女性研修医だけが気づいた真の病名。異なるタイプの引きこもり患者を救うひと癖ある精神科医。無差別殺人の犯人の命を救うため外科医コンビが行った緊急手術。「神の眼」を持つ医師が友の脳腫瘍のために握る電気メス。伊豆地域が誇る医療チームが奔走する深夜の出産。
彼らは治療方針を立てる。決断する。オペを行う。
私たちの命を守るために――。
9名の医師作家が自らの知識と経験をもとに臨場感あふれる筆致で描く、医療エンターテインメント小説集が刊行されました。
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以下に、収録作品をご紹介します。
「研修医ヒナノの洞察」午鳥志季――「先生の診断、本当に合っているのかな?」 パワハラにもめげない女性研修医を主人公にした医学ミステリです。
「魚類譚」朝比奈 秋――学長から外科医がひそかに依頼されたこととは......。最注目の純文学作家が、秘密の手術=医学界の闇を描きます。
「パイナップルがある光景」春日武彦――タイプの異なるふたりの引きこもり患者を、変わり者の精神科医はどう救ったのか。精神科の奥深さがここに。
「救いたくない命」中山祐次郎――最強の外科医コンビ再び。人気作『俺たちは神じゃない』の続編登場です。今度のミッションは無差別殺人犯の救命!?
「春に綻ぶ」佐竹アキノリ――コロナ禍下で医療従事者として日々を過ごす若き研修医のかかえる悩みとは。等身大の医師たちを活写する瑞々しい短編です。
「闇の論文」久坂部 羊――若手研究者の論文はなぜ認められなかったのか。医学界のタブーを奥底から抉る、まさに著者の真骨頂たる短編です。
「言葉が消えるまえに」遠野九重――「神の眼」を持つ脳外科医の前に現れたのはかつての友だった。脳外科を深く描いた短編です。
「空中テント」南 杏子――元教師、尊敬していた父が認知症に......。患者に寄り添ってきた著者が介護問題に揺れる家族を浮き彫りにします。
「峠を越えてきた命」藤ノ木 優――伊豆半島の命の砦を少人数で支えてきた医療チームがギリギリの状況の分娩に挑みます。命の原点――出産を描きます。
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本書に登場する医師たちは、あなたに生きることの意味を語りかけます。
最前線の医療ターテインメントをぜひ体感してください。