀夫文学館の協力を得て、少年時代の習作、草稿、創作ノートなど、久しく待たれていた未公開資料が収録できたのは、何よりもうれしいことである。
 当時に比べて研究が充実深化するのは当然としても、三島文学には、これを取り巻く一種魔的な磁界があって、絶えずマニヤックな研究家、コレクターをひきよせるかのようであり、佐藤秀明、井上隆史、山中剛史氏をはじめ、編集協力の諸氏は、いずれも“考古学者の執念をもつ”資料発掘の鬼であり、時には古代文字解読のアクロバット的努力をも要して、全体像は雲間から徐々にその威容を現しつつある。
「全集には断簡零墨まで収録すべし」というのが、そもそも旧全集からの著者の遺言だが、無論これは“三島由紀夫ならでは”の自負の言と読める。四方に飛び散った飛沫の一粒々々が、ことごとく小さな光を宿して燦めくように、呪術にかかった言葉たちは読者の魂を痺れさせ、誰しも一滴まで、その醍醐味を追求せずにはいられないのだ。
 さて因縁の十一月、無事「檄」までを収め終って一息いれ、次の巻からはいよいよ第二段階に入る。
 詩歌(第三十七巻)、書簡(第三十八巻)、対談・鼎談・座談(第三十九・四十巻)、音声(CD)(第四十一巻)、作品年表、著書目録、被翻訳作品目録、上演・上映・放送目録、年譜(第四十二巻)、さらに、当初の予定にはなかった補巻を追加する予定で、補遺(小説、戯曲、評論、翻訳、創作ノートなど、刊行途中で発見されたもの)、参考文献一覧、索引などが収録される。いずれも新しい収録編纂で、完璧を期するため、今後は、原則として隔月刊の予定である(旧全集では不可能だったCDによる自作朗読なども、時満ちての収録である)。
 第三十七巻の詩歌では、今回初収録のものが四八六篇(旧全集一七二篇)で、これは主に幼・少年時代に書かれたものであり、手づくりの詩集やノート十六冊から収録された(三島由紀夫文学館蔵の二冊以外は、あとで三島家から発見されたもの)。
 これらは、あの短篇小説「詩を書く少年」の背景をなすもので、作中の「一週間詩集」なども実際に存在したことが確認される。十代後半には殆ど終息してしまうその旺盛な詩作活動は、たしかに三島文学形成期の秘密の鍵であることはまちがいがない。
 第三十八巻の書簡。戦時中、勤労動員先の工場から両親宛に出された二十七通、「花ざかりの森」刊行時、世話になった富士正晴宛の十九通、戦中戦後の文学活動の一端が知られる中河与一宛八通、中村光夫宛二十八通は、心安い先輩への打あけ話。眷恋の「サロメ」上演のため、台本の使用許可依頼から公演まで一連の経過がわかる日夏耿之介宛の六通。幸福な同時代者・澁澤龍彦宛三十六通、だが友情にヒビの入りそうなモデル問題(「暁の寺」の独文学者)にはいち早く弁解の一通。神風連取材にまつわる荒木精之宛九通など、大半は未公開の書簡であり、その時々の生活や執筆の背景があざやかに浮かびあがってくる。
 北杜夫宛十通の内の一通などはいかにも微笑ましく、公表すれば悪口となるべき書評が、雑誌にはあえて別のものと差し替え、そのまま友情溢れる私信に化けてしまうという経緯が分かる。
 第三十九・四十巻。対談・鼎談・座談は、全体で三百篇以上もある。大方は評論と遜色のない充実したもので、旧版では割愛せざるをえなかった単行本、たとえば林房雄との「対話・日本人論」、中村光夫との「対談・人間と文学」、伝説の「討論 三島由紀夫vs.東大全共闘」、さらに、対談集「尚武のこころ」「源泉の感情」。また文壇のみならず、演劇界、映画界、政財界などにわたる、当時の華やかな交友関係が偲ばれる。
 補巻は拾遺集で、三島由紀夫の潤色・NLT公演「リュイ・ブラス」台本、また三島由紀夫文学館蔵の新発見の作品では、中等科四年時代の作文「神官」「冬山」、さらに「梅枝」「菊薫る環物語」「二令嬢」、幻の作「模倣の恋」創作ノートなど解読すべき作品が山積しており、当分資料探索の旅が続きそうである。「僕は鯨と同じで、骨も筋も皮も無駄に捨てられるものは何もないんだ」という三島由紀夫の言葉を噛みしめている現場である。

