古市憲寿「奈落」(240枚)
三島由紀夫賞受賞第一作 三国美千子「青いポポの果実」(150枚)
大型戯曲 野田秀樹「Q:A Night At The Kabuki」
新潮 2019年12月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2019/11/07 |
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JANコード | 4910049011294 |
定価 | 特別定価1,300円(税込) |
◆奈落[二四〇枚]/古市憲寿
2001年の夏、私はステージから床に落ち意識を失った――人気絶頂の歌手が陥った苛烈な「孤独」と家族の織り成す運命のドラマ!
【三島由紀夫賞受賞第一作・一五〇枚】
◆青いポポの果実/三国美千子
ママのような雌犬にはなりたくない。家族と奇妙な隣人の世界を覗き見ながら、思春期前にナナはもがく。性と生を強烈に描く飛翔作。
【大型戯曲】
◆Q:A Night At The Kabuki/野田秀樹
◆スノードロップ[後篇]/島田雅彦
令和の悪政を許しておけるか。妃はついに目覚め、たおやかな「世直し」に立ち上がる!
◆夢みる権利/黒川 創
あと、どれだけ勤めが続けられるかわからない。だが身を引くべきときは、近づいている。
◆母または母/宮沢章夫
◆はらから[前篇]/瀬戸内寂聴
◆台南/松浦寿輝
◆象は静かに座っている/
◆オマカセ/ウェイク・ワン 小竹由美子 訳
◆可能性の中心としての「子どもたち」/仲俣暁生
――阿部和重『オーガ(ニ)ズム』論
今福龍太『宮沢賢治 デクノボーの叡知』を読む
◆
◆デクノボーとしての身体/砂連尾 理
◆『変半身(かわりみ)』という倒錯について/松井 周
◆令和元年のテロリズム/磯部 涼
第二回 元農水省事務次官事件から考える
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(5)
◆この世の果て/吉本ばなな
◆里帰り/長島有里枝
◆OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第四回・心は燃えても、肉体は弱い
◆これは小説ではない(十九・完結)/佐々木 敦
◆保田與重郎の文学(十五)/前田英樹
◆水戸学の世界地図(四十五)/片山杜秀
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第八十回・写真を撮ること、旅すること
◆見えない音、聴こえない絵(一八〇)/大竹伸朗
■■ 連載小説 ■■
◆ヒロヒト(十四)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(二十一)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(四十五)/重松 清
■■ 本 ■■
◆川上弘美『某』/木村朗子
◆村田沙耶香『生命式』/富塚亮平
◆小川洋子『小箱』/日和聡子
■■ 新潮 ■■
◆ジョーカー、破かれた顔/黒嵜 想
◆疲れ切ったわたしから美の神様へ/首藤 凜
◆はじめての「対話」/斎藤 環
◆自由について/波多野裕文
第52回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
この号の誌面
立ち読み
編集長から
古市憲寿「奈落」
三国美千子「青いポポの果実」
◎古市憲寿「奈落」(二四〇枚)の主人公は女性シンガー。ヒット曲を連発し、夢をすべて叶えたはずだった。だが、ステージから転落し、意識を持ったまま全身不随となった。物語は主人公の意識の流れを軸に、介護する家族たちの視点=エゴを交えて進む。外界との交流を絶たれ、肉体に幽閉された彼女の精神は、世界を敏感に感じる強度において、残酷なまでに「自由」だ。息をのむような「孤独」の物語が誕生した◎三国美千子「青いポポの果実」(一五〇枚)は、新潮新人賞受賞作で三島由紀夫賞に輝いた気鋭のデビュー第二作。主人公のナナは十歳。女性でありながら、自らの性を嫌悪し拒否する彼女の視点で、関西近郊の暮らしと風土が濃密に描かれる。日本版「悪童日記」(アゴタ・クリストフ)と呼びたい飛翔作だ◎野田秀樹「Q:A Night At The Kabuki」は、ロミオとジュリエット+源平の戦い+QUEEN(音楽)が融合した大型戯曲。面白さ、奥深さ、いずれも圧倒的!
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。