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今月の編集長便り 毎月10日のメルマガで配信さている「編集長から」を「今月の編集長便り」として再録しました。こんなことを考えながら日々仕事しています。

3度目の緊急事態宣言の中で

 

 長引くコロナ禍で、昨年に続いてなすこともないゴールデンウィークとなりましたが、全面的な正常化が見えてきたアメリカから、まさしく非常事態真っ只中のインドまで、国によって状況は様々に違います。その意味では、国家と国境は今もはっきり機能していると言えるでしょう。
 5月新刊のイチ推し、『国家の尊厳』(先崎彰容・著)は、内外とも混迷をきわめる時代、日本が誇りある国として生き延びるための道筋を問います。『国家の品格』(藤原正彦・著)から15年、気鋭の思想史研究者による堂々たる国家論の誕生です。
シルクロード―流沙に消えた西域三十六か国―』の著者・中村清次さんは、一大ブームを巻き起こしたNHK「シルクロード」シリーズの元取材団長で、番組終了後も数々の「謎」解明に取り組んできました。舞台となった新彊周辺は近年きな臭い話ばかりですが、中高年ファンにとっては懐かしさと知的冒険にあふれた一冊です。

57歳で婚活したらすごかった』は前著『婚活したらすごかった』から10年、今なお婚活にまい進するフリーライターの石神賢介さんが、過激なエピソードからしんみりする話まで、実体験を余すところなく描きます(巻末には実践的なマニュアル付き)。
現役引退―プロ野球名選手「最後の1年」―』(中溝康隆・著)が描きだすのは、王・長嶋から桑田・清原まで、華々しい世界の裏側にある「もがき苦しむ男たち」のラストイヤー。プロ野球好きの中高年にはどれもが忘れられない名選手ばかり、ドラマあふれる24篇です。
2021/05