目次


文章読本
「エロス的文明」――H・マルクーゼ著南博訳
世界の静かな中心であれ
内輪のたのしみ
わが非文学的生活
ゴルフをやらざるの弁私は天下のヘソ曲り
見事な若武者 (矢尾板・ペレス戦観戦記)
ジムから道場へペンは剣に通ず
文豪・剣豪三島由紀夫のスポーツ実践講座
憂楽帳
春日井建氏の歌
無 題週刊新潮掲示板 (「このたび転居します……」)
映画見るべからず
「橋づくし」について (「西川鯉三郎氏の……」)
三島由紀夫出題クイズ
十八歳と三十四歳の肖像画
有吉佐和子さんのこと
ブリリヤントな作品 (武田泰淳著「貴族の階段」推薦文)
アトリエ通信 (「七ヶ月も……」)
川端康成氏再説
オウナーの弁――三島由紀夫邸のもめごと
余暇善用――楽しみとしての精神主義
「戦後日本の思想」 (久野収・鶴見俊輔・藤田省三著)・
 「悪徳の栄え」 (マルキド・サド著 澁澤龍彦訳)
「鏡子の家」そこで私が書いたもの
追ふ者追はれる者――ペレス・米倉戦観戦記
女が美しく生きるには
六世中村歌右衛門序説
あとがき (「六世中村歌右衛門」)
舟橋聖一氏の「若いセールスマンの恋」
現代の夢魔――「禁色」を踊る前衛舞踊団
推薦の辞 (650 EXPERIENCE の会)
俳優といふ素材 (「女は占領されない」)
晴朗な、大らかな――日本美術大系を推す
昭和時代の一偉業 (福田恆存全訳「シェイクスピア全集」推薦文)
私は期待する (「週刊公論」広告文)
円地さんと日本古典
桜姫と権助
生命の讃歌 (「川端康成全集」推薦文)
無題 (深沢七郎著「東京のプリンスたち」推薦文)
「題未定」――新連載予告 (「宴のあと」)
黒いあこがれ新連載について (「お嬢さん」)
三島由紀夫の生活ダイジェスト
ぼくはオブジェになりたい
無題 (石原慎太郎著「殺人教室」推薦文)
カフカ的――作家の眼
「侃侃諤諤」を駁す――交友断片
巻頭言 (「婦人公論」)
社会料理三島亭
ハート・ブレイク・病院――トラブル一分間治療室
今年のプラン
オレは実はオレぢやない (村松剛氏の直言に答へる)
馬込村――わが愛する風景
推薦のことば (坂上弘著「ある秋の出来事」)
完璧な均衡を保つ (「チェーホフ全集」推薦文)
「熱帯樹」の成り立ち
「サロメ」の演出について
ホウケン亭主と箱入り女房――この人と十分間
出演の弁 (「からっ風野郎」)
映画初出演の記
解説 (「プロゼルピーナ」)
カミユの文学
初出演の言葉 (「からっ風野郎」)
映画俳優オブジェ論4
「からっ風野郎」の情婦論
「エロチシズム」――ジョルジュ・バタイユ著室淳介訳
受難のサド
わが夢の「サロメ」
若尾文子さん――表紙の女性
「俳優即演出家の演劇」としての歌舞伎
友情と考証
未来をあきらめる時代――こんな珍しい写真
オセロー雑観
一つの政治的意見
石原慎太郎氏の諸作品
発射塔
ベラフォンテ讃
「女面」について
危機の舞踊
無題 (映画「黒いオルフェ」推薦文)
リオの謝肉祭
「黒いオルフェ」を見て
ある日私は
武田泰淳氏――僧侶であること
春日井建氏の「未青年」の序文
マドリッドの大晦日
無題 (庄野潤三著「静物」推薦文)
伊東静雄全集推薦の辞
美しい日本語――石川淳全集推薦の言葉
純粋とは
プライヴァシィ
「未青年」出版記念会祝辞
アトリエ通信 (「またちよつと……」)
大統領選挙
ニューヨーク
夢の原料
あとがき (「スタア」)
口角の泡――「近代能楽集」ニューヨーク試演の記
座右の辞書
ピラミッドと麻薬
旅の夜
「風流夢譚」の推薦者ではない――三島由紀夫氏の声明
稽古場のコクトオ
「暗黒のまつり」――コリン・ウィルソン著中村保男訳
地獄のオルフェウス
美に逆らふもの
ポルトガルの思ひ出
存在しないものの美学――「新古今集」珍解
汽車への郷愁
大岡信著「抒情の批判」
中村光夫著「パリ繁昌記」
RECOMMENDING MR. YASUNARI KAWABATA
FOR THE 1961 NOBEL PRIZE FOR LITERATURE
どくとるマンボウ結婚記――北杜夫さんおめでたう
南蛮趣味のふるさと――ポルトガルの首都リスボン
作者の言葉 (「獣の戯れ」)
メイ作傑作――カイロの虜囚?
ポポル・ヴフ讃
日記

魔――現代的状況の象徴的構図
冬のヴェニス
現代女優論――越路吹雪
パーティー用の家――お宅拝見
「橋づくし」について (「この短篇小説の……」)
太陽と死の神話「ポポル・ヴフ」
八月二十一日のアリバイ
序文 (市川崑和田夏十著「成城町271番地」)
青春の町「銀座」
発光体の思想――石川淳「おまへの敵はおまへだ」について
「有間皇子」について
レジャーと私
前衛舞踊と物との関係
アメリカ人の日本神話
JAPANESE YOUTH
「ホリデイ」誌に招かれて
「花影」と「恋人たちの森」
「狂った年輪」をみて
竜灯祭
映画「潮騒」の想ひ出
私の言葉 (「こんど文部省が……」)
川端康成氏と文化勲章
服装について
無題 (「美の襲撃」序)
わが小説――「獣の戯れ」
「十日の菊」について
無題 (高田一郎氏について)
無題 (「芝居の陶酔と戦慄を……」)
無題 (蒲田黎子著「もしもしハロー」序)
法律と文学
新劇人の貧弱な体格への警告 (NHK「朝の訪問」)

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