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今月の表紙は窪美澄さん。

波 2019年4月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/03/27

発売日 2019/03/27
JANコード 4910068230492
定価 102円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第19回
【窪 美澄『トリニティ』刊行記念特集】
梯 久美子/彼女が泣く理由
川本三郎/彼女たちは石を投げた
木皿 泉『カゲロボ』
高山なおみ/作り話が本当になるとき

朱野帰子『わたし、定時で帰ります。ハイパー』
北上次郎/これが最前線、新鮮なお仕事小説

篠田節子『肖像彫刻家』
牧 眞司/ユーモアと修羅が交叉する物語

エマヌエル・ベルクマン 、浅井晶子/訳『トリック』
中島京子/奇術師を思わせる語りの腕の良さ

谷崎由依『藁の王』
小山田浩子/言葉に握られている

梓澤 要『方丈の孤月―鴨長明伝―』
島内景二/『方丈記』作者の「魔」と「狂」

大塚已愛『鬼憑き十兵衛』
若林 踏/申し分のないデビュー作

瀧羽麻子『うちのレシピ』
東えりか/食の記憶が映し出す家族の肖像

笹井都和古『県民には買うものがある』
メレ山メレ子/「私」を見つけるための冒険

タン・ロミ『戦争前夜―魯迅、蒋介石の愛した日本―』
本郷和人/まさに「史伝」といえる一冊

宮城泰年、田中利典、内山 節『修験道という生き方』
山折哲雄/縄文の世から生きる信仰

吉永麻衣子『発酵は冷蔵庫におまかせ! 子どもと作れる12か月のパン』
安田美沙子/心を育むパンの力

中川 越『すごい言い訳!―二股疑惑をかけられた龍之介、税を誤魔化そうとした漱石―』
神田桂一/文人の言い訳から学ぶ、言い訳しない生き方

山口由美『昭和の品格 クラシックホテルの秘密』
山口由美/クラシックホテルに「秘密」が多い理由

【短編小説】
北村 薫/つき 後篇
【今月の新潮文庫】
垣谷美雨『うちの子が結婚しないので』
荻原博子/子供には遺産より伴侶を
【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた

原 英史『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』(新潮新書)
夏野 剛/ダークサイドに落ちた日本を救うために

奥野修司『天皇の憂鬱』(新潮新書)
奥野修司/天皇陛下の心に秘められた思い

とんぼの本編集室だより

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第16回
伊藤比呂美/URASHIMA 第11回
保阪正康/昭和史の陰影 第4回
土井善晴/おいしく、生きる。 第6回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第109回
大塚ひかり/女系図でみる日本争乱史 第9回
はらだみずき/やがて訪れる春のために 第4回
川本三郎/荷風の昭和 第11回
曽野綾子/人間の義務について 第3回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は窪美澄さん。

◎今月の表紙は窪美澄さん。背後の絵は、窪さんの長篇小説『トリニティ』の装画のために宇野亞喜良さんが描き下したものを大きな不織布へ印刷しました。
◎『トリニティ』についてはまずさんと川本さんの書評をご覧ください。昭和十年代に生まれた三人の女性の人生が交差し、思わぬ運命を招き入れて……。この国でこの時代に、女性が働くとはどういうことか、そもそも女性として生きるとはどういうことか、夢と祈りの果てが丹精を込めて描き上げられていきます。大河小説の滔々たるコクもあれば、心理の襞に分け入っていく精緻もあって、本当に豊かで面白い小説。
◎その妙子、登紀子、鈴子の三人が出会うのが六〇年代の出版社です。その頃から現在までイラストレイターとして第一線で活躍し続けているのが宇野さん。先日もシアターコクーンの舞台「唐版 風の又三郎」で美術と衣裳を担当し、めざましい効果を挙げていました。唐十郎さんの作劇も金守珍さんの演出も、窪田正孝さんや風間杜夫さん他の役者陣も素晴らしかったのですが、何より圧倒されたのが宇野さんの仕事ぶり。たしか今年八十五歳になられた筈。
◎翌週に映画館で「運び屋」を、試写室で「イメージの本」を観て、イーストウッドにもゴダールにもヤラれたのですが、両者は八十八歳。宇野さんも含めて、歳と共の成熟とか枯淡とか清々しい老境とか、その手の趣きが微塵もなくて刺激的でした。
◎実は今号表紙はゴダールの「女と男のいる舗道」のポスターを意識しています。こういうことは言ってしまっては無粋ですね。
la kaguがリニューアルオープンします。七十六頁の広告をご覧ください。
▽次号の刊行は四月二十七日です。

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。