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決定版 三島由紀夫全集 第34巻

三島由紀夫/著

6,380円(税込)

発売日:2003/09/10

書誌情報

読み仮名 ケッテイバンミシマユキオゼンシュウ34
シリーズ名 全集・著作集
全集双書名 決定版 三島由紀夫全集
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 794ページ
ISBN 978-4-10-642574-5
C-CODE 0395
ジャンル 全集・選書
定価 6,380円

新発見、未発表作品を完全収録する決定版全集!

乱世に生きる〈現代の武士〉たちの常住坐臥の心得を説いた「葉隠入門」、自らの終末を色濃く暗示した遺作評論「小説とは何か」など、自在無碍な精神の横溢する昭和41~43年の評論エッセイ163編。

目次


「われら」からの遁走――私の文学
推薦者のことば (「大江健三郎全作品」)
花柳章太郎丈回顧
フランスのテレビに初出演――文壇の若大将 三島由紀夫氏
製作意図及び経過 (「憂国映画版」)
「憂国」の謎
お茶漬ナショナリズム
法律と餅焼き
わが育児論
このひとこの魅力――川喜多かしこさん
プレステージ――集英社と私
映画的肉体論――その部分及び全体
「憂国」
私の愛することば
推薦のことば (酒井美意子著「マナー小事典」)
文学辞典は若者の憧れを誘ふ――「新潮世界文学小辞典」を推薦する
すいせんのことば (「いるいるおばけがすんでいる」)
鏡の中の恋
二・二六事件と私
自画像の記
人生の究極の夢を……――作者兼演出家兼俳優のことば
鵬雲斎におくることば
三島由紀夫氏の“人間天皇”批判
 ――小説「英霊の声」が投げた波紋
闘牛士の美
観戦記 (原田・ジョフレ戦)
「リュイ・ブラス」の上演について
ナルシシズム論7
私の遺書
「憂国」の主人公・放談す
私のきらひな人
「サド侯爵夫人」の再演
おしやれ一品
ビートルズ見物記
中河与一全集を祝ふ
得がたい清冽な書物 (麻生良方著「恋と詩を求めて」推薦文)
無題 (丸山明宏チャリティーリサイタルに寄せて)
無題 (「メリー大須賀モードを着てムードを唄ふ」)
大映映画「複雑な彼」原作者登場
無題 (「フシギな男三島由紀夫」)
堂本正樹氏のこと
色気のある役者
私の健康法――まづボデービル
あとがき (「聖セバスチァンの殉教」)
テネシー・ウヰリアムズのこと
団蔵・芸道・再軍備
わが警察流剣道
不運な二作――芥川賞選評
無題 (「ダンディ登場」)
谷崎潤一郎、芸術と生活
谷崎潤一郎について
三つの好条件 (「現代日本の小説」参加の弁)
勇気あることば
本造りのたのしみ――「聖セバスチァンの殉教」の翻訳
本全集を推薦する (「ヘルダーリン全集」)
N・L・Tの未来図
鳳凰台上鳳凰遊ぶ
序 (矢頭保写真集「体道・日本のボディビルダーたち」)
伊東静雄の詩――わが詩歌
遠藤氏の最高傑作――谷崎賞選後評
戯曲「アラビアン・ナイト」について
谷崎潤一郎頌
無題 (宮崎清隆著「支那派遣軍かく戦えり」推薦文)
無題 (河出書房新社版「千夜一夜物語」広告文)
序 (舩坂弘著「英霊の絶叫」)
「宴のあと」事件の終末
プライバシー裁判の和解前後――週間日記
無題 (西直彦著「古人今人」推薦文)
