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今月の表紙の筆蹟/イラストは、 杏さん。

波 2026年4月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2026/03/27

発売日 2026/03/27
JANコード 4912068230465
定価 100円(税込)
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杏『杏のパリ細うで繁盛記』
ヤマザキマリ/杏さんは地球を舞台に

岩井圭也『拳の声が聞こえるか』
村田諒太/ボクサー達の癒やしがたい渇き

萩尾望都『萩尾望都スケッチ画集II─「11人いる!」とSF世界─』
大森 望/ロックンロールのように迸る、SFへの愛と情熱

西原理恵子『ねこいぬ漫画かき 1』
コンドウアキ/ここにひだまりがある

さくらももこ『たびたび』
祖父江慎/一瞬で喋るように書く

山口恵以子『手配する女』
内藤麻里子/賢く、強く、女一匹生きていく

石井光太『少子化に打ち勝った保育園─熊本「やまなみこども園」で起きた奇跡─』
山口真由/奇跡の保育園

水生大海『私のせいではありません』
大矢博子/無知の罪

寺嶌 曜『深淵のカナリア』
村上貴史/続篇は前作以上の“怪物”だった!

有賀未来『あなたが走ったことないような坂道』
久栖博季/傷を抱えて走る

ココ・クルム、松本剛史 訳『最適化幻想─効率が人を幸せにしない理由─』
勅使川原真衣/効率最優先の世界でどう生きるべきか

俵 万智『生きる言葉』(新潮新書)
矢部太郎/『生きる言葉』と僕

横尾忠則『運命まかせ』(新潮新書)
鷲田清一/底のない自由

【彬子女王、池辺 葵 漫画『マンガ 赤と青のガウン 第1巻』刊行記念特集】
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彬子女王殿下新潮社ご訪問記
【新連載】
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【連載】
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高木 徹/東京裁判 11人の判事たち 第5回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟/イラストは、 杏さん。

◎大河ドラマを横目に司馬遼太郎『新史 太閤記』と『豊臣家の人々』を読む。前者は秀吉が天下人となるところで終り、後者は豊臣家滅亡までの愚行の連続を周辺の男女を通して描きます。作者は愛すべき秀吉が老耄し天才を失ってからの姿を直接描きたくない様子で、その困り方も読みどころ。
◎司馬さんは登場人物や主題に愛情を抱けないと書かない作家だったらしく、弊社先輩川野黎子の回想によれば、『覇王の家』は徳川将軍十五代を全て描く構想だったのが(だからこの題名)、徳川家と家臣団の気質がどうにも肌に合わず、家康だけ(それも途中まで)で中断した由。後年にはノモンハン事件を描く小説も、取材は済ませながら「書いていたら憤激のあまり、ぼくは死んでいたと思う」(和田宏『司馬遼太郎という人』)と執筆を放棄しています。
◎面白いのは司馬さんとは逆に、嫌いな人物や主題でも(だからこそ?)取り組める作家もいることで、例えば光源氏も紫式部も嫌いだと言いながら『源氏物語』を三度も現代語訳した谷崎潤一郎なんかが好例。
◎終戦時朝鮮にいた五木寛之さんはソ連兵から酷い目に遭い、母を亡くします。一方で粗暴な彼らの歌声の美しさに打たれもする。この絶対的矛盾に五木少年は惹かれて、父から「ロシアは母さんの仇だぞ」と言われながら露文科へ進み、デビュー作(「さらばモスクワ愚連隊」)以来あの国を題材に多くの作品を書いてきました。これはやはりシベリア抑留で辛酸を舐めた父親の実体験を主題とする村山由佳さん『DANGER』についての対談(「波」2026年3月号)でも語られたこと。創作者の不思議な機微ですが、かつてある作家が曰く「蝶の嫌ひな男は蝶類図鑑は編まないけれど、小説家にはそんな態度は許されないのだから仕方がない」。
▽次号の刊行は四月二十八日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。