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漫画家デビュー70周年企画
手塚治虫の エロティカ
《初公開 永久保存グラビア!》

新潮 2016年12月号

(毎月7日発行)

特別定価1,049円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/11/07

発売日 2016/11/07
JANコード 4910049011263
定価 特別定価1,049円(税込)

息子と狩猟に/服部文祥

 狩猟者と犯罪者。人と獣の狭間で生きる魂が劇的に交錯する。想像力と倫理の臨界点へ!

◆楽園/玄月

 盗まれた鍵の行方と人の命運を描く超群像劇

◆肉声[戯曲]/平野啓一郎

 大戦中の妾宅に女の声が響く。艶やかに、哀切に。コクトー『声』に触発された著者初戯曲

◇『肉声』縁起/平野啓一郎

■■ 連載小説 ■■

■野の春(三)/宮本 輝

■エリザベスの友達(五)/村田喜代子

■ミライミライ(七)/古川日出男

■TIMELESS(九)/朝吹真理子

■黎明期の母(十一)/島田雅彦

■光の犬(十六)/松家仁之

■ペインレス(十八)/天童荒太

■■ 漫画家デビュー70周年企画 ■■

◆手塚治虫のエロティカ《初公開 永久保存グラビア!》

 国民的漫画家が密かに描き続けたエロティック素描群が発掘された。いつ、何のために? 驚くほど艶めかしいイメージをグラビア初公開。性を超越したエロスとメタモルフォーゼへ向かう欲望を検証する!

◇手塚治虫のエロス/筒井康隆

◇密かな父の享楽に触れ……/手塚るみ子

◇解説・メタモルフォーゼの魅惑/中条省平

◇解題・習作に見る描線へのこだわりと表現力/濱田高志

●70周年記念本紹介/濱田高志

【鼎談】

◆愛(いと)しんどい京都/綿矢りさ×万城目学×森見登美彦

 京都小説の二達人と初めて故郷を書いた京都人が語り合う、街と作家と物語の特別な関係

甦る幻の島尾日記――『死の棘』その前夜/梯久美子

 日記の修復で甦る、妻が発狂した「その日」

◆楽園からの逃亡
――イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』をめぐって/川本 直

 吉田健一に導かれて、英国文学の珠玉を読む

◆編集者 漱石[第二回・一二〇枚]/長谷川郁夫

 後の文豪は有能かつ画期的な編集者だった。漱石の青年期を新視点で捉え直す野心的評伝

◆言葉と衣服――第三回・モダニズム再考/蘆田裕史

 ファッションはモダニティから逃れられるか

■批評の魂[第十二回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十九回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第四十七回・健康第一

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一四六回・未来風味の亀

■新潮
・現実の予兆と、演劇/宮沢章夫
・欧州ツアー日記/Phew
・「東北・沖縄」展で感じたこと/清水 穣
・メメントモリは続く/メレ山メレ子

■本
・アンソニー・ドーア『すべての見えない光』/日和聡子
・保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』/湯浅 学
・岡田秀則『映画という《物体X》――フィルム・アーカイブの眼で見た映画』/渡邉大輔

第49回《新潮新人賞》応募規定

この号の誌面

立ち読み

編集長から

人の倫理と獣の摂理
服部文祥「息子と狩猟に」

服部文祥「息子と狩猟に」(一六〇枚)は〈命の価値〉を探求する物語だ。狩猟者が山中で自問している。なぜ殺したのか? 獲物の肉塊を前に、その命が生きた過去と生き得た未来の時間の塊に圧倒されながら――。そして別の場所では、犯罪者が死体を前に自問する。なぜ殺したのか? 弱肉強食は自然の摂理ではないか、と呟きながら――。この命を狩る者ふたりが運命に導かれ、邂逅した瞬間、何が起きたのか……。現代日本の格差や貧困は人らしさの閾を急激に押し下げ、今や人の倫理と獣の摂理の境界は揺らいでいる。そんな時代に向け、過激な登山活動を通して〈命〉を考え続けてきた書き手が、想像力の強靭な矢を放った◎平野啓一郎「肉声」は氏にとって初戯曲。コクトーの戯曲「声」を出発点にしながら、写真家・杉本博司氏(本作全体の構成担当)との議論を通じ、大胆に創作し直した本作は、舞台を大戦期の東京に置くことで、私たちにとって鋭い現代性を獲得した。

新潮編集長 矢野 優

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