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今月の表紙は朝吹真理子さん。

波 2018年7月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/06/27

発売日 2018/06/27
JANコード 4910068230782
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第10回
[対談]朝吹真理子×磯田道史/六本木に重なる四百年前の麻布が原

【飯嶋和一『星夜航行』刊行記念特集】
[インタビュー]飯嶋和一/激動期の使命、人を人たらしめるもの
姜 尚中/激動する現代のアジアをも見通す祈り

【『大家さんと僕』手塚治虫文化賞短編賞受賞記念特集】
矢部太郎×手塚るみ子/治虫さんと僕
[描下し漫画]矢部太郎/大家さんと僕 受賞記念番外編

【宿野かほる『はるか』特別企画】
あなたは人工知能を見破れましたか? AI vs. 編集者 キャッチコピークイズ

長谷川郁夫『編集者 漱石』
町田 康/一番恐ろしいのは編集者なのか

レベッカ・マカーイ、藤井 光/訳『戦時の音楽』
江南亜美子/それぞれの戦争、それぞれの音楽

J・D・サリンジャー 、金原瑞人/訳『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』
[対談]金原瑞人×佐藤多佳子/サリンジャーの星は出そろったのか?

【国分 拓『ノモレ』刊行記念特集】
[インタビュー]国分 拓/アマゾンの“時間”を書く
最相葉月/罪深い私たちの物語

坂口恭平『家の中で迷子』
佐々木 敦/迷子になるのは、いつも家の中

井上荒野、江國香織『あの映画みた?』
山内マリコ/映画のことを話すのは楽しい!

仁木英之『師弟の祈り 僕僕先生―旅路の果てに―』
[対談]仁木英之×三木謙次/僕たちにとっての始まりの物語

小島慶子『幸せな結婚』
吉田大助/「幸せになった」とはとても思えないにもかかわらず

芦沢 央『火のないところに煙は』
榊 桔平/浮かび上がる異様さと恐怖

伊藤祐靖『自衛隊失格―私が「特殊部隊」を去った理由―』
養老孟司/体を張って、本気で勤めてみたら

岸田雪子『いじめで死なせない―子どもの命を救う大人の気づきと言葉―』
[対談]岸田雪子×尾木直樹/子どものSOSに大人が気づきたい

川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(新潮文庫)
仲野 徹/無謀なる鳥類学者は超優秀? それとも……

【コラム】
宇佐美典也『逃げられない世代―日本型「先送り」システムの限界―』(新潮新書)
宇佐美典也/「逃げられない世代」が見る風景

とんぼの本編集室だより

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第7回
川本三郎/荷風の昭和 第2回
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 第7回
堀部安嗣/ベーシックハウスを考える 第3回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第100回
伊藤比呂美/URASHIMA 第2回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 最終回
津村記久子/やりなおし世界文学 第50回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第28回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 最終回

編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は朝吹真理子さん。

◎ある授賞式会場の片隅で某社の編集者と雑談していたら、出版社のPR誌の話になって(彼女も各社の各誌を定期購読していて、「その日の通勤で読む分だけ――『波』のこの連載と『図書』のこの対談といった具合に――、ひっちゃぶいて鞄に入れるの」)、ひとしきり今はなくなった幾つかのPR誌を偲びました。とりわけ、小沢書店の「Poetica」。あれはリトル・マガジンの精華と呼びたくなるような雑誌で、わたしは銀座のこれも今はない近藤書店でよく貰っていました。たしか題字は吉田健一
◎「Poetica」の発行者というか小沢書店の社主だったのが長谷川郁夫さん(あの書肆の出版物では小社の大先輩山高登さん装釘の『小沼丹作品集』が大好き)。もう、『美酒と革嚢かくのう』『堀口大學』『吉田健一』等の分厚くて、思いが籠って、美しい評伝の書き手としての方が有名かもしれません。長谷川さんの最新作は今月刊行の『編集者 漱石』。つまり、出版界のウラオモテに通じた腕っこきの編集者が描き出す〈編集者としての文豪〉です。面白くならない訳がない。
◎長谷川さんは『吉田健一』で、あの批評家にとって大切な存在だったさる不運な出版人の心情を「想像したくない」としています。これは吉田さんが父・茂の不遇期を「想像したくもない」と吐き捨てるように記した言葉と響き合い、胸が熱くなりました。
◎今月の表紙は朝吹真理子さん。芥川賞を受賞した『きことわ』以来、7年ぶりの新作(つまり受賞第一作)『TIMELESS』が上梓されます。ついに!
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▽次号の発売は7月27日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。