新潮新書
1967
先月、アカデミー賞候補の常連でもあったアメリカの俳優フィリップ・シーモア・ホフマンさんが亡くなりました。薬物の過剰摂取が原因だと伝えられています。アメリカではしょっちゅうこの種の死者が出ています。人気ロックバンド「ニルヴァーナ」のカート・コバーンさんが亡くなってから今年でもう20年になります。
薬物といえば、この原稿を書いている日に発売された「週刊文春」は清原和博さんの薬物中毒疑惑を報じています。その清原さんとかつてチームメイトだったデーブ大久保こと大久保博元さんは最近、指導する若手選手が練習中に倒れ、心臓マッサージまで受ける事態を起こしていたとして、チームに厳重注意をされていました。
この4人には共通点があります。皆、1967年生まれなのです(数年前に刊行した新潮新書『同い年事典』〔黒川祥子〕のページを開くと、いつもこんな風にあれこれ考えさせられます)。
3月の新刊『とまらない』の著者、三浦知良さんも同じ年に生まれました。47歳。ご存知の通り、横浜FC所属の現役バリバリのJリーガーです。
3年前に刊行した『やめないよ』の続編的内容の本書にも、キング・カズならではの名言が詰まっています。
「無理だと周りが思うのは、そんな人が今までいなかった、というだけなんだから」「成長するという信念を抱く人間に青春は訪れる」等々。
今でも若手以上の練習をこなしているというのですから、まだまだやめずに雄姿を見せてくださることでしょう。
実は私も1967年生まれ。同い年としては、ホフマンさんよりも、キング・カズの側に少しでも近づきたいと思いました。
他の新刊3点もご紹介します。
『4割は打てる!』(小野俊哉・著)は、野球ファンならばニヤニヤしながら楽しめること請け合いの一冊。「夢の4割打者」誕生の可能性はあるのか。あるとすればどんな条件が必要か。誰が実現できるのか。このテーマについて、さまざまなデータを駆使して著者が検討を進めていきます。「俊足は必要条件ではない」といった指摘には、驚かされました。日本人では誰が一番近い位置にいるか、そのへんは本書を開いてみてください。
『東大教授』(沖大幹・著)は、現役東大教授による「東大教授入門」。やりがいは? どうすればなれる? 勤務時間は? 給料は? 等々、高尚なものから下世話なものまで、あらゆる疑問に答えています。
『誰も書かなかった自民党―総理の登竜門「青年局」の研究―』(常井健一・著)は、タイトル通り、これまでになかった視点での自民党分析。小泉進次郎さんの人気で一躍注目を集めた「青年局」とは何か。丹念な取材から浮かび上がったのは、「日本一の雑巾がけ」を体験させるこのシステムが、自民党のしぶとさの原動力だったことでした。
ちなみに、自民党において「青年局員は45歳まで」と一応決まっていますが、地域によっては「50歳まで」としているところもあるそうです。従って、キング・カズのような鍛錬を一切していない私でも、自民党員になれば、まだ十分青年ヅラができるようです。