オニオングラタンスープ (「レストランカナユニ」広告文)
川路柳虹先生の思ひ出
無題 (第十三回「新潮」同人雑誌賞選評)
年頭の迷ひ
日本への信条
「鏡子の家」――わたしの好きなわたしの小説
原田・メデル戦
無題 (「鍛へる作家たち」)
日録
中山仁君について
「贋の偶像」について
青年像
「アラビアン・ナイト」
無題 (永井陽之助著「平和の代償」広告文)
本当の青年の声を (「日本学生新聞」創刊によせて)
この「一枚の写真」をどう見るか
 ――引回される中国要人をめぐる日本人の反応
忘却と美化
無題 (伊藤勝彦著「愛の思想」推薦文)
古今集と新古今集
「道義的革命」の論理――磯部一等主計の遺稿について
あなたの楽園、あなたの銀の匙――森茉莉様
誘惑――音楽のとびら
男性的な文章――芥川賞選評
男の美学
久保田万太郎全集を推す
無題 (安部公房「友達」について)
南北的世界 (「桜姫東文章」)
無題 (「三島由紀夫の幻想美術館」)
古典芸能の方法による政治状況と性――作家・三島由紀夫氏の証言
無題 (「寺崎武男回顧展」推薦文)
「天と海」について
二つの望楼
無題 (「ジャン・ジュネ全集」推薦文)
小林秀雄氏頌
自衛隊を体験する――46日間のひそかな“入隊”
三島郷兵に26の質問
体験入隊には反対する
無題 (「“憂国”作家の“体験入隊”記」)
私の新婚旅行地
驚嘆の書!! (渡辺正一郎著「宗教と科学」推薦文)
歴史的題材と演劇
跋 (「芸術の顔」)
「黒い雪」裁判
豪華版のための補跋 (「サド侯爵夫人」)
美しい死
宗教的情熱による壮挙
青年と国防
私の中のヒロシマ――原爆の日によせて
人生の本――末松太平著「私の昭和史」
「仙洞御所」序文
わたしのただ一冊の本「葉隠」
葉隠入門
二つの欠点――芥川賞選評
三島由紀夫氏との50問50答
無題――週刊新潮掲示板 (「剣道の名人……」)
無題 (安部公房著「燃えつきた地図」推薦文)
紫陽花の母
いかにして永生を?
青年について
水着姿であひませう
「朱雀家の滅亡」について (「忠実に細部を……」)
「朱雀家の滅亡」について (「この芝居は、……」)
青年論――キミ自身の生きかたを考へるために
インドの印象
インド通信
解説 (川端康成著「眠れる美女」)
「友達」と「万延元年のフットボール」――谷崎賞選後評
無題 (「坂口安吾全集」推薦文)
もつとも純粋な「魂」ランボオ
知らぬまにパリ通に (寺中作雄著「パリ物語」推薦文)
習字の伝承
「花ざかりの森」のころ
無題 (第十四回「新潮」同人雑誌賞選評)
日本の古典と私
J・N・G仮案 (Japan National Guard――祖国防防衛隊)
祖国防〓隊はなぜ必要か?
「文芸文化」のころ
無題 (「日本人物探検・三島由紀夫」)
愛国心
円谷二尉の自刃
無題 (「山下清澄個展」推薦文)
厚い一冊の本の小宇宙――「新潮世界文学」を推薦する
無題 (「若武者出陣」)
二・二六事件について
無題 (「横尾忠則遺作集」序)
典型的日本人――芥川賞選評
銅像との対話――西郷隆盛
推せんのことば (中山正敏監修「平安四段」)
無題 (「人間国宝新作展」推薦文)
「黒蜥蜴」
野口武彦氏への公開状
「サムライ」について
横尾忠則氏の裸
作者のことば (「命売ります」)
市民精神の雄大なひろがりのために
 ――「新集・世界の文学」を推薦する
小説とは何か

