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【追悼】永遠の大江健三郎文学
山﨑修平「愛がすべて」(130枚)

新潮 2023年5月号

(毎月7日発行)

1,200円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2023/04/07

発売日 2023/04/07
JANコード 4910049010532
定価 1,200円(税込)

【追悼】永遠の大江健三郎文学
お詫びその他。筒井康隆
Numquam est四方田犬彦
作家はカタルシス野田秀樹
重層川上弘美
時代に祝福された作家だった尾崎真理子
三度の出会い多和田葉子
戦後民主主義のレジェンドかつパンク島田雅彦
魂のこと町田 康
大江さんの若さ岡田利規
戦後民主主義と文学平野啓一郎
存在そのものが、文学のような人中村文則
大江さんの笑いを引き継いで佐藤厚志
【再掲載】
難関突破ブレックスルー大江健三郎
愛がすべて[一三〇枚]/山﨑修平
一般国民が自衛銃を携行し、義勇兵に志願する東京の今。文芸誌初登場の気鋭が放つポップな想像力は愛の物語か文化瀕死の予兆か。
桜の詩 他二篇谷川俊太郎
苗代島佐伯一麦
松尾芭蕉の跡を追い、かつての大地震で変貌した象潟九十九島を巡る旅で見た風景とは?
カレーの日小山田浩子
野菜炒めカレー店で蘇る。結婚前の妻に、脇のしこりを潰され出た膿の強烈な匂いの記憶。
タムラマロ・ザ・ブラック円城 塔
金髪の征夷大将軍がガリアの族長阿弖流為アテルイと繰り広げた死闘。人類史を問う三十八年戦争。
原型瀬戸夏子
自撮り棒のない世界エトガル・ケレット 広岡杏子 訳
アルコール・ランプの揺らめく炎とともに 追悼 山根貞男蓮實重彦
ファーレ立川の岡崎乾二郎作品撤去撤回とパブリックアートという未来福永 信
生まれ消える心――傷・データ・過去下西風澄
この島にトトロはいない榎本 空
南イタリア、コラートの旅――セコップ書店の仲間たち山崎佳代子
【リレーコラム】街の気分と思考(16)
歩くだけで泣く青山七恵
吸引力の変わらないただ一つの存在平野紗季子
嫉妬と階級の『源氏物語』(五)/大塚ひかり
大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(二十)/片山杜秀
小林秀雄(九十五)/大澤信亮
地上に星座をつくる石川直樹
第百十六回・聖地での順応
見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第二一五回・わからないまま
【私の書棚の現在地】
加藤瑞穂『田中敦子と具体美術協会』/【書評委員】高山羽根子
菱岡憲司『大才子 小津久足――伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』/【書評委員】乗代雄介
■■ 本 ■■
◆滝口悠生『ラーメンカレー』/青野 暦
◆星野 太『食客論』/朝吹真理子
◆桐野夏生『真珠とダイヤモンド』/中西智佐乃
◆M・H・クリスチャンセン+N・チェイター『言語はこうして生まれる』/森田真生
■■ 新潮 ■■
文化のありがたみ(cultural appreciation)岩城けい
区切りの日加藤拓也
2023年3月17日19時12分金山寿甲
情熱の音溝――「JUKE/19.」(大竹伸朗他)を再アナログ盤化する湯浅 学
無形文化財としての神保町スーザン・テイラー
■■ 連載小説 ■■
大使とその妻(二十)/水村美苗
天使も踏むを畏れるところ(三十二)/松家仁之
漂流(四十二)/町田 康
第56回《新潮新人賞》応募規定 [ウェブ応募受付中!]
【選考委員】上田岳弘/大澤信亮/小山田浩子/金原ひとみ/又吉直樹

この号の誌面

立ち読み

編集長から

1935-2023
永遠の大江健三郎文学

大江健三郎さんが逝去された。心からご冥福をお祈りする。1957年、短篇「他人の足」での初登場以来、大江さんの「新潮」への登場は数知れない。訃報に気が動転しながら、ふと目の前にある「新潮」創刊100周年号(2004年)を手に取った。まだ60代だった大江さんが寄稿されたのは「難関突破ブレックスルー」という随筆。作家人生の危機的な難関を乗り越えた経験を回想しつつ、大江さんの眼前には「後期のスタイル」を完成させるための巨大な難関が立ちはだかっていた。「自分が小説家として経験する、あるいは最後のこの難関をなんとか突破できるとして、その時私はどのような感覚を抱くのだろうか?」――その「感覚」について大江さんに存分にうかがってみたかった◎『ハックルベリィ・フィンの冒険』のハックの台詞「よろしい、僕は地獄に行こう!」は大江さんが難しい選択を迫られた際の基本姿勢だった。その精神が新世代の創作者にバトンタッチされることを切に祈る。

