今月の表紙の筆蹟は、筒井ともみさん。
波 2022年1月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2021/12/28 |
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JANコード | 4910068230126 |
定価 | 100円(税込) |
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第52回
【江國香織『ひとりでカラカサさしてゆく』刊行記念特集】
大島真寿美/寂しさも悲しみも、ゆくあてのない思いも
河尻亨一/心象の風景で織られた家族と時代の“タペストリー”
【吉本ばなな『ミトンとふびん』刊行記念特集】
[インタビュー]吉本ばなな/長い時間の蓄積のなかで
岸 政彦/木靴とともに生きる
筒井ともみ『もういちど、あなたと食べたい』
窪 美澄/あのひとはこんなふうに食べていた
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』
鈴木保奈美/ぼくたちは未熟で不器用で、それでもどうにか前を向く
リュドミラ・ウリツカヤ、前田和泉 訳『緑の天幕』(新潮クレスト・ブックス)
沼野恭子/文学への愛と信頼からなるアンチ教養小説
乗代雄介『皆のあらばしり』
門井慶喜/不要不急が人生必須になる
【真梨幸子『一九六一 東京ハウス』刊行記念】
[インタビュー]真梨幸子/団地は事件が起きがち? という15年来の拘り―「リアリティショー」と「団地」 身近だったテーマ―
山上たつひこ『王子失踪す』
萩尾望都/「なんなんだ、山上たつひこって」
みうらじゅん、辛酸なめ子『ヌー道 nude―じゅんとなめ子のハダカ芸術入門―』
山田五郎/「アートと書いて〇〇と読む」
縄田一男『時代小説の戦後史―柴田錬三郎から隆慶一郎まで―』(新潮選書)
縄田一男/作家に抱く感情について
【水野良樹『犬は歌わないけれど』刊行記念特集】
西川貴教/「限り」を越えようと、もがく姿
[マンガ]今日マチ子/心に残った場面
【岡田晴恵『秘闘―私の「コロナ戦争」全記録―』刊行記念特集】
青木 理/この国のメディアにおける「岡田晴恵」という存在
倉持 仁/臨床医の私が知りたかった答え
【川村元気『神曲』刊行記念】
[対談]川村元気×角野隼斗/物語から響く音楽
【小泉今日子『黄色いマンション 黒い猫』文庫化記念】
[対談]小泉今日子×高崎卓馬/私と彼らのあの頃
【短篇小説】
北村 薫/ゴ 後篇
【20周年記念スペシャルアニメ「しゃばけ」配信記念】
畠中 恵『またあおう』(新潮文庫)
[対談]伊藤秀樹×榎木淳弥/しゃばけとアニメとパンデミックと[後篇]
新潮文庫 中高生のためのワタシの一行大賞受賞作品発表
【私の好きな新潮文庫】
檀 れい/欲望の虜
有吉佐和子『悪女について』
誉田哲也『ドンナ ビアンカ』
山本周五郎『五瓣の椿』
【今月の新潮文庫】
新潮文庫 編『文豪ナビ 藤沢周平』
新潮文庫編集部/史上最強の作家ガイド本「文豪ナビ」再び!
【コラム】
千正康裕『官邸は今日も間違える』(新潮新書)
千正康裕/コロナ禍の「謎」政策を解き明かす
三枝昴之・小澤 實/掌のうた
[とんぼの本]編集室だより
【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 第16回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第25回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第14回
春画ール/春画の穴 第3回
川本三郎/荷風の昭和 第44回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から
立ち読み
編集長から
今月の表紙の筆蹟は、筒井ともみさん。
◎日本人は「三大〇〇」が好きですが、「三大がっかり名所」というのもあって(未確認ながら、阿刀田高さん作の俚諺?の由)、高知のはりまや橋、札幌の時計台、那覇の守礼門だそう。はりまや橋近くで育った僕は、長じて時計台と守礼門をわざわざ観に行って、両者の(実家近くの哀れな橋に比べての)豪壮と華麗に吃驚しました。
◎吉行淳之介、丸谷才一、野坂昭如の戯文に和田誠さんが絵をつけた『大人の絵本 あゝ人生日記』(昭和五八年)は、文章も絵も巻末座談会「大声で語れゴシップ」(〈文豪が死んだ時、新潮社はじめ各出版社はどうするか?〉なんて話もあり)も出色の面白さ。殊に野坂さんが和田さんへの嫌がらせと称して「三大〇〇」を二〇種あげ、三頁に六〇人もの似顔を描かせた回は、元名コラムニストの面目躍如たる快作。野坂さんが「三大雑文家 東海林さだお、椎名誠、山下洋輔」「三大童顔 大江健三郎、大岡信、庄司薫」「三大ズボン吊りマン 小松左京、阿佐田哲也、大鵬幸喜」「三大着流し 早乙女貢は浪人、渡辺淳一何となく七五三、半村良ぴたりお店の旦那、絵になる」と挙げる人達の似顔を和田さんも負けじとどんどん描く。「文壇三大美女 画伯の審美眼と度胸におまかせ」というひどいお題の丸投げに、画伯が描いた三人は……。
◎僕もマネして、「三大『本当は言っていない名セリフ』」を考えました。〈漱石は「I love you.は『月がきれいですね』と訳せばいい」なんて言っていない〉、〈チャップリンは「あなたの最高傑作は?」と問われて「次回作だ」とは答えていない〉。ここまではすぐ出てきたのに、三つ目が全く思い浮かばない。何かいいのありませんか?
▽次号の刊行は一月二十七日です。
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雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。