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第54回 新潮新人賞発表 黒川卓希「世界地図、傾く」(220枚)
第21回 小林秀雄賞発表 第30回 萩原朔太郎賞発表

新潮 2022年11月号

(毎月7日発行)

1,200円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2022/10/07

発売日 2022/10/07
JANコード 4910049011126
定価 1,200円(税込)

第54回新潮新人賞発表
【受賞作】世界地図、傾く[二二〇枚]/黒川卓希
2052年、日本は移民国家となった。母語と母国、国際と国粋、愛と性が揺らぎ、トリックスター的政治活動家が暗躍する――近未来から今を照射する大胆で無謀なデビュー作!
受賞者インタビュー「二〇五二年から見た日本」
【選評】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
天気の変わり目柴崎友香
ある動画に映った、故郷の家の穴。台風が迫る中、一瞬雨が止み、そして世界がざわめきだす。
プリニウス(八十三)/ヤマザキマリとり・みき
■■ 連載小説 ■■
生活(六)/町屋良平
墳墓記(八)/高村 薫
大使とその妻(十四)/水村美苗
天使も踏むを畏れるところ(二十七)/松家仁之
漂流(三十八)/町田 康
チェロ湖(三十九)/いしいしんじ
■■ 新潮 ■■
妖怪でるけんでられんけん砂川文次
始原の夜原 摩利彦
きみよ、楽道をゆけ東山彰良
焔が消える前に前田速夫
第21回 小林秀雄賞発表
【受賞作】謎ときサリンジャー――「自殺」したのは誰なのか竹内康浩・朴舜起
【選考委員】片山杜秀/國分功一郎/関川夏央/堀江敏幸/養老孟司
第55回《新潮新人賞》応募規定 [ウェブ応募受付中!]
上田岳弘/大澤信亮/小山田浩子/金原ひとみ/又吉直樹
【対談】
複数のゲームを生きる鈴木 健(SmartNews) 森田真生(独立研究者)
地球環境が急変し、テクノロジーが急進する中、数百年先の未来を見据えた世界像を描く。
ぼくはあと何回、満月を見るだろう坂本龍一
第5回「初めての挫折」
ハワイで体感した真の「癒し」。最初のガンを経て、かつてない映画音楽2本の同時制作へ。
精神の考古学(十一)/中沢新一
第八部 暗黒の部屋(一)
第30回 萩原朔太郎賞発表
【受賞作】やがて魔女の森になる川口晴美
【選考委員】佐々木幹郎/建畠 晢/松浦寿輝/三浦雅士/吉増剛造
「朔太郎大全」という発想萩原朔美
【リレーコラム】街の気分と思考(10)
待ち人(前篇)崔 実
すでに形而下で物語っている児玉雨子
大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(十八)/片山杜秀
小林秀雄(九十)/大澤信亮
地上に星座をつくる石川直樹
第百十一回・本当の頂上へ
見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第二一〇回・パズルパンクスと女王陛下
【私の書棚の現在地】
オクテイヴィア・E・バトラー『血を分けた子ども』/【書評委員】高山羽根子
大城文章『僕の心臓は右にある』/【書評委員】乗代雄介
■■ 本 ■■
◆高橋弘希『音楽が鳴りやんだら』/かげはら史帆
◆円城 塔『ゴジラS.P』/酉島伝法

この号の誌面

立ち読み

編集長から

大胆で無謀なデビュー作
第54回新潮新人賞決定

 第54回新潮新人賞が、選考委員(大澤信亮小山田浩子鴻巣友季子田中慎弥又吉直樹)の真摯な議論を経て、黒川たか(25歳)の「世界地図、傾く」に決定した。舞台は2052年の日本。春になれば「パンまつり」が開催されるのは2022年の現在と変わりないが、30年後の日本は事実上の移民国家となり、国際的な価値観と国粋的な価値観が分裂しながら混在している。学校は英語を公用語とする「インター」と日本語を用いる「ナショ」に分かれ、国籍雇用均等法が施行されようとしている。語り手はふたり。言葉と味覚の共感覚を持ち、女装家と同棲していたアキト。「日本語は淘汰される」という価値観の親に育てられた韓日ハーフのユイ。そして、多言語多民族国家を象徴するかのような政治活動家キヌアのトリックスター的暗躍と悲劇が物語をドライブさせる――いやはや、なんとも大胆で無謀なデビュー作だ。過去最多2630篇の応募作から選ばれた本作にぜひご注目を!

