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新発見、未発表作品を完全収録する決定版全集!

決定版 三島由紀夫全集 第33巻

三島由紀夫/著

6,380円(税込)

本の仕様

発売日:2003/08/08

読み仮名 ケッテイバンミシマユキオゼンシュウ33
シリーズ名 全集・著作集
全集双書名 決定版 三島由紀夫全集
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 782ページ
ISBN 978-4-10-642573-8
C-CODE 0395
ジャンル 全集・選書
定価 6,380円

姦通学、同性学、整形学など、魅力的な“反貞女”になるための16講「反貞女大学」、死の観念を核とする三島形而上学の詩的結晶「太陽と鉄」など、昭和39年~41年に至る126編の評論作品を収録。

著者プロフィール

三島由紀夫 ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

書評

波 2003年12月号より 三島由紀夫全集の現在  決定版 三島由紀夫全集

田中美代子

 さしも広大な三島由紀夫の世界も、この十一月に、第三十六巻(評論十一)までまとめられて、一段落。平成十二年十一月の刊行開始からまる三年、私たちは山坂を越え、息もつかずにここまで登りつめた、という感慨が深い。
 今回の決定版全集は、没後の第一回全集を経て三十年、山中湖村に開設された三島由紀夫文学館の協力を得て、少年時代の習作、草稿、創作ノートなど、久しく待たれていた未公開資料が収録できたのは、何よりもうれしいことである。
 当時に比べて研究が充実深化するのは当然としても、三島文学には、これを取り巻く一種魔的な磁界があって、絶えずマニヤックな研究家、コレクターをひきよせるかのようであり、佐藤秀明、井上隆史、山中剛史氏をはじめ、編集協力の諸氏は、いずれも“考古学者の執念をもつ”資料発掘の鬼であり、時には古代文字解読のアクロバット的努力をも要して、全体像は雲間から徐々にその威容を現しつつある。
「全集には断簡零墨まで収録すべし」というのが、そもそも旧全集からの著者の遺言だが、無論これは“三島由紀夫ならでは”の自負の言と読める。四方に飛び散った飛沫の一粒々々が、ことごとく小さな光を宿して燦めくように、呪術にかかった言葉たちは読者の魂を痺れさせ、誰しも一滴まで、その醍醐味を追求せずにはいられないのだ。
 さて因縁の十一月、無事「檄」までを収め終って一息いれ、次の巻からはいよいよ第二段階に入る。
 詩歌(第三十七巻)、書簡(第三十八巻)、対談・鼎談・座談(第三十九・四十巻)、音声(CD)(第四十一巻)、作品年表、著書目録、被翻訳作品目録、上演・上映・放送目録、年譜(第四十二巻)、さらに、当初の予定にはなかった補巻を追加する予定で、補遺(小説、戯曲、評論、翻訳、創作ノートなど、刊行途中で発見されたもの)、参考文献一覧、索引などが収録される。いずれも新しい収録編纂で、完璧を期するため、今後は、原則として隔月刊の予定である(旧全集では不可能だったCDによる自作朗読なども、時満ちての収録である)。
 第三十七巻の詩歌では、今回初収録のものが四八六篇(旧全集一七二篇)で、これは主に幼・少年時代に書かれたものであり、手づくりの詩集やノート十六冊から収録された(三島由紀夫文学館蔵の二冊以外は、あとで三島家から発見されたもの)。
 これらは、あの短篇小説「詩を書く少年」の背景をなすもので、作中の「一週間詩集」なども実際に存在したことが確認される。十代後半には殆ど終息してしまうその旺盛な詩作活動は、たしかに三島文学形成期の秘密の鍵であることはまちがいがない。
 第三十八巻の書簡。戦時中、勤労動員先の工場から両親宛に出された二十七通、「花ざかりの森」刊行時、世話になった富士正晴宛の十九通、戦中戦後の文学活動の一端が知られる中河与一宛八通、中村光夫宛二十八通は、心安い先輩への打あけ話。眷恋の「サロメ」上演のため、台本の使用許可依頼から公演まで一連の経過がわかる日夏耿之介宛の六通。幸福な同時代者・澁澤龍彦宛三十六通、だが友情にヒビの入りそうなモデル問題(「暁の寺」の独文学者)にはいち早く弁解の一通。神風連取材にまつわる荒木精之宛九通など、大半は未公開の書簡であり、その時々の生活や執筆の背景があざやかに浮かびあがってくる。
 北杜夫宛十通の内の一通などはいかにも微笑ましく、公表すれば悪口となるべき書評が、雑誌にはあえて別のものと差し替え、そのまま友情溢れる私信に化けてしまうという経緯が分かる。
 第三十九・四十巻。対談・鼎談・座談は、全体で三百篇以上もある。大方は評論と遜色のない充実したもので、旧版では割愛せざるをえなかった単行本、たとえば林房雄との「対話・日本人論」、中村光夫との「対談・人間と文学」、伝説の「討論 三島由紀夫vs.東大全共闘」、さらに、対談集「尚武のこころ」「源泉の感情」。また文壇のみならず、演劇界、映画界、政財界などにわたる、当時の華やかな交友関係が偲ばれる。
 補巻は拾遺集で、三島由紀夫の潤色・NLT公演「リュイ・ブラス」台本、また三島由紀夫文学館蔵の新発見の作品では、中等科四年時代の作文「神官」「冬山」、さらに「梅枝」「菊薫る環物語」「二令嬢」、幻の作「模倣の恋」創作ノートなど解読すべき作品が山積しており、当分資料探索の旅が続きそうである。「僕は鯨と同じで、骨も筋も皮も無駄に捨てられるものは何もないんだ」という三島由紀夫の言葉を噛みしめている現場である。

