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第51回 新潮新人賞発表
新連載 佐伯一麦「ミチノオク」
第27回 萩原朔太郎賞発表 第18回 小林秀雄賞発表

新潮 2019年11月号

(毎月7日発行)

特別定価1,060円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/10/07

発売日 2019/10/07
JANコード 4910049011195
定価 特別定価1,060円(税込)

〈第51回 新潮新人賞発表〉
◆【受賞作】尾を喰う蛇[二三〇枚]/中西智佐乃
語らせたい。震えるほど酷い戦争の記憶を。介護士・興毅の荒んだ魂が老人の地獄を呼び覚ます。現実と対峙する新たな才能の誕生!
【インタビュー】暴力を追いかける
【選評】大澤信亮/川上未映子/鴻巣友季子/田中慎弥/中村文則
◆【新連載】ミチノオク 第一回 西馬音内佐伯一麦
兆しは常に東北からやってくる――。私小説作家が3・11で傷ついた故郷の深い場所からの声に耳を澄ます。待望の連作短篇、始動!
雨あがりの出立古井由吉
入院が決まった晩、私の一家はすべて故人になったことを報った。炎天までの長い梅雨。
上田松浦寿輝
プリニウス(六十三)/ヤマザキマリ+とり・みき
■■ 連載小説 ■■
全然(四)/滝口悠生
漂流(九)/町田 康
チェロ湖(十)/いしいしんじ
ヒロヒト(十三)/高橋源一郎
荒れ野にて(四十四)/重松 清
第52回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
〈第27回 萩原朔太郎賞発表〉
【受賞作】QQQ和合亮一
【選評】佐々木幹郎/建畠晢/松浦寿輝/三浦雅士/吉増剛造
〈第18回 小林秀雄賞発表〉
【受賞作】江藤淳は甦える平山周吉
【選考委員】片山杜秀/関川夏央/堀江敏幸/養老孟司
【鼎談】
◆黒澤明の「告白」
ポール・アンドラ/四方田犬彦/北村匡平
フィルムに籠めた真実が、コソヴォを、9・11を喚び覚ます。鎮魂としての『羅生門』。
◆三点確保――川上未映子『夏物語』の難所で/山城むつみ
◆【追悼・池内 紀】池内さんの声が今でも聞こえるような気がする/沼野充義
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(4)
◆消える消えた/多和田葉子
◆穏田のしっぽ/朝吹真理子
◆OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第三回・床を釣る者
◆保田與重郎の文学(十四)/前田英樹
◆これは小説ではない(十八)/佐々木 敦
◆水戸学の世界地図(四十四)/片山杜秀
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第七十九回・台風の目
◆見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一七九回・オリンピックと墓参り
■■ 本 ■■
島田雅彦『君が異端だった頃』/青山真治
古川日出男『グスコーブドリの太陽系:宮沢賢治リサイタル&リミックス』/今福龍太
古川真人『ラッコの家』/田中和生
■■ 新潮 ■■
◆ミニマリズムと特異物/荒川 徹
◆あねいもうと/荒川洋治
◆かいじゅうたちが眠る場所/福富優樹
◆レシピ集/平民金子
◆山羊のレイプニュース/増田俊也

この号の誌面

立ち読み

編集長から

第51回新潮新人賞決定
新連載・佐伯一麦「ミチノオク」

◎1972篇の応募作を集めた第51回新潮新人賞が、選考委員(大澤信亮川上未映子鴻巣友季子田中慎弥中村文則)の真摯な議論を経て、中西智佐乃(34歳)「尾を喰う蛇」に決定した◎主人公の興毅は大阪の総合病院で介護福祉士をつとめる青年。排泄介助、入浴、口腔ケアなどをプロとしてこなしつつ、同時に、過酷な労働にも、殺伐とした一人暮らしにも、鬱屈を抱いている。その鬱屈がじわじわと肥大し、興毅を蝕む。その精神の行方とは……。尾を喰う蛇、とは入院中の老人が大戦下満州での幼少期に(そして病室での夢で)見たものだが、同時に、人間の自我が自我を喰い壊す様、さらには自我を追い詰める世界への大きなメタファーになりえたことが本作の達成だと思う。今年もまた大型新人を送り出せたことを喜びたい◎新連載・佐伯一麦「ミチノオク」は柳田国男遠野物語』の心を受け継いだ小説家の旅の物語だ。誌面にどのような風を吹き込んでくれるか、楽しみでならない。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