編集長・矢野 優

松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献

  • 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
  • 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
  • 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
  • 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
  • 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
  • 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
  • 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
  • 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
  • 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
  • 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
  • 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
  • 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
  • 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
  • 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
  • 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
  • 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
  • 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
  • 『昭和天皇実録 第十一』宮内庁(東京書籍)
  • 『秩父宮 昭和天皇弟宮の生涯』保阪正康(中公文庫)
  • 「新建築 1982年7月臨時増刊 桂離宮」(新建築社)
  • 『宮殿をつくる』高尾亮一(求龍堂)
  • 『皇居』入江相政(保育社)
  • 『入江相政日記 第五巻』入江為年監修(朝日文庫)
  • 『侍従とパイプ』入江相政(中公文庫)
  • 『こんなに面白い東京国立博物館』新潮社編 東京国立博物館監修
  • 『探検! 東京国立博物館』藤森照信・山口晃(淡交社)
  • 『カイコの病気とたたかう』鮎沢啓夫(岩波科学の本)
  • 『皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕』宮内庁協力(扶桑社)
  • 『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』明石信道 文・実測図面 村井修 写真(建築資料研究社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 満洲樺太』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 「芸術新潮」2008年8月号「大特集 北京」(新潮社)
  • 『完訳紫禁城の黄昏』上・下 R.F.ジョンストン 中山理 訳 渡部昇一 監修(祥伝社)
  • 『漱石紀行文集』藤井淑禎 編(岩波文庫)
  • 『吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 1934年満洲/1939年南支・朝鮮南部』塩沢珠江=著 松重充浩=監修(草思社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 朝鮮台湾』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 『満洲朝鮮復刻時刻表 附台湾・樺太復刻時刻表』日本鉄道旅行地図帳編集部[編](新潮社)
  • 『火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか』吉村順三(新潮社)
  • 『日本の近代をデザインした先駆者 生誕150周年記念後藤新平展図録』(財団法人東京市政調査会)
  • 「芸術新潮」2006年8月号「全一冊 韓国 未知の美と出会う旅」(新潮社)
  • 『図説 満鉄 「満洲」の巨人』西澤泰彦(河出書房新社)
  • 『満洲鉄道まぼろし旅行』案内人・川村湊(ネスコ 文藝春秋)
  • 『韓国の民家』張 保雄著 佐々木史郎訳(古今書院)
  • 『建築の前夜 前川國男論』松隈洋(みすず書房)
  • 『前川國男 賊軍の将』宮内嘉久(晶文社)
  • 『一建築家の信條』前川國男 宮内嘉久編(晶文社)
  • 『日本建築宣言文集』藤井正一郎・山口廣編著(彰国社)
  • 『皇居に生きる武蔵野』毎日新聞社社会部写真部編(毎日新聞社)
  • 『天皇と侍従長』岸田英夫(朝日文庫)
  • 『スウェーデンの建築家』吉田鉄郎(彰国社)
  • 「野村東宮大夫の思い出」入江相政(「文藝春秋」1957年10月号)
  • 『ドキュメント皇室典範』高尾栄司(幻冬舎新書)
  • 『僕の留学時代』東山魁夷(日本経済新聞社)
  • 「芸術新潮」2008年5月号「生誕100年記念特集 東山魁夷 国民画家の素顔」(新潮社)
