ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:波 > 雑誌詳細:波 2020年1月号

今月の表紙の筆蹟と絵は、矢部太郎さん。

波 2020年1月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/12/27

発売日 2019/12/27
JANコード 4910068230102
定価 100円(税込)
「波」はお近くの書店からもご注文できます。

阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第28回

[座談会]藤原正彦×檀 ふみ×阿川佐和子/文士の子ども被害者の会 Season3 後篇
【新連載】
永田和宏/あなたと出会って、それから……
南沢奈央、イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって
小松 貴/にっぽん怪虫記
石田衣良『清く貧しく美しく』
[インタビュー]石田衣良/冷たい時代の、幸せな二人

古市憲寿『奈落』
與那覇 潤/クリスタルが濁りだすとき

モーシン・ハミッド、藤井 光/訳『西への出口』(新潮クレスト・ブックス)
小野正嗣/不透明な出口に向かって

藤野恵美『涙をなくした君に』
大泉りか/正しさに、首を締められる妻、そして母

夏樹玲奈『なないろ』
一木けい/苦しい恋と創作。奥底を覗き込んで

西原理恵子、佐藤 優『とりあたま元年―最凶コンビよ永遠に!編―』
西原理恵子、佐藤 優/とりあたま元年

名越健郎『秘密資金の戦後政党史―米露公文書に刻まれた「依存」の系譜―』(新潮選書)
牧原 出/公文書の声に耳を傾ける

菅付雅信『動物と機械から離れて―AIが変える世界と人間の未来―』
斎藤幸平/人間 vs. AI? それとも、人間 vs. 資本主義?
[座談会]鴻巣友季子×柚木麻子×峰 なゆか/『風と共に去りぬ』にツッコミまくる夜
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第25回

【今月の新潮文庫】
ブレイディみかこ『THIS IS JAPAN―英国保育士が見た日本―』
久米 宏/日本に階級は存在する……
【私の好きな新潮文庫】
大友花恋/誰かを救う十分間
 江國香織『つめたいよるに
 山田詠美『放課後の音符
 川上弘美『ざらざら

新潮文庫 中高生のためのワタシの一行大賞受賞作品発表
【コラム】
[とんぼの本]
とんぼの本編集室だより

三枝昂之・小澤 實/掌のうた

[新潮新書]
田中優介『地雷を踏むな―大人のための危機突破術―』
田中優介/人間関係の「地雷」はすぐそこに
【連載】
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第9回
会田弘継/「内なる日本」をたどって 第7回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第118回
川本三郎/荷風の昭和 第20回
曽野綾子/人間の義務について 最終回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟と絵は、矢部太郎さん。

◎ロバート・エヴァンズが亡くなりましたね。と言っても、本誌五万人読者で彼を識る方は五百人いないかもしれません。「ゴッドファーザー」「ある愛の詩」等を作ったハリウッドの伝説的プロデューサーです。
◎先週、スコセッシ監督、デ・ニーロ、パチーノ、ペシの大作「アイリッシュマン」を堪能しました。ジョー・ペシが演じるのは実在したマフィアの顔役ラッセル・ブファリーノ。原作によると、「ゴッドファーザー」で落ち目の歌手を演じたアル・マルティーノは、あの役を志願したもののコッポラ監督に拒絶されたため、ラッセルへ泣きついたら、翌々日にはエヴァンズから逆転OKの電話があった由。つまり「ゴッドファーザー」の中と同じことが(ただし馬の生首なしで)現実にも起きていた!
◎エヴァンズには『くたばれ! ハリウッド』という自伝があって、宿敵コッポラとの抱腹絶倒の悪態合戦あり(この監督の口八丁には弱いようで、警戒しながらもつい説得され、「コットンクラブ」では大赤字を出す)、愛妻アリ・マッグローをスティーブ・マックィーンに奪われる破鏡譚あり、浮沈の激しい人生をあけすけに綴ってやたらと面白い。わたしが東映の日下部五朗さんの回顧録『シネマの極道』を聞き書きした時、目標にしたのはこの本でした。
◎2019年のもう一本の話題作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の主要人物シャロン・テートも自伝に出て来ます。夫ポランスキーの「ローズマリーの赤ちゃん」と「チャイナタウン」の製作者はエヴァンズだから不思議ではありませんが、何と「ワンハリ」でも描かれた惨劇の夜、シャロンから家に来ないかと誘われて……。
▽次号の刊行は一月二十八日です。

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。