編集長・矢野 優

松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献

  • 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
  • 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
  • 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
  • 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
  • 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
  • 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
  • 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
  • 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
  • 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
  • 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
  • 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
  • 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
  • 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
  • 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
  • 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
  • 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
  • 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
  • 『昭和天皇実録 第十一』宮内庁(東京書籍)
  • 『秩父宮 昭和天皇弟宮の生涯』保阪正康(中公文庫)
  • 「新建築 1982年7月臨時増刊 桂離宮」(新建築社)
  • 『宮殿をつくる』高尾亮一(求龍堂)
  • 『皇居』入江相政(保育社)
  • 『入江相政日記 第五巻』入江為年監修(朝日文庫)
  • 『侍従とパイプ』入江相政(中公文庫)
  • 『こんなに面白い東京国立博物館』新潮社編 東京国立博物館監修
  • 『探検! 東京国立博物館』藤森照信・山口晃(淡交社)
  • 『カイコの病気とたたかう』鮎沢啓夫(岩波科学の本)
  • 『皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕』宮内庁協力(扶桑社)
  • 『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』明石信道 文・実測図面 村井修 写真(建築資料研究社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 満洲樺太』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 「芸術新潮」2008年8月号「大特集 北京」(新潮社)
  • 『完訳紫禁城の黄昏』上・下 R.F.ジョンストン 中山理 訳 渡部昇一 監修(祥伝社)
  • 『漱石紀行文集』藤井淑禎 編(岩波文庫)
  • 『吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 1934年満洲/1939年南支・朝鮮南部』塩沢珠江=著 松重充浩=監修(草思社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 朝鮮台湾』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 『満洲朝鮮復刻時刻表 附台湾・樺太復刻時刻表』日本鉄道旅行地図帳編集部[編](新潮社)
  • 『火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか』吉村順三(新潮社)
  • 『日本の近代をデザインした先駆者 生誕150周年記念後藤新平展図録』(財団法人東京市政調査会)
  • 「芸術新潮」2006年8月号「全一冊 韓国 未知の美と出会う旅」(新潮社)
  • 『図説 満鉄 「満洲」の巨人』西澤泰彦(河出書房新社)
  • 『満洲鉄道まぼろし旅行』案内人・川村湊(ネスコ 文藝春秋)
  • 『韓国の民家』張 保雄著 佐々木史郎訳(古今書院)
  • 『建築の前夜 前川國男論』松隈洋(みすず書房)
  • 『前川國男 賊軍の将』宮内嘉久(晶文社)
