新潮文庫メールマガジン アーカイブス
今月の1冊


 Yonda?Mailを読んでくださっている皆さん、こんにちは。
 新潮文庫から、シリーズ累計60万部を超えた「最後の恋」シリーズにつづく、新たな恋愛アンソロジーが登場しました。

 三浦しをんさん、原田マハさん、窪美澄さんといった、いまノリにノっている人気作家の渾身の作品。
 そして「真夜中のパン屋さん」シリーズでブレイク中の大沼紀子さんをはじめ、瀧羽麻子さん、千早茜さんというフレッシュな才能を堪能出来る作品。
 さらには、あの柴門ふみさんの書き下ろしマンガまで! 

 この『恋の聖地―そこは、最後の恋に出会う場所。―』には、読めばきっと恋がしたくなる、7つの素敵な物語がつめこまれています。だけど、この作品の読みどころは、それだけではないんです。

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2013年06月10日   今月の1冊



 Yonda?Mailを読んでくださっている皆さま、こんにちは。

 今日ご紹介するのは、イギリスの作家、いやストーリー・テラーであるジェフリー・アーチャーの壮大なサーガ『時のみぞ知る―クリフトン年代記 第1部―』です。

 アーチャーといえばコン・ゲームの名作『百万ドルをとり返せ!』などのミステリ系の作品を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、もうひとつ忘れてはならないのが、まったく異なる境遇の主人公二人の生涯を描いた『ケインとアベル』に代表されるような長編小説です。アーチャーはこのような小説をサーガとよんでおり、日本で言えば、大河ドラマのようなものです。熱心なアーチャー・ファンは、このサーガこそが彼の王道である、と断言する方も多いのです。そしてこの作品は、畢生の最高傑作と自信を持ってお勧めできます!

 舞台は1920年代、イングランド南西部のブリストルという港町です。そこに労働者階級のクリフトン家と貴族のバリントン家という、普通なら階級の違いから交錯することのない両家が、なんとも奇妙な運命の巡り合わせで……。

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2013年05月10日   今月の1冊


 Yonda?Mailを読んで下さるみなさん。こんにちは。

 今日、ご紹介するのは、星野智幸さんの小説『俺俺』です。
 本作は、第5回大江健三郎賞受賞作。そして本作を原作にした映画が、5月25日から全国ロードショー公開される話題作です(監督は「時効警察」で話題を集めた三木聡さん。そして主演は、KAT-TUNの亀梨和也さんです!)。

 ところで、『俺俺』というタイトルからイメージするのは、そう、オレオレ詐欺(いまは振り込め詐欺とも呼びますね(^^))ですね。電話で「俺、俺」と繰り返し、相手に身内と信じ込ませて、大金をだまし取る手口は、現在も大きな社会問題です。

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2013年04月10日   今月の1冊


 切れ味鋭いトリック、幻想的なイメージ、心の深層を抉る人間ドラマ。
 道尾秀介さんの作品には、さまざまな魅力があります。このたび刊行された『月の恋人―Moon Lovers―』の最大の魅力は、ずばり、恋愛小説としての純度! フジテレビ系月9ドラマとのコラボ作品として話題になった本作を読めば、あなたの忘れかけていた(?)恋心が甦るかもしれませんよ。

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2013年03月11日   今月の1冊


 あなたにも、きっと、好きなロックバンド、ミュージシャンがいることでしょう。私にも数え切れないくらい、好きなバンドやミュージシャンがいます。

 ここに、殺人事件という嵐に襲われ、崩壊寸前の人気ロックバンドをめぐる、ひとつの物語が誕生しました。

「夏の100冊」でおなじみ『ブラバン』の著者である津原さんはバンドやソロなどのスタイルで活動を続ける、現役のミュージシャンでもあります。打ち合わせの合間、ロックについて雑談するなかで、
「津原さんに、ぜひ、ロックバンドをめぐるストーリーを描いてほしい」
 という気持ちが育ってゆきました。
 そして、ある年の某日、その思いをお伝えしました。

 音を発することのない小説というメディアから旋律を響かせるというのはいかに困難なことか。存在しないロックバンドに生命を与えることがどんなに大変か。思い返せば、乱暴無謀な依頼でした。

 そして――、昨年10月末、〈クロニクル・アラウンド・ザ・クロック〉が新潮文庫の新シリーズとしてスタートしました。

 第一巻『爛漫たる爛漫』の原稿を読みはじめたとき、私の耳にはロックバンド爛漫の演奏する姿が見えました。彼らが全身全霊で奏でる曲の数々が確かに聞こえました。物語が終わったとき、ギターの残響を味わいながら、しばらくデスクから動けませんでした。

 ここで、主要な登場人物を紹介しましょう。


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2013年02月12日   今月の1冊