 「熊野路」創作ノート
 解題・校訂

書評

波 2003年12月号より 三島由紀夫全集の現在 決定版 三島由紀夫全集

田中美代子

 さしも広大な三島由紀夫の世界も、この十一月に、第三十六巻(評論十一)までまとめられて、一段落。平成十二年十一月の刊行開始からまる三年、私たちは山坂を越え、息もつかずにここまで登りつめた、という感慨が深い。
 今回の決定版全集は、没後の第一回全集を経て三十年、山中湖村に開設された三島由紀夫文学館の協力を得て、少年時代の習作、草稿、創作ノートなど、久しく待たれていた未公開資料が収録できたのは、何よりもうれしいことである。
 当時に比べて研究が充実深化するのは当然としても、三島文学には、これを取り巻く一種魔的な磁界があって、絶えずマニヤックな研究家、コレクターをひきよせるかのようであり、佐藤秀明、井上隆史、山中剛史氏をはじめ、編集協力の諸氏は、いずれも“考古学者の執念をもつ”資料発掘の鬼であり、時には古代文字解読のアクロバット的努力をも要して、全体像は雲間から徐々にその威容を現しつつある。
「全集には断簡零墨まで収録すべし」というのが、そもそも旧全集からの著者の遺言だが、無論これは“三島由紀夫ならでは”の自負の言と読める。四方に飛び散った飛沫の一粒々々が、ことごとく小さな光を宿して燦めくように、呪術にかかった言葉たちは読者の魂を痺れさせ、誰しも一滴まで、その醍醐味を追求せずにはいられないのだ。
 さて因縁の十一月、無事「檄」までを収め終って一息いれ、次の巻からはいよいよ第二段階に入る。
 詩歌(第三十七巻)、書簡(第三十八巻)、対談・鼎談・座談(第三十九・四十巻)、音声(CD)(第四十一巻)、作品年表、著書目録、被翻訳作品目録、上演・上映・放送目録、年譜(第四十二巻)、さらに、当初の予定にはなかった補巻を追加する予定で、補遺(小説、戯曲、評論、翻訳、創作ノートなど、刊行途中で発見されたもの)、参考文献一覧、索引などが収録される。いずれも新しい収録編纂で、完璧を期するため、今後は、原則として隔月刊の予定である(旧全集では不可能だったCDによる自作朗読なども、時満ちての収録である)。
 第三十七巻の詩歌では、今回初収録のものが四八六篇(旧全集一七二篇)で、これは主に幼・少年時代に書かれたものであり、手づくりの詩集やノート十六冊から収録された(三島由紀夫文学館蔵の二冊以外は、あとで三島家から発見されたもの)。
 これらは、あの短篇小説「詩を書く少年」の背景をなすもので、作中の「一週間詩集」なども実際に存在したことが確認される。十代後半には殆ど終息してしまうその旺盛な詩作活動は、たしかに三島文学形成期の秘密の鍵であることはまちがいがない。
 第三十八巻の書簡。戦時中、勤労動員先の工場から両親宛に出された二十七通、「花ざかりの森」刊行時、世話になった富士正晴宛の十九通、戦中戦後の文学活動の一端が知られる中河与一宛八通、中村光夫宛二十八通は、心安い先輩への打あけ話。眷恋の「サロメ」上演のため、台本の使用許可依頼から公演まで一連の経過がわかる日夏耿之介宛の六通。幸福な同時代者・澁澤龍彦宛三十六通、だが友情にヒビの入りそうなモデル問題(「暁の寺」の独文学者)にはいち早く弁解の一通。神風連取材にまつわる荒木精之宛九通など、大半は未公開の書簡であり、その時々の生活や執筆の背景があざやかに浮かびあがってくる。
 北杜夫宛十通の内の一通などはいかにも微笑ましく、公表すれば悪口となるべき書評が、雑誌にはあえて別のものと差し替え、そのまま友情溢れる私信に化けてしまうという経緯が分かる。
 第三十九・四十巻。対談・鼎談・座談は、全体で三百篇以上もある。大方は評論と遜色のない充実したもので、旧版では割愛せざるをえなかった単行本、たとえば林房雄との「対話・日本人論」、中村光夫との「対談・人間と文学」、伝説の「討論 三島由紀夫vs.東大全共闘」、さらに、対談集「尚武のこころ」「源泉の感情」。また文壇のみならず、演劇界、映画界、政財界などにわたる、当時の華やかな交友関係が偲ばれる。
 補巻は拾遺集で、三島由紀夫の潤色・NLT公演「リュイ・ブラス」台本、また三島由紀夫文学館蔵の新発見の作品では、中等科四年時代の作文「神官」「冬山」、さらに「梅枝」「菊薫る環物語」「二令嬢」、幻の作「模倣の恋」創作ノートなど解読すべき作品が山積しており、当分資料探索の旅が続きそうである。「僕は鯨と同じで、骨も筋も皮も無駄に捨てられるものは何もないんだ」という三島由紀夫の言葉を噛みしめている現場である。

著者プロフィール

三島由紀夫

ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

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