今月の表紙は、十二国記。
波 2019年11月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2019/10/28 |
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JANコード | 4910068231192 |
定価 | 100円(税込) |
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第26回
【辻村深月『ツナグ 想い人の心得』刊行記念特集】
[特別対談]辻村深月×松坂桃李/「ご縁」が繋ぐ、出会いと想い。
【赤川次郎『いもうと』刊行記念特集】
[対談]赤川次郎×井上芳雄/物語は余白の中にある
中江有里/日常というリズムを刻む壮大な物語
【小野不由美「十二国記」最新作『白銀の墟 玄の月』刊行記念特集】
[インタビュー]小野不由美/「十二国記」の世界
北上次郎/すごいな小野不由美
【『図書室』(岸 政彦著)刊行&『劇場』(又吉直樹著)文庫化記念】
[対談 後篇]岸 政彦×又吉直樹/会話から生まれる想像力
筒井康隆『老人の美学』
橘 玲/迷える男たちへ
早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』
北上次郎/父母から子へ。そして孫へ――
町屋良平『ショパンゾンビ・コンテスタント』
新井見枝香/叶わないから好き
リチャード・パワーズ 、木原善彦/訳『オーバーストーリー』
豊崎由美/読めば、以前には戻れない
ウラジーミル・ナボコフ、若島正/訳 、後藤篤/訳『ナボコフ・コレクション ロリータ 魅惑者』
西崎 憲/プロデュースと鉱物的輝き
【川添 愛『聖者のかけら』刊行記念】
[インタビュー]川添 愛/聖遺物に導かれ、聖者の遺体消失の謎へ
足立 紳『それでも俺は、妻としたい』
内田 慈/これを読んだある女の話
志川節子『芽吹長屋仕合せ帖 日照雨』
大矢博子/切れた糸を結び直す物語
内山聖子『私、失敗ばかりなので―へこたれない仕事術―』
宇賀なつみ/働く人の背中を押してくれる一冊
信友直子『ぼけますから、よろしくお願いします。』
大島 新/父と母へ。最後にして最大のラブレター
高橋秀実『パワースポットはここですね』
東 えりか/あなたにもきっと「ここ」と思える場所がある
読売新聞政治部『令和誕生―退位・改元の黒衣たち―』
森 健/あまりにドラマチックな「令和誕生」の舞台裏
井上岳一『日本列島回復論―この国で生き続けるために―』
藻谷浩介/忘れられていた“山水郷”日本の未来を引き受ける
虎屋文庫『ようかん』
橋本麻里/最強のマリアージュが生まれた
【短篇小説】北村 薫/ゆき 前篇
【私の好きな新潮文庫】
宮田愛萌/大人になっても大事な親友
江國香織『流しのしたの骨』
山田詠美『ぼくは勉強ができない』
梨木香歩『りかさん』
【今月の新潮文庫】
小島秀夫『創作する遺伝子―僕が愛したMEMEたち―』
野島一人/小島秀夫と一緒に五〇〇回ほど書店に通ってわかったこと
【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた
[新潮新書]
岡本隆司『君主号の世界史』
岡本隆司/スター・ウォーズの敵はなぜ「帝国」なのか
[とんぼの本]
上野 誠、蜂飼 耳、馬場 基『万葉集であるく奈良』
とんぼの本編集室/奈良に恋をする
とんぼの本編集室だより
【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第23回
伊藤比呂美/URASHIMA 最終回
会田弘継/「内なる日本」をたどって 第5回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第7回
土井善晴/おいしく、生きる。 第13回
はらだみずき/やがて訪れる春のために 第11話
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第116回
川本三郎/荷風の昭和 第18回
曽野綾子/人間の義務について 第10回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から
立ち読み
編集長から
今月の表紙は、十二国記。
◎表紙は『白銀の
◎あの天のギザギザには二つ理由があります。新潮社の社史から引きますね(執筆は高井有一さん)。「文庫はずっと、本の上縁、つまり天の部分の紙をアンカットとし、紐の栞(スピン)を付けてきた。スピンは紙の栞より遥かに使い勝手がいいし、天アンカットは造本のお洒落である。この形態は、スピンの取り付けを手作業でやるため、どうしても高くつく。紙価高騰でコスト削減を強いられた各社は、みんな天を切り落し、スピンを外して紙の栞に代えた。しかし新潮社はそうしなかった」。社史の文章なのでやや自慢げな口ぶりなのはご海容下さい。
◎つまり新潮文庫は、スピンを付けるためと、フランス装などの洋装本ぽい匂いを出すために、コストと手間を承知で天アンカットを続けています。今でも洋書はしばしば小口(本の側面)がアンカットになっていて(例えばトム・ハンクスの短篇集『Uncommon Type』)、これは昔日、ペーパーナイフでいちいちページを切りながら読書した(だから小口側がギザギザになる)名残りを感じさせるためでしょうね。
◎装幀に興味を持ったきっかけは和田誠さんでした。一冊だけ挙げるなら丸谷才一『樹影譚』。本のテーマと土地を見事に視覚化した傑作です。と、ちょうど爆笑問題のラジオを聴いていたら、二人が「『快盗ルビイ』はお洒落で良かった!」と声を揃えていて、確かにあれは監督、脚本、ポスターのデザイン、主題歌の作詞等、和田さんの多才ぶりを代表する作品でした。未見ならぜひ。
▽次号の刊行は十一月二十七日です。
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バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。