【特集】現役医師が書く医療小説
小説新潮 2022年9月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2022/08/22 |
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JANコード | 4910047010923 |
定価 | 1,000円(税込) |
【特集】現役医師が書く医療小説
◆知念実希人/天久鷹央の推理カルテ 禁断の果実
――春先にだけ起こる肝炎? 統括診断部に診察依頼が来て
◆中山祐次郎/救いたくない命 麻布中央病院外科
――最強の外科医コンビが本誌初登場。迫られた究極の選択
◆朝比奈秋/魚類譚
――大学病院の教授選を前に、外科医の私は学長室に呼ばれ
◆佐竹アキノリ/春に綻ぶ
――こんなことなら、内科医になどならなければよかった――
◆南 杏子/空中テント
――久しぶりに実家に帰ると、かつての父は見る影もなく……
◆久坂部羊/闇の論文
――指導した若手の研究成果を世に出そうと意気込む山極だが
〈ルポ〉
◆患者たちの図書室
――病院の一角に並ぶ本。誰が、なんのために? 司書たちが教えてくれた「物語の力」とは
【特選読み切り】
◆井上荒野/大人へのボート
――二十歳過ぎてヴァージンはキモい。だから恭一くんとする。まだ好きになってもないけれど……
◆島本理生/さよなら、惰性
――夫と別れ三カ月。新しい恋人、張り合いのある仕事。だけど切り離せない、あなたとの関係
【『ループ・オブ・ザ・コード』刊行記念対談】
◆小川 哲×荻堂 顕/小説の中に“歴史”を造る
――壮大なフィクション世界に、確かな都市や国家を生み出すふたり。彼らの熱き創作論とは
【大好評! 連載第二回】
◆河崎秋子/ともぐい
――仕留めた鹿を担いで、里へ。人嫌いの熊爪が出会うのは
◆新川帆立/三行半のお手伝い 縁切り弁護士・松岡紬
――今度の依頼人は離婚したくない夫。何やら秘密がありそうで
◆酒井順子/松本清張の女たち
――『ゼロの焦点』に描かれた「表」と「裏」の対比とは
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉石田夏穂
〈わたしの東京〉伊藤 紺
〈うれしい買い物〉馬田草織
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆加納愛子/行儀は悪いが天気は良い
◆河合香織/4分の1の遺伝――神が曲げたもの――
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆スズキナオ/家族が一番わからない
◆田中卓志/ちょっと不運なほうが生活は楽しい
◆友近/友近道中
◆益田ミリ/ツユクサナツコの一生
◆群ようこ/四十年、こんな感じで書いてます
◆山本さほ/てつおとよしえ
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
◆赤川次郎/暗殺
◆伊吹有喜/灯りの島
◆乙川優三郎/ロゴスの海のジプシー
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆桐野夏生/ダークネス
◆篠田節子/ドゥルガーの島
◆寺地はるな/雲に届く
◆中山七里/絡新婦の綸 警視庁サイバー犯罪対策課
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
◆宮城谷昌光/公孫龍
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
第十回「新潮ミステリー大賞」募集要項
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この号の誌面
編集長から
主人公はいなくても物語は続く
昨年の4月号から、益田ミリさんのキュートなイラストが表紙を飾っています。「本を読む人」というテーマで、毎月いろんな場所で本を開く様子が実に楽し気です。同時に始まった連載「ツユクサナツコの一生」では、表紙のモチーフを物語に忍ばせつつ、バイトのかたわら漫画を描く女性の暮らしをのんびり描いていた……はずでした。先月号でナツコが突然倒れ亡くなったことが示唆されると、読者から次々と「どういうことですか?」「ショックです」との声が。フィクションの登場人物の死に心を痛めることはままありますが、まさか主人公が、とは私も含めて誰も思っていなかったのでしょう。タイトルの「一生」という言葉の意味を、今も考え続けています。
特集は「現役医師が書く医療小説」。最新の知見、変わらない病院の体質、死に近づいていく患者をどうにか引き戻そうとする現場の奮闘……知念実希人さんの大人気シリーズ「天久鷹央」の最新作も、ここで読めます。
小説新潮編集長 西麻沙子
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バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。