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この本読んだら次はコレ



 Yonda?Mail購読者のみなさん、こんにちは。

「読書傾向が似た人は他にどんな本を読んでいるのか?」をテーマに、昨年Yonda?アンケートを実施しました。まず新潮文庫のベストセラーから「読んだ本」を選んでいただき、「その次に読むべき本」をご推薦いただきました。

 たくさんの回答の中から、幾つかご紹介させていただきます。ぜひ、次の一冊選びの参考にしてください。

■『火車』(宮部みゆき)を読んだ私が推薦する本

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。



向日葵の咲かない夏』(道尾秀介)
『火車』は、じりじりと真実に近づいていく過程が面白いミステリー、一方『向日葵の咲かない夏』は、前半で事件がだいたい解決したのかと思いきや、想像もしない方向に進み、ありえない視点で締められるミステリー。正統派のはっきりとした動機があるミステリーを読んだ後に、このミステリーを読むと怖いです。どちらもその時代の問題が書かれていると思います。『向日葵の咲かない夏』の子供のような感覚を持つ現代人が増えない事を願うばかりです。(30代女性)



犯意』(乃南アサ)
 作家が短編を提示し、法科大教授が罪状の解説をするという、珍しい形式でまとめられた本。裁判員制度が新しくなり、素人も裁判に参加する事になるという時期に、ハードカバー版が出ましたが、文庫本になっても充分に面白く読めます。『火車』の、誰が罪人? 誰もが罪人? の曖昧さも好きだけど、日本の法規ではどんな罪なのだろうと、もっとクリアーなものを読みたくなったら『犯意』は面白く読めると思います。(60代女性)



■『きみはポラリス』(三浦しをん)を読んだ私が推薦する本

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛……言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている──。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。



しゃべれども しゃべれども』(佐藤多佳子)
『きみはポラリス』を読み終わって、もっと恋愛ものを読みたいと思っているはず。また、短編を読んだら次は、もっと主人公の気持ちの変化を深く追いながら楽しむのもいいだろう。『しゃべれども しゃべれども』は短編のようにサラッと読めて、登場人物の微妙な心の変化を追いながら、さわやかな恋愛も楽しめる小説です。(20代女性)






草の花』(福永武彦)
『きみはポラリス』を読んで、非常に丁寧な描写をしていてしみこんでくると思いました。『草の花』は時代は今から少し遠いですし、内容としても重くるしいものなのです。しかし深い心象描写(懊悩、深い友情、深い愛情)を読ませる作品だと思います。そういう点から『草の花』を推薦します。また、マチネ・ポエティックの試みをしていた福永武彦の言葉は、ひとつひとつが強く訴えかけてくる重い響きを持っていて、一読の価値ありと思わせられます。(20代女性)



■『重力ピエロ』(伊坂幸太郎)を読んだ私が推薦する本

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。



『八日目の蝉』(角田光代)
 血縁に関係しない家族(親子)の絆を描いたもので、『重力ピエロ』同様に「子の幸福を思うときに正解が決められない」話であるから。そして父子(兄弟)の男同士の絆、女同士の絆…雰囲気の違いも味わえるかも…?? (30代女性)







砂漠』(伊坂幸太郎)
 軽妙な純文学のような作品。デブでロックで何が悪い! と言いたくなる。ちらほらと台詞を思い出す度に心の中で笑ってしまう。また、内容を忘れた頃に読んで思い出したい。ロックバンド、ラモーンズが良い味を出していると思います。(30代男性)








■『ツナグ』(辻村深月)を読んだ私が推薦する本

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。



『阪急電車』(有川浩)
 人との繋がり、縁を感じさせられる小説ということで共通している。ツナグは死の側から阪急電車は生の側から描かれており、どちらもほっとするし結構後を引きずる感じ(両者の引きずる印象は異なるが)が良い。(30代男性)








『半落ち』(横山秀夫)
 子供を救えなかった夫婦が、ドナー登録してある子供を救う。生と死の狭間を感じるのですが、「ツナグ」の後に読むと、色々感じることがあると思う。(40代男性)










