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今月号の表紙は、佐藤愛子さん。

波 2019年1月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/12/27

発売日 2018/12/27
JANコード 4910068230195
定価 102円(税込)

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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第16回

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【藤原正彦『国家と教養』(新潮新書)刊行記念特集】
[インタビュー]藤原正彦/本当の教養人だったら、こんな本は書かなかった

【乙川優三郎 二冊連続刊行記念特集】
乙川優三郎『二十五年後の読書』
小川高義/文章家の再生
乙川優三郎『この地上において私たちを満足させるもの』
角田光代/声を獲得する

ウラジーミル・ナボコフ/著、杉本一直/訳、秋草俊一郎/訳『ナボコフ・コレクション ルージン・ディフェンス 密偵』
いとうせいこう/勝負、あるいはプレイ

アントワーヌ・ローラン/著、吉田洋之/訳『ミッテランの帽子』(新潮クレスト・ブックス)
野崎 歓/「神」の御利益あらたかな帽子

鴻巣友季子『謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―』(新潮選書)
中島京子/「し、知らなかった、なんですって!?」

小泉武夫『骨まで愛して―粗屋五郎の築地物語―』
太田和彦/「粗屋」の開店はいつ?

望月諒子『蟻の棲み家』
大森 望/イヤミスを突き抜けた、年間ベスト級の衝撃作

伊与原 新『月まで三キロ』
北上次郎/膨大な時の流れと瞬間の感情

クリスチャン・ダベンポート/著、黒輪篤嗣/訳『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』
藤吉雅春/二人の「変人」が宇宙と地球のあり方を変える

【吉川景都『さよならわたしのおかあさん』刊行記念特集】
スザンヌ/「当たり前」な今、だからこそ
吉田伸子/受け継がれていく「愛のバトン」

福田ますみ『モンスターマザー―長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い―』
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【今月の新潮文庫】
美濃部美津子『志ん生の食卓』
平松洋子/江戸の匂いと笑いの明かり

[新潮文庫]中高生のためのワタシの一行大賞受賞作品発表

【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた

とんぼの本編集室だより

谷川ゆに『「あの世」と「この世」のあいだ―たましいのふるさとを探して―』
谷川ゆに/現代人のかえり方(新潮新書)

【新連載】
保阪正康/昭和史の陰影
はらだみずき/やがて訪れる春のために

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第13回
土井善晴/おいしく、生きる。 第3回
古市憲寿/ニッポン全史 第2回
伊藤比呂美/URASHIMA 第8回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第106回
大塚ひかり/女系図でみる日本争乱史 第6回
川本三郎/荷風の昭和 第8回

編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、佐藤愛子さん。

◎マット・デイモンが「ボーン・スプレマシー」(「ボーン・アイデンティティー」に続く“ジェイソン・ボーン”シリーズ第二作)の宣伝のために来日した時のインタビューを覚えています。「続篇に出演するのは、あまり乗り気じゃなかったんだ。だって、ハリウッドには『歴史上、成功した続篇はたった三つしかない。『新約聖書』と『ハックルベリ・フィンの冒険』と「ゴッドファーザーPARTII」だけだ』という言葉があるくらいだからね」云々。
◎伝統的にユダヤ人が多いと言われるハリウッドで『新約聖書』(『旧約』の続篇扱いしているわけですね)を褒めあげるところが面白いし、何より『ハックルベリ』(『トム・ソーヤーの冒険』の続篇)と「ゴッドファーザーII」の位置がアメリカですこぶる高いことがわかる格言(?)です。
◎では、日本の小説で「成功した」続篇は何か? 僕は「流転の海」の第二部『地の星』が大好きで、作者の宮本輝さんも小川洋子さんとの対談で、この作品から主人公の妻の視点を取り入れて「書き方に幅が出来て書きやすくなった」、「一番好き」と語っています。ただ、大河小説の第二部を続篇とは呼びにくい気が……。
◎夜の編集部で通りかかった後輩を捕まえたら、すぐに筒井康隆さんの『七瀬ふたたび』を挙げました。そうだ、あれは傑作! 『家族八景』の続篇ですが、第三作『エディプスの恋人』も凄い。未読なら、ぜひ。
◎あとは彼と『用心棒日月抄』やジーヴスなどシリーズものの話から日本映画の話になって、「次郎長三国志」は第八部が一番、「仁義なき戦い」は第四部が最高、「宮本武蔵」も第四部で、「男はつらいよ」なら――。
▽次号の刊行は一月二十八日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。