  • 『一建築家の信條』前川國男 宮内嘉久編(晶文社)
  • 『日本建築宣言文集』藤井正一郎・山口廣編著(彰国社)
  • 『皇居に生きる武蔵野』毎日新聞社社会部写真部編(毎日新聞社)
  • 『天皇と侍従長』岸田英夫(朝日文庫)
  • 『スウェーデンの建築家』吉田鉄郎(彰国社)
  • 「野村東宮大夫の思い出」入江相政(「文藝春秋」1957年10月号)
  • 『ドキュメント皇室典範』高尾栄司(幻冬舎新書)
  • 『僕の留学時代』東山魁夷(日本経済新聞社)
  • 「芸術新潮」2008年5月号「生誕100年記念特集 東山魁夷 国民画家の素顔」(新潮社)
  • 「皇居新宮殿における宮内庁試案の意図」小畑俊介 山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第768号)
  • 『宮中歳時記』入江相政編(小学館文庫)
  • 『十番目の女神』高尾亮一(求龍堂)
  • 『小泉信三 天皇の師として、自由主義者として』小川原正道(中公新書)
  • 『東宮御所 建築 美術 庭園』設計・谷口吉郎 撮影・渡辺義雄(毎日新聞社)
  • 『現代日本建築家全集6 谷口吉郎』栗田勇監修(三一書房)
  • 『ふたりの山小屋だより』岸田衿子 岸田今日子(文春文庫)
  • 『大学村七十年誌』北軽井沢大学村組合編(北軽井沢大学村組合事務所)
  • 「週刊朝日」1958年12月14日号(朝日新聞社)
  • 「週刊文春」創刊60周年記念特別号「秘話とスクープ証言で綴る 美智子さまの60年」(文藝春秋)
  • 「芸術新潮」1960年6月号(新潮社)
  • 『千鳥ヶ淵戦没者墓苑 創建50年史』(財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会編)
  • 『谷口吉郎著作集』第四巻(淡交社)
  • 『谷口吉郎著作集』第五巻(淡交社)
  • 「赤坂御用地と常盤松御用邸の変遷」阿部宗広(国立科博専報(39)2005年3月25日)
  • 『鶴見俊輔著作集5 時論・エッセイ』(筑摩書房)
  • 『続 羊の歌』加藤周一(岩波新書)
  • 『昭和天皇実録 第十二』(東京書籍)
  • 『昭和天皇実録 第十三』(東京書籍)
  • 『入江相政日記 第六巻』(朝日文庫)
  • 『宮殿造営記録 解説編』(宮内庁)
  • 『「暮しの手帖」とわたし』大橋鎭子(暮しの手帖社)
  • 「皇居新宮殿の実施案に反映された高尾亮一と吉村順三の設計思想」小畑俊介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第772号)
  • 『風流夢譚』深沢七郎(志木電子書籍)
  • 『一九六一年冬「風流夢譚」事件』京谷秀夫(志木電子書籍)
  • 『決定版 三島由紀夫全集 30 評論5』(新潮社)
  • 『感情天皇論』大塚英志(ちくま新書)
  • 『吉村順三建築図集 別巻 補遺』(同朋舎出版)
  • 「明治宮殿の建設経緯に見る表宮殿の設計経緯」山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第572号)
  • 『天皇の料理番』上・下 杉森久英(集英社文庫)
  • 『味 天皇の料理番が語る昭和』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『味の散歩』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『料理のコツ』秋山徳蔵(中公文庫)
  • 『昭和天皇と鰻茶漬』谷部金次郎(文春文庫)
  • 『昭和天皇のお食事』渡辺誠(文春文庫)
  • 『天皇陛下が愛した洋のレシピ』窪田好直(河出書房新社)
  • 『天皇陛下料理番の和のレシピ』谷部金次郎(幻冬舎)
  • 『天皇さまお脈拝見』杉村昌雄(新潮社)
  • 『余丁町停留所』入江相政(人文書院)
  • 『日本名建築写真選集18 京都御所・仙洞御所』撮影 西川孟(新潮社)
  • 『《京都》御所と離宮の栞 其の二十五』(宮内庁)
  • 『宮内庁京都事務所 年報2』令和2年度(宮内庁)
  • 『世界の花 その花のふるさと』飯田深雪・村田ユリ(講談社)
  • 『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』(六耀社)
  • 『国立代々木競技場と丹下健三』豊川斎赫(TOTO建築叢書)
  • 『本瓦葺の技術』太田博太郎・監修 井上新太郎・著(彰国社)
  • 『天皇さまの還暦』入江相政(朝日新聞社)
  • 『天皇陛下 科学を語る』朝日新聞出版編 宮内庁侍従職協力(朝日新聞出版)
  • 『皇后美智子さま 全御歌』釈 秦 澄美枝(新潮社)
  • 『首都高物語』一般財団法人 首都高速道路協会(青草書房)
  • 「わが国の広域地盤沈下対策と地下水の適正利用について」上田健二(地下水学会誌 第57巻第1号3〜7)
  • 「赤坂御用地と常盤松御用邸の変遷」阿部宗広(国立科博専報 [39]2005年3月25日)
  • 『日本三大洋食考』山本嘉次郎(昭文社出版部)

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