第52回 新潮新人賞発表 第33回 三島由紀夫賞発表
第28回 萩原朔太郎賞発表 第19回 小林秀雄賞発表
新潮 2020年11月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2020/10/07 |
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JANコード | 4910049011102 |
定価 | 特別定価1,300円(税込) |
【第52回】新潮新人賞発表
◆【受賞作】わからないままで[一三〇枚]/小池水音
幸福な親子の時間。消えゆく命の灯火。多視点で鮮やかに描かれる、名もなき家族の肖像。
〈インタビュー〉別れをいかに表現しうるか
◆【受賞作】追いつかれた者たち[二二〇枚]/濱道 拓
凄惨な監禁・失火事件を再現する濃密な語り。人間の闇を精緻に映し出す新たな眼が開いた。
〈インタビュー〉4年ほど前に見た夢が始まりでした
【選評】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
◆ミチノオク 第三回 飛島/佐伯一麦
◆めぐりあい/瀬戸内寂聴
◆詩人ちゃん・キル・ミー(六)/最果タヒ
◆プリニウス(七十二)/ヤマザキマリ+とり・みき
■■ 連載小説 ■■
◆聖都創造(四)/天童荒太
◆天使も踏むを畏れるところ(五)/松家仁之
◆曼陀羅華X 2004(九)/古川日出男
◆全然(十五)/滝口悠生
◆漂流(十七)/町田 康
◆ヒロヒト(二十四)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(三十二)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(五十六)/重松 清
■■ 新潮 ■■
◆「絵のゆくえ」のゆくえ/佐藤直樹
◆暗号を語る標本――回遊型展示の可能性/松井 周
◆第33回 三島由紀夫賞発表
【受賞作】かか(一部掲載)/最年少受賞! 宇佐見りん
【選評】川上未映子/高橋源一郎/多和田葉子/中村文則/松家仁之
◆第28回 萩原朔太郎賞発表
【受賞作】雨をよぶ灯台(一部掲載)/マーサ・ナカムラ
【選評】佐々木幹郎/建畠 晢/松浦寿輝/三浦雅士/吉増剛造
◆第19回 小林秀雄賞発表
【受賞作】心を病んだらいけないの?――うつ病社会の処方箋(一部掲載)/斎藤 環 與那覇潤
【選評】片山杜秀/國分功一郎/関川夏央/堀江敏幸/養老孟司
◆令和元年のテロリズム[連載完結]/磯部 涼
第五回 令和元年から考える
◆大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(二)/片山杜秀
◆コロナの認識論(五)/養老孟司
◆あの頃何してた?(五)/綿矢りさ
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(16)
◆王立病院の闇/多和田葉子
◆方向がわからない人の地図の見方/朝吹真理子
◆OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第十四回・蜉蝣
◆小津安二郎(四)/平山周吉
◆保田與重郎の文学(二十五)/前田英樹
◆小林秀雄(六十九)/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第九十回・ぼくの先生
■ 本 ■■
◆会田 誠『げいさい』/卯城竜太
◆桐野夏生『日没』/仲俣暁生
◆温 又柔『魯肉飯のさえずり』/ミヤギフトシ
第53回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
この号の誌面
立ち読み
編集長から
新潮新人賞、三島賞など四賞同時発表
◎小山田浩子氏、又吉直樹氏と新しい選考委員が加わった第52回新潮新人賞は、3時間に及ぶ激論の末、ダブル受賞となった。
◎2042通の応募作の頂点に選ばれたのは、小池水音氏の「わからないままで」と、濱道拓氏の「追いつかれた者たち」。「わからないままで」は父と息子の関係を軸に、家族の肖像を浮き彫りにし、人生を独自の距離からスケッチする。「追いつかれた者たち」は、20世紀の終盤に少年ら数人が焼け死んだ失火事件の「真相」をドストエフスキーやフォークナーを思わせる筆致で描く。
◎第19回小林秀雄賞、第28回萩原朔太郎賞、そしてコロナ禍で延期となっていた第33回三島由紀夫賞も同時に発表する。賞の発表自体は点のようなものだが、数年後に受賞作を線のように繋いで振り返ると、ここで流れが変わったのかという転換点が見えてくる。受賞者の飛躍への期待を含め、数年後にターニングポイントとなる予感を感じる一冊となった。
副編集長・松村正樹
松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献
(この小説は史実に基づいて書かれていますが、登場人物はすべて架空の人物です。)
- 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
- 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
- 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
- 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
- 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
- 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
- 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
- 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
- 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
- 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
- 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
- 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
- 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
- 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
- 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
- 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
- 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
- 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
- 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
- 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
- 『昭和天皇実録 第十一』宮内庁(東京書籍)
- 『秩父宮 昭和天皇弟宮の生涯』保阪正康(中公文庫)
- 「新建築 1982年7月臨時増刊 桂離宮」(新建築社)
- 『宮殿をつくる』高尾亮一(求龍堂)
- 『皇居』入江相政(保育社)
- 『入江相政日記 第五巻』入江為年監修(朝日文庫)
- 『侍従とパイプ』入江相政(中公文庫)
- 『こんなに面白い東京国立博物館』新潮社編 東京国立博物館監修
- 『探検! 東京国立博物館』藤森照信・山口晃(淡交社)
- 『カイコの病気とたたかう』鮎沢啓夫(岩波科学の本)
- 『皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕』宮内庁協力(扶桑社)
- 『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』明石信道 文・実測図面 村井修 写真(建築資料研究社)
- 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 満洲樺太』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
- 「芸術新潮」2008年8月号「大特集 北京」(新潮社)
- 『完訳紫禁城の黄昏』上・下 R.F.ジョンストン 中山理 訳 渡部昇一 監修(祥伝社)
- 『漱石紀行文集』藤井淑禎 編(岩波文庫)
- 『吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 1934年満洲/1939年南支・朝鮮南部』塩沢珠江=著 松重充浩=監修(草思社)
- 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 朝鮮台湾』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
- 『満洲朝鮮復刻時刻表 附台湾・樺太復刻時刻表』日本鉄道旅行地図帳編集部[編](新潮社)
- 『火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか』吉村順三(新潮社)
- 『日本の近代をデザインした先駆者 生誕150周年記念後藤新平展図録』(財団法人東京市政調査会)
- 「芸術新潮」2006年8月号「全一冊 韓国 未知の美と出会う旅」(新潮社)
- 『図説 満鉄 「満洲」の巨人』西澤泰彦(河出書房新社)
- 『満洲鉄道まぼろし旅行』案内人・川村湊(ネスコ 文藝春秋)
- 『韓国の民家』張 保雄著 佐々木史郎訳(古今書院)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。