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今月の表紙は、佐藤優さん。

波 2019年6月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/05/28

発売日 2019/05/28
JANコード 4910068230690
定価 102円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第21回
【「新・古着屋総兵衛」第十八巻『日の昇る国へ』刊行&シリーズ完結記念】
[インタビュー]佐伯泰英 聞き手・木村行伸/希望の時代の影を追って

【真梨幸子『初恋さがし』刊行記念特集】
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三浦天紗子/かくも恐ろしきは裏の顔
佐藤 優『君たちが忘れてはいけないこと―未来のエリートとの対話―』
松岡正剛/マイケル・サンデルではまにあわない

久間十義『限界病院』
東えりか/瀕死の地方病院に起死回生の奇策はあるのか

上田岳弘『キュー』
藤井太洋/幻視から始まる壮大な未来史

ポール・アンドラ、北村匡平/訳『黒澤明の羅生門―フィルムに籠めた告白と鎮魂―』
四方田犬彦/黒澤映画に真実は存在するか

藻谷ゆかり『衰退産業でも稼げます―「代替わりイノベーション」のセオリー―』
嶋田 毅/地方再生のカギは衰退産業にあり

三浦瑠麗『孤独の意味も、女であることの味わいも』
茂木健一郎/徹底した自省こそが孤独を癒やす道

田中慎弥『ひよこ太陽』
谷崎由依/不在を凝視するまなざし

片岡 翔『あなたの右手は蜂蜜の香り』
藤田香織/見たことのない場所に連れられる興奮
【特別企画】
山極寿一、小川洋子『ゴリラの森、言葉の海』
小川洋子×山極寿一×坂本英房/ゴリラのオスは、えらいよ、つらいよ。
【短篇小説】
北村 薫/ゆめ 前篇
【新潮選書フェア】
山折哲雄『「身軽」の哲学』
[インタビュー]山折哲雄/後半生は重荷を下ろす。

野口悠紀雄『マネーの魔術史―支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか―』
[インタビュー]野口悠紀雄/「魔術」のトリックを暴く

原 武史『レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史【増補新版】―』
[インタビュー]原 武史/西武と団地はこれからどうなるか

北岡伸一『世界地図を読み直す―協力と均衡の地政学―』
[対談]北岡伸一×池内 恵/「大国の周縁」から見た地政学

泉 麻人『冗談音楽の怪人・三木鶏郎―ラジオとCMソングの戦後史―』
[特別寄稿]小林信彦/鶏郎グループの進出と展開を追う
【新潮文庫】
佐江衆一『黄落』
橋本五郎/みんなに「後光」が射している
【コラム】
とんぼの本編集室だより

三枝昂之・小澤 實/掌のうた

西川 恵『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)
松浦晃一郎/国際社会における皇室の存在感

工藤 隆『深層日本論―ヤマト少数民族という視座―』(新潮新書)
工藤 隆/日本をアジア基層文化からとらえ直す
【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第18回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第2回
伊藤比呂美/URASHIMA 第13回
土井善晴/おいしく、生きる。 第8回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第111回
大塚ひかり/女系図でみる日本争乱史 最終回
保阪正康/昭和史の陰影 第6回
はらだみずき/やがて訪れる春のために 第6話
川本三郎/荷風の昭和 第13回
曽野綾子/人間の義務について 第5回
第三十二回三島由紀夫賞山本周五郎賞決定発表
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、佐藤優さん。

◎表紙は灘高校生へ講義をする佐藤優さん。この一連の講義からベストセラー『君たちが知っておくべきこと―未来のエリートとの対話―』や新刊『君たちが忘れてはいけないこと―未来のエリートとの対話―』が生れました。ロシア語は「反復は学習の母」の意。佐藤さん、愈々〈教育者〉の貌を露わにしています。
小林信彦さんに泉麻人さんの『冗談音楽の怪人・三木鶏郎―ラジオとCMソングの戦後史―』(新潮選書)の書評を書いて頂きました。小林さんにトリローをめぐって二百枚書く腹案があった!
◎最近も『今夜、笑いの数を数えましょう』(講談社)で、いとうせいこうさんを相手に宮沢章夫さんは『日本の喜劇人』(新潮社)の影響力がいかに絶大かを指摘し、あの傑作は「小林信彦の青春と挫折の記録」であり、読者は「小林史観」による「小説の面白さを味わってたんだ」と語っていました。
◎もし、小林さんが本当にトリロー論を書いていれば、三木鶏郎という戦後ポップカルチャーを築き上げた巨人はもっと大きな存在感を残していたかもしれません。それを「小林史観」とは違った観点から攻めて、すぐれた評伝を完成させたのが泉さんです。
◎小林さんは脳梗塞で倒れてからの日々を『生還』(文藝春秋)という本に纏めています。いかにも一筋縄ではいかない作家らしい闘病記。作中、次女の方が介護に、仕事の交渉にと活躍されます。実は「文藝春秋と同じクラスの出版社に在籍する彼女」とは長い知合いなのですが、「私」のある言葉に次女が「そう言えるのなら大丈夫だ」と答える場面があって、ここが何とも彼女らしく、本人の口調も表情も、動作さえも彷彿させます。さまざまな喜劇人の素顔を日常会話ひとつで浮び上がらせてきた作家の面目躍如で、「健在だなあ」と嬉しくなりました。
▽次号の刊行は六月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。