  • 「皇居新宮殿における宮内庁試案の意図」小畑俊介 山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第768号)
  • 『宮中歳時記』入江相政編(小学館文庫)
  • 『十番目の女神』高尾亮一(求龍堂)
  • 『小泉信三 天皇の師として、自由主義者として』小川原正道(中公新書)
  • 『東宮御所 建築 美術 庭園』設計・谷口吉郎 撮影・渡辺義雄(毎日新聞社)
  • 『現代日本建築家全集6 谷口吉郎』栗田勇監修(三一書房)
  • 『ふたりの山小屋だより』岸田衿子 岸田今日子(文春文庫)
  • 『大学村七十年誌』北軽井沢大学村組合編(北軽井沢大学村組合事務所)
  • 「週刊朝日」1958年12月14日号(朝日新聞社)
  • 「週刊文春」創刊60周年記念特別号「秘話とスクープ証言で綴る 美智子さまの60年」(文藝春秋)
  • 「芸術新潮」1960年6月号(新潮社)
  • 『千鳥ヶ淵戦没者墓苑 創建50年史』(財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会編)
  • 『谷口吉郎著作集』第四巻(淡交社)
  • 『谷口吉郎著作集』第五巻(淡交社)
  • 「赤坂御用地と常盤松御用邸の変遷」阿部宗広(国立科博専報(39)2005年3月25日)
  • 『鶴見俊輔著作集5 時論・エッセイ』(筑摩書房)
  • 『続 羊の歌』加藤周一(岩波新書)
  • 『昭和天皇実録 第十二』(東京書籍)
  • 『昭和天皇実録 第十三』(東京書籍)
  • 『入江相政日記 第六巻』(朝日文庫)
  • 『宮殿造営記録 解説編』(宮内庁)
  • 『「暮しの手帖」とわたし』大橋鎭子(暮しの手帖社)
  • 「皇居新宮殿の実施案に反映された高尾亮一と吉村順三の設計思想」小畑俊介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第772号)
  • 『風流夢譚』深沢七郎(志木電子書籍)
  • 『一九六一年冬「風流夢譚」事件』京谷秀夫(志木電子書籍)
  • 『決定版 三島由紀夫全集 30 評論5』(新潮社)
  • 『感情天皇論』大塚英志(ちくま新書)
  • 『吉村順三建築図集 別巻 補遺』(同朋舎出版)
  • 「明治宮殿の建設経緯に見る表宮殿の設計経緯」山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第572号)
  • 『天皇の料理番』上・下 杉森久英(集英社文庫)
  • 『味 天皇の料理番が語る昭和』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『味の散歩』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『料理のコツ』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『昭和天皇と鰻茶漬』谷部金次郎(文春文庫)
  • 『昭和天皇のお食事』渡辺誠(文春文庫)
  • 『天皇陛下が愛した洋のレシピ』窪田好直(河出書房新社)
  • 『天皇陛下料理番の和のレシピ』谷部金次郎(幻冬舎)
  • 『天皇さまお脈拝見』杉村昌雄(新潮社)
  • 『余丁町停留所』入江相政(人文書院)
  • 『日本名建築写真選集18 京都御所・仙洞御所』撮影 西川孟(新潮社)
  • 『《京都》御所と離宮の栞 其の二十五』(宮内庁)
  • 『宮内庁京都事務所 年報2』令和2年度(宮内庁)
  • 『世界の花 その花のふるさと』飯田深雪・村田ユリ(講談社)
  • 『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』(六耀社)
  • 『国立代々木競技場と丹下健三』豊川斎赫(TOTO建築叢書)
  • 『本瓦葺の技術』太田博太郎・監修 井上新太郎・著(彰国社)
  • 『天皇さまの還暦』入江相政(朝日新聞社)
  • 『天皇陛下 科学を語る』朝日新聞出版編 宮内庁侍従職協力(朝日新聞出版)
  • 『皇后美智子さま 全御歌』釈 秦 澄美枝(新潮社)
  • 『首都高物語』一般財団法人 首都高速道路協会(青草書房)
  • 「わが国の広域地盤沈下対策と地下水の適正利用について」上田健二(地下水学会誌 第57巻第1号3〜7)
  • 「赤坂御用地と常盤松御用邸の変遷」阿部宗広(国立科博専報 [39]2005年3月25日)
  • 『日本三大洋食考』山本嘉次郎(昭文社出版部)
  • 『三谷隆正──人・思想・信仰──』南原繁・高木八尺・鈴木俊郎編(岩波書店)
  • 『佐佐木象堂』高尾亮一(白玉書房)
  • 『象徴天皇制の成立 昭和天皇と宮中の「葛藤」』茶谷誠一(NHKブックス)
  • 『民衆の芸術』ウィリアム・モリス著 中橋一夫訳(岩波文庫)
  • 『イタリア・ルネサンスの文化』(上・下)ブルクハルト 柴田治三郎訳(中公文庫)
  • 「『宮中・府中の別』の解体過程──宮内省から宮内府、宮内庁へ──」瀬畑源(一橋社会科学 第5巻 2013年7月)
  • 「GHQ憲法草案第八二条の皇室財政規定と『世襲財産』」山田亮介(日本法学 第七十九巻第一号 二〇一三年六月)
  • 『人類と建築の歴史』藤森照信(ちくまプリマー新書)
  • 『フジモリ式建築入門』藤森照信(ちくまプリマー新書)
  • 『磯崎新と藤森照信の茶席建築談義』磯崎新・藤森照信(六耀社)
  • 『皇后陛下古希記念 皇后さまの御親蚕 皇后さまが育てられた蚕が正倉院宝物をよみがえらせた』(扶桑社)
  • 『宮殿造営記録 図面編』(宮内庁)
  • 『黒田辰秋 木工の先達に学ぶ』早川謙之輔(新潮社)

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