(たなか・みよこ 文芸評論家・本全集編集委員)

目次



愛のすがた――愛を語る
解 説 (「現代の文学20円地文子集」)
講談社現代新書を推す (広告文)
アマノジャク精神で――「喜びの琴」の著者三島由紀夫氏
空飛ぶ円盤と人間通――北村小松氏追悼
「楡家の人びと」 (北杜夫著)
市村竹之丞に期待する
「喜びの琴」について (「テレビで……」)
松浦演出の「シラノ」
文学における硬派――日本文学の男性的原理
夢と人生
無題 (「三島さんと『喜びの琴』」)
「六人を乗せた馬車」をみて
私がハッスルする時――「喜びの琴」上演に感じる責任
私の小説作法
あなたは現在の恋人と結婚しますか?
 ――三島由紀夫流・男性鑑別法を教へます
「喜びの琴」について (「既往の事件については……」)
週間日記
NLTの顔
演劇史上光彩陸離
美しい女性はどこにゐる――吉永小百合と「潮騒」より
真実の教訓――選評
地上より
天狗道
生徒を心服させるだけの腕力をスパルタ〓育のおすすめ
N・L・Tの未来
批評の“首府”を建設――河上徹太郎著「批評の自由」
熊野路新日本名所案内
合宿の青春
すばらしい技倆、しかし……――大江健三郎氏の書下し「個人的な体験」
「恋の帆影」について
無題 (「バレーは……」)
ジークフリート管見――ジロオドウの世界
秋冬随筆
私だけの問題ではない――小説「宴のあと」判決に抗議する
三島由紀夫先生を訪ねて――希望はうもん
実感的スポーツ論
東洋と西洋を結ぶ火――開会式
競技初日の風景――ボクシングを見て
ジワジワしたスリル――重量あげ
白い叙情詩――女子百メートル背泳
空間の壁抜け男――陸上競技
17分間の長い旅――男子千五百メートル自由形決勝
完全性への夢――体操
彼女も泣いた、私も泣いた――女子バレー
「別れもたのし」の祭典――閉会式
いやな、いやな、いい感じ (高見順著「いやな感じ」)
無題 (河出書房新社版「世界文学全集第二集25ロレンス・ダレル」広告文)
恐しいほど明晰な伝記――澁澤龍彦著「サド侯爵の生涯」
ラシイヌの季節来る
美の亡霊――「恋の帆影」
日々是好日
“仮面の男”を主題に――安部公房著「他人の顔」
無題 (林房雄著「大東亜戦争肯定論」広告文)
迫力ある「ウエストサイド物語」――初日を見て
著者と一時間 (「絹と明察」)
一つの代表的青春 (「石原慎太郎文庫」推薦文)
松浦竹夫氏の夢の実現
男のおしやれ
ありがたきかな“友人”
無題 (吉本隆明著「模写と鏡」推薦文)
現代文学の三方向
恋の殺し屋が選んだ服
無題 (第十一回「新潮」同人雑誌賞選評)
新夏炉冬扇
真を胸に――若さに生きよう
文学的予言――昭和四十年代
きたへる――その意義
受賞者のあいさつ (毎日芸術賞「絹と明察」)
無題 (服部智恵子バレエリサイタルに寄せて)
反貞女大学
文明の頽廃を一身に引き受けた作家……
法学士と小説
無題 (「中央公論」広告文)
無題 (映画「肉体の学校」広告文)
室町の美学――金閣寺
朝吹さんと「パリの男たち」
あとがき (「三島由紀夫短篇全集」1~6)
十月二十三日付私信
西洋床の間
無題 (「家といふものは……」)
「美容整形」この神を怖れぬもの
ロンドン通信
赤い李の少女――私の秘蔵ッ子・本間千代子
澁澤龍彦氏のこと
石原慎太郎「星と舵」について
作者にお伺いたします (「音楽」)
英国紀行
若さと体力の勝利――原田・ジョフレ戦争
跋 (高橋睦郎著「眠りと犯しと落下と」)
床の間には富士山を――私がいまおそれてゐるもの
「壮年」完成の喜び――林房雄氏の「文明開化」
太陽のあふれる前庭――庭とわたし
「熊野」について (「『熊野』は……」)
あとがき (「三熊野詣」)
私の信条
義父の若さ
「潮騒」執筆のころ
谷崎潤一郎氏を悼む
谷崎文学の世界
あとがき (「目―ある芸術断想」)
私の戦争と戦後体験――二十年目の八月十五日
谷崎朝時代の終焉
無題 (「書き下ろし長篇小説叢書」推薦文)
「レン Ren」をすいせんします!
無題 (「われらの文学」推薦文)
異国趣味について
文武両道
太陽と鉄
跋 (「サド侯爵夫人」)
「サド侯爵夫人」について (「澁澤龍彦氏の……」)
夜を告げる星 (丸山明宏リサイタルに寄せて)
期待はづれの一戦 (原田・ラドキン戦観戦記
わが青春の書――ラディゲの「ドルヂェル伯の舞踏会」
解説 (「日本の文学2森鴎外(一)」)
同級生交歓北条浩
無題 (第十二回「新潮」同人雑誌賞選評)
日本人の誇り
手で触れるニューヨーク
「憂国」製作、道楽ではない
「複雑な彼」のこと
危険な芸術家
世界前衛映画祭を見て――傑作・コクトオの「詩人の血」
未聞の世界ひらく
をはりの美学

 「熊野路」創作ノート
 解題・校訂

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