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今月の表紙の筆蹟/イラストは、岩井勇気さん。

波 2021年10月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/09/28

発売日 2021/09/28
JANコード 4910068231017
定価 100円(税込)
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宇能鴻一郎『姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―』(新潮文庫)
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村山 司『イルカと心は通じるか―海獣学者の孤軍奮闘記―』(新潮新書)
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編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟/イラストは、岩井勇気さん。

◎映画のロケ地で一度行ってみたいのが、ゴダールの『軽蔑』に出てくるカプリ島のマラパルテ邸。青い海へせり出した褐色の岬に赤い館があり、屋上で全裸のバルドーが黄色いバスタオルに横たわっていました。
◎マラパルテは左右両翼から激しく攻撃された『クーデターの技術』という本で知られるイタリア人作家で、ファシスト党に入り、反ファシストへ転じ、流刑され、英国軍と共に戦い、共産党へ近づき……と典型的な転向者に見えますが、「彼にとって最重要なのは、あれこれの思想などではなくて、マラパルテ自身だった」とモラヴィアが自伝面白い!で語っています。長い付合いで、彼は魅力的だったと回想しつつ「私は優れた作家ではない作家の友人にはなれない」。
◎『軽蔑』原作はモラヴィアで、自身の夫婦関係の不和を反映しています(当時ゴダールとカリーナの関係も危機的でした)。鈴木了二氏の本にマ邸での夫妻の写真がありますが、原作にも自伝にもあの邸は登場しません。
◎自伝にあるのはゴダールが原作を「汽車の中で読む小説」と軽んじた話で、彼は心を通い合せるのが「不可能な人間だ」。他の映画監督評も拾うと、ベルトルッチは「映画動物」で「過去を再現する異常な能力」がある。パゾリーニは「ブニュエルと溝口の中間に置きたい」。そして処女作に協力したヴィスコンティには妻を奪われます。聞き手が驚いてあの巨匠の同性愛のことを訊ねると、「そうでないこともあった」。
◎ここまで書いて『軽蔑』を再見。バルドーの変心に為す術ない愚鈍なピコリにヨヨと涙、『気狂いピエロ』はこれの過激な変奏なんですね。モラヴィアはゴダールの才能は認めていて、ベネチア映画祭『昼顔』が金獅子賞の年では『中国女』を推した由。
▽次号の刊行は十月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24頁、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後といった時代でした。この後、1969年に隔月刊に、1972年3月号からは、毎月刊行の月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしました。

 創刊号の目次を見てみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行した北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイ。続く「最近の一冊」では、小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイ。続いて「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 以来41年、2007(平成19)年6月号で通巻450号を迎えました。読書情報誌としての重要な役割の情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。小川国夫『青銅時代』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、遠藤周作『イエスの生涯』(「聖書物語」を改題)、小林信彦『ちはやふる奥の細道』『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』などなど。

 2007年1月号からはレイアウトもリニューアル、頁数も増え128頁となりました。これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みで、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。