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【特集 秋の夜長の時代小説】
木内 昇/永井紗耶子/近衛龍春/藤原緋沙子

小説新潮 2020年10月号

(毎月22日発売)

1,000円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/09/23

発売日 2020/09/23
JANコード 4910047011005
定価 1,000円(税込)
■目次
【特集 秋の夜長の時代小説】
肌寒さを感じる日は、なつかしい時代に思いを馳せて――

〈小説〉
木内 昇/雪草紙 雲の脚〈新連載〉
――我が里では雪が二間積もる。それを江戸で法螺だと笑われた男は……。ベストセラー『北越雪譜』誕生までの四十年。

永井紗耶子/小道具夫婦かく語る 木挽町のあだ討ち
――おしゃべりな女房と無口な亭主が菊之助に重ねたのは……

近衛龍春/お家再興のために
――伊達に騙され所領を失った和賀忠親に、回復の好機が訪れ

藤原緋沙子/こほろぎ へんろ宿
――高熱を出した泊り客は、医者ではなくある女を呼べと言い

安部龍太郎 作家生活30周年記念特別企画】
〈対談〉
◆安部龍太郎×澤田瞳子/価値観の磁場から脱するために
――時代小説の先端を走り続ける二人。書くことで浮かび上がる、この国の問題点を打破するためのきっかけは――

〈評論〉
大矢博子/収穫の時は続く―作家・安部龍太郎30年史―
――「隆慶一郎の再来」と言われたデビューから現在までの軌跡を辿る
【大人気シリーズ再始動! 新連載】
今野 敏/探花 隠蔽捜査9
――ヴェルニー公園で遺体が発見された。米軍基地を抱える横須賀で何が起きたのか――。新ライバル登場、激動の新章開幕!
【連載第二回】
原田ひ香/財布は踊る
――ハワイ旅行で散財したのに呑気な夫。みずほは不審に思い
第七回「新潮ミステリー大賞」決定発表】
〈大賞〉
◆荻堂 顕/私たちの擬傷(抄)
〈選評〉
伊坂幸太郎貴志祐介道尾秀介
【特別インタビュー】
◆高橋一浩(東映)/仮面ライダーが小説家!? 文豪ヒーロー誕生物語
――なぜ数多ある職業の中〈小説家〉が選ばれたのか。知られざる「仮面ライダーセイバー」の裏側を東映プロデューサーが語りつくす!
【バラエティコラム】
〈あのとき聞いた音楽〉福田麻貴(3時のヒロイン)
〈もういちど会いたい〉バンベニ桃
〈いつか住みたい街〉勝目純也
【連載エッセイ・マンガ・ノンフィクション】
石井光太/いのちの家 「こどもホスピス」をめぐる物語 最終回
◆いしいひさいち/剽窃新潮
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
川上和人/オニソロジスト嘘つかない 最終回
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆清水克行/アナーキー・イン・ジャパン
筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
矢部太郎/ぼくのお父さん
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
青山文平/泳ぐ者
浅田次郎/母の待つ里にて
梓澤 要/華の譜 徳川和子と後水尾天皇
江國香織/ひとりでカラカサさしてゆく
桜木紫乃/緋の河 第二部
佐藤賢一/パッション
重松 清/十一番目の色 シリーズ「まなつ」
千早 茜/しろがねの葉
長浦 京/プリンシパル
西加奈子/夜が明ける
西村京太郎/近鉄特急殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
葉真中顕/異郷のイービス
本城雅人/黙約の傷
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
◆薬丸 岳/刑事弁護人
山田詠美/血も涙もある 最終回
山本一力/ひむろ飛脚
第十九回「小林秀雄賞新潮ドキュメント賞」決定発表
第八回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

遠い人とも心が通じる小説の魔法にかかって

 雨の京都で、その対談は始まりました。作家生活三〇周年を迎えた時代小説家の安部龍太郎さんと、デビューから一〇年足らずの澤田瞳子さん。だいぶキャリアの違うお二人ですが、ご挨拶もそこそこに話がはずみます。新刊の感想には書き手ならではの実感がこもり、歴史観では意気投合。作品を通したお二人の交流に胸が熱くなります。
 木内昇さんの新連載「雪草紙 雲の脚」の主人公は、江戸後期の兼業作家、鈴木牧之すずき・ぼくし。どんな立派な人なのかと頁をめくると、そこに描かれていたのは現代でも「あるある」な家庭内のいざこざと、それに対して無力な主人公の姿。二〇〇年前の人が一気に近しく思えました。どんなに遠い人とも作品を通して心を通わせることができる、小説の醍醐味をここでも感じました。
 さらなる新連載は今野敏さんの〈隠蔽捜査〉シリーズ第九弾。タイトル「探花たんか」は、中国の科挙制度から採られたそう。この言葉が竜崎にとってどんな意味を持つのか、とても楽しみです。

小説新潮編集長 西麻沙子

次号予告

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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