■『西の魔女が死んだ』(梨木香歩)を読んだ私が推薦する本

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。



夏の庭―The Friends―』(湯本香樹実)
『夏の庭』も登場人物が子どもとおじいちゃん(『西の魔女が死んだ』はおばあちゃんですが)の交流を描いた作品です。どちらも老人の死にまつわる話ながら、読み終わったあとがすっきりとしています。次の世代に受け継がれて行く、はっきりとはしない、けれど大切な何かが描かれている事が、その理由だと思われます。10年くらい前の高校生だった頃に読んだ2冊ですが、高校時代の爽やかな思い出(笑)と共に今もまだ記憶に残っています。(20代女性)




白い犬とワルツを』(テリー・ケイ)
 人と人との絆や、愛し合うことの意味を教えられ、心が温かくなるから。『西の魔女が死んだ』と同様に、家族の大切さを感じられ、『西の魔女が死んだ』の主人公が中学生の少女なのに対して、『白い犬とワルツを』はおじいさんが主人公なので、子供→大人という感覚で読めると思う。(20代女性)






■『博士の愛した数式』(小川洋子)を読んだ私が推薦する本

[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。



若き数学者のアメリカ』(藤原正彦)
 数学なんてきいただけで鳥肌が立つような文系の人でも、数学に興味が出て、さらに日本人としてのアイデンティティーも考えさせてくれる名著。きっと藤原氏のほかの著書も読みたくなるはず。(40代女性)








フェルマーの最終定理』(サイモン・シン)
『博士の愛した数式』は、博士の愛情の深さ=数が持つ美しさや奥深さに繋がっているのが印象的でした。この作品で「数の世界」に興味を持って手に取ったのが『フェルマーの最終定理』。数学には人の血が通っていることを実感して、証明に至るまでのドラマを夢中で追いかけていました。読後は、「博士」という人の大きさに改めて気づかされました。二冊セットでオススメしたいです!(20代女性)



■『向日葵の咲かない夏』(道尾秀介)を読んだ私が推薦する本

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。



儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信)
『向日葵の咲かない夏』とは物語の舞台背景は違えど、時に現実か虚構かの判別もつかない不気味な面白さが共通していると思ったから。(20代女性)









淋しい狩人』(宮部みゆき)
『淋しい狩人』も『向日葵の咲かない夏』も同じミステリに分類されるが、読後感が真逆だと感じるので。なんとなく読んだ後、暗い気持ちになったり、ぞっとするような道尾さんの作品を読んだ後で宮部さんの本を読むとバランスが取れると思う。(20代女性)







■『ローマ人の物語』(塩野七生)を読んだ私が推薦する本

前753年、一人の若者ロムルスと彼に従う3千人のラテン人によりローマは建国された。7代続く王政の下で国家としての形態をローマは整えてゆくが、前509年、共和政へ移行。その後、成文法制定のために先進国ギリシアへ視察団を派遣する。ローマ人は絶頂期のギリシアに何を見たのか―― 。比類なき大帝国を築きあげた古代ローマ。その一千年にわたる興亡の物語がいま幕を開ける。



『ハドリアヌス帝の回想』(マルグリット・ユルスナール)
 ハドリアヌス帝は『ローマ人の物語』の中でも塩野さんがかなり肩入れして描いているので、魅力的な人物に仕上がっている。ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』では歴史を描く必要がないのでリリカルな文章が多く、より人物に肉迫できるので、『ローマ人の物語』でハドリアヌス帝が気になった人は是非。多田智満子さんの訳も良い。(20代女性)




大地』(パール・バック)
 物語としての面白さに加え、中国が古の歴史時間から近代へと突入していくダイナミズムを感じることができる。日本人にはなかなか分かりにくい、中国の世界観を知る手がかりにもなる。外国人の著者だからこそ書きえた、中国の歴史巨編。(20代男性)









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2013年01月21日   アンケート
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