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今月の表紙の筆蹟は、沢木耕太郎さん。

波 2023年10月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2023/09/27

発売日 2023/09/27
JANコード 4910068231031
定価 100円(税込)
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筒井康隆/老化 シリーズ第8回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第73回
沢木耕太郎『夢ノ町本通り―ブック・エッセイ―』
群ようこ/本は待ってくれている

稲田俊輔『お客さん物語―飲食店の舞台裏と料理人の本音―』(新潮新書)
平松洋子/客と店のムズ痒い不毛感を複眼の視線でブレイクスルー

瀬戸内寂聴『ふしだら・さくら』
内藤麻里子/現代織り込み、自在に広がる作家の筆

群ようこ『こんな感じで書いてます』
原田ひ香/「群ようこ」を誤解していたかもしれない

神永 学『ラザロの迷宮』
阿津川辰海/技巧を凝らした、著者渾身の本格ミステリ

武田綾乃『可哀想な蠅』
吉田大助/新境地の地獄巡りエンターテインメント

ケイト・デヴリン、池田 尽 訳『ヒトは生成AIとセックスできるか―人工知能とロボットの性愛未来学―』
鈴木涼美/ロボットと人間のあいだ

高丘哲次『最果ての泥徒』
前島 賢/人の再創造を目指した果てに

有賀 健『京都―未完の産業都市のゆくえ―』(新潮選書)
井上章一/京都の変則的な都市発達史

【田中卓志『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』刊行記念】
[対談]田中卓志(アンガールズ)×蛭子能収(漫画家)/誰かが笑ってくれるなら

【特別企画】
南陀楼綾繁/84冊! 新潮文庫の池波正太郎を全部読む 前編

【杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』特別書評】
戸川安宣/『世界でいちばん透きとおった物語』はすごい!

【短篇小説】
北村 薫/蜂から時計 後篇
【私の好きな新潮文庫】
齋藤明里/普通がわからなかった私のための三冊
 村田沙耶香『ギンイロノウタ
 嶽本野ばら『ロリヰタ。』(電子書籍)
 中村文則『遮光

【今月の新潮文庫】
藤ノ木 優『あしたの名医―伊豆中周産期センター―』
吉田伸子/生命の誕生を支える医師たち
【コラム】
[とんぼの本]編集室だより

小林泰明『国家は巨大ITに勝てるのか』(新潮新書)
小林泰明/国家vs巨大IT企業 新旧・巨大権力の知られざる死闘

三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第19回

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第13回
【連載】
坪木和久/天気のからくり 第2回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 第12回
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第14回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第13回
梨木香歩/猫ヤナギ芽ぶく 第10回
大木 毅/指揮官と参謀たちの太平洋戦争 第11回
内田 樹/カミュ論 第21回
伊与原 新/翠雨の人 第21回
川本三郎/荷風の昭和 第65回
第22回 小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞決定発表
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、沢木耕太郎さん。

◎浪人者が茶屋を出ると、峠道をさる殿様の行列がやってくる。突然、木陰に潜んでいた悪漢共が行列へ殺到した。巻き込まれた浪人は鮮やかな刀捌きで悪漢共を蹴散らしてしまう。駕籠から出た殿様が感謝を述べ、「そちの名は」と問う。浪人は言い淀み、足元の松笠を拾って「……俺の名前は松笠四十郎。もうそろそろ五十郎だがな」。
◎これは某事務所(プロダクション)社長(故人)から聞いた「椿三十郎」の続篇の冒頭です。黒澤明監督が急に要り用になったお金を借りに来て、彼にこの「松笠四十郎」構想を語った由。
◎今年の晩夏の歓びは蓮實重彦さん「午後の朝鮮薊」(「新潮」十月号掲載)といしいひさいちさん『花の雨が降る』(自費出版)でした。夫々名作『伯爵夫人』『ROCA』の続篇乃至スピンオフで、正篇に凡そ劣らぬ豊饒と自由と余韻に痺れます。
◎僕が朝鮮薊という野菜を知ったのは伊丹十三の、あのキザとイヤミと屈託と色気を混ぜて藝に昇華させた『ヨーロッパ退屈日記』。朝鮮薊きっかけで伊丹さんと蓮實さんの対話が四篇あったのを思い出し、何冊か引っ張り出してきたのですが、中でも刺激的なのが野上照代さん(黒澤組スクリプター)も交えた座談会「黒澤明、あるいは旗への偏愛」。黒澤映画をパタパタ(風に翻る旗)で読み解いていき説得力抜群、黒澤は「影武者」予告篇を材料が何もないので東宝の屋上に旗だけ並べて撮ったり、降板した「東京オリンピック」では「常に旗をはためかせろ」と主張したりしたそう。
◎先の「松笠四十郎」でも、監督は「まず、茶屋の旗が風ではためいているのが映る。その下に三船が座っていて」と語り始めたと聞きました。僕はこの続篇話、少々眉唾物だなあと思っていましたが、理論に裏打ちされると俄然真実味を帯びて来ますねえ。
▽次号の刊行は十月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。