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【秋の時代小説大特集】
【第五回「新潮ミステリー大賞」決定発表】

小説新潮 2018年10月号

(毎月22日発売)

998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/09/22

発売日 2018/09/22
JANコード 4910047011081
定価 998円(税込)
■まとめ テーマでくくる 本選びのヒント
写楽、その正体は誰なのか?

■目次
【秋の時代小説大特集】

〈新連載〉
◆今村翔吾/八本目の槍
――賤ケ岳七本槍――昔日の朋輩の胸に兆す、もう一人の男の姿

澤田瞳子/当世実盛
――修業中の豊太郎に支援話が。師匠を慮り受けようとするも

◆木下昌輝/戀童れんどう夢幻 乱の章 中編
――上様の念友になりたい。そのためには、奴が邪魔なのだ――

西條奈加/相撲始末 せきこえ
――娯楽がないに等しい関所に力士の一行がやってきた、しかし

志川節子/芽吹長屋仕合せ帖 ふたりと、ひとり
――行方不明のままの磯太夫。おえんは知恵を借りようと

◆三好昌子/百鬼遊行絵巻 鳥の段
――上皇の御幸に合せ、噂の舞の興行を義政が光信に命じ――

矢野 隆/耕書堂モンパルナス 其ノ肆 蔦重が迷う
――憎いのは御上の過度な倹約令。蔦重は河原崎座の頼みに

諸田玲子/御殿山 お鳥見女房ふたたび
――次男が生まれた。そこへ、生さぬ仲の長男に養子の話が……

【刊行記念二大企画】
◆『大名絵師写楽』刊行記念対談
野口 卓×渡辺 保/これが我らの写楽道
――写楽の何が我々を惹きつけるのか――正体を超えたところにある絵師と作品への情熱を、縦横無尽に語りつくす

◆『見返り検校』刊行記念紀行&グラビア
乾 緑郎/『見返り検校』を巡る江の島探訪記
――今なお名声高い江戸時代の検校・杉山和一。その生涯を見事に換骨奪胎した作家が気ままに綴る、ゆるい巡礼の旅日記

〈新連載〉
京極夏彦/今昔百鬼拾遺 天狗
――偶々訪れた探偵社で美由紀は美弥子と出逢う。だが美弥子の依頼は思いもかけぬもので――版元連合企画、満を持しての最終章、ついに開幕

【特選読み切り短編】
越谷オサム/タイガースはとっても強いんだ
――気になる同期と野球観戦! 勝利はおれにかかってる!?

木内 昇/北聖町の読心術師
――私が男の人に好かれるはずがない。私は絶対ただの繋ぎだ

◆松尾 潔/たのしい税金
――八年ぶりに再会した昔の恋人。自然に二人はバーへと流れ

第五回「新潮ミステリー大賞」決定発表】
――記憶を覗き、記憶を除く。議論百出の果てに現れた超新星受賞作
〈受賞作〉
◆結城真一郎/スターダスト・ナイト(抄)

〈選評〉伊坂幸太郎貴志祐介道尾秀介

【連載第二回】
今野 敏/清明 隠蔽捜査8
――神奈川県警刑事部長に着任早々、東京との境界で事件発生

江上 剛/特命金融捜査官 清算
――28年前の事件には真犯人がいる。死刑囚の告白は果たして

【バラエティコラム】
〈思い出の手料理〉玉置標本
〈もういちど会いたい〉永松真依
〈いつか住みたい街〉森 百合子

【連載エッセイ・マンガ・インタビュー】
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
ペリー荻野/テレビの荒野を歩いた人たち 菅原俊夫の巻 後編
道草晴子/下北日記

◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史

【好評連載小説】
赤川次郎/いもうと
朝井まかて/輪舞曲 ロンド
安部龍太郎/迷宮の月
石田衣良/清く貧しく美しく
奥田英朗/霧の向こう
熊谷達也/我は景祐
黒川博行/熔果
白石一文/ひとりでパンを買いに行く日々に
西村京太郎/富山地方鉄道殺人事件
楡 周平/鉄の楽園
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
藤野恵美/サバイバーズ・ギルト
薬丸 岳/刑事弁護人
山本文緒/自転しながら公転する

第十七回「小林秀雄賞新潮ドキュメント賞」決定発表
第六回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

時代小説の楽しみ方 ご教示いたします

 歴史上の人物の正体に思いを巡らせるのは、時代小説の楽しみのひとつ。その最右翼とも言える東洲斎写楽に対し、大胆な仮説を展開した小誌連載の野口卓氏『大名絵師写楽』刊行を記念した対談が読ませる。野口氏と、自身も写楽に関する著書を持つ歌舞伎評論家・渡辺保氏の、互いに浮世絵専門家ではない立場から繰り出される自由な考察は、読み巧者による謎解きミステリー解説のごとき趣がある。
 読み応え十分のこの対談に加え、恒例の「秋の時代小説大特集」では、今村翔吾、澤田瞳子、木下昌輝、西條奈加志川節子矢野隆、三好昌子、諸田玲子の8氏による力作が、時代小説の多彩な楽しみを与えてくれる。
 また今月は、これまで「鬼」「河童」がテーマとなった京極夏彦氏「今昔百鬼拾遺」シリーズの最新編「天狗」の連載もスタートする。鉄道を舞台にした越谷オサム氏の読み切り連作、今回は「タイガースはとっても強いんだ」。甲子園球場に電車で通うファンは必読だろう。

小説新潮編集長 江木裕計

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