今月の表紙の筆蹟は、山本文緒さん。
波 2020年10月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2020/09/28 |
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JANコード | 4910068231000 |
定価 | 100円(税込) |
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第37回
古井由吉『われもまた天に』
川上弘美/旅心
【特集 伊坂幸太郎の20年】
[インタビュー]池田エライザ/伊坂さんが私に「世界」を教えてくれた。
[インタビュー]伊坂幸太郎/のんびり。でも、自分が読みたい小説にまっすぐに。
【新連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること
【短期集中連載『小説 イタリア・ルネサンス』をめぐって(一)】
塩野七生/外出禁止さえも愉しんで書いた「オトナの男女」
【山本文緒『自転しながら公転する』刊行記念特集】
窪 美澄/心の滞りがやさしくもみほぐされる
枡野浩一/いまはもう、森ガールじゃない
住野よる『この気持ちもいつか忘れる CD付・先行限定版』
住野よる/THE BACK HORNへの公開質問状
恒川光太郎『真夜中のたずねびと』
恒川光太郎/寄る辺なき旅人の話
はらだみずき『やがて訪れる春のために』
樋口直美/今も日本中で起こっている私たち自身の物語
諸田玲子『ちよぼ―加賀百万石を照らす月―』
横山方子/加賀藩にこの女人ありてこそ
石井遊佳『象牛』
斎藤美奈子/過剰なことの価値
福嶋亮大『らせん状想像力―平成デモクラシー文学論―』
與那覇 潤/「鏡」は先に嗤いだす
釈 徹宗『天才 富永仲基―独創の町人学者―』(新潮新書)
ドミニク・チェン/300年後の“成仏”
西 法太郎『三島由紀夫事件 50年目の証言―警察と自衛隊は何を知っていたか―』
佐藤秀明/「三島事件」を見る生活者の視線
【三本阪奈『ご成長ありがとうございます~三本家ダイアリー~』刊行記念】
八木 泉/“元気”と“おもろい”いただきました!
三本阪奈/描き下ろしコミックエッセイ「波」出張編[神経衰弱]
逢坂 剛『鏡影劇場』
[対談]逢坂 剛×松永美穂/ホフマンは二度おいしい
北岡伸一『明治維新の意味』(新潮選書)
[対談]北岡伸一×苅部 直/明治維新のスピード改革
【クリストファー・ワイリー、牧野 洋/訳『マインドハッキング―あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア―』刊行記念特集】
梶谷 懐/一国の政治すら左右するデジタル社会の「闇」
橘 玲/世界の分断をもたらした「恐るべき子供たち」
【特別エッセイ】
小川 糸『とわの庭』
小川 糸/母とわたしの庭 『とわの庭』のこと(3)
【私の好きな新潮文庫】
橘 ケンチ/忘れていた過去が蘇る
朝吹真理子『きことわ』
辻 仁成『海峡の光』
寺山修司『両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム―』
【今月の新潮文庫】
沢村 凜『王都の落伍者―ソナンと空人1―』『鬼絹の姫―ソナンと空人2―』
北上次郎/6年ぶりの新作に興奮!
【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた
久世芽亜里『コンビニは通える引きこもりたち』(新潮新書)
久世芽亜里/一筋縄ではいかない
[とんぼの本]
芸術新潮編集部編『東京ミュージアム100』
とんぼの本編集室/東京のミュージアムの最前線へ
とんぼの本編集室だより
【連載】
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第10回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第18回
内田 樹/カミュ論 第3回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 第10回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第10回
川本三郎/荷風の昭和 第29回
第十九回小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から
立ち読み
編集長から
今月の表紙の筆蹟は、山本文緒さん。
◎九月八日の深夜ラジオ「爆笑問題カーボーイ」は、コロナで田中裕二さんがお休み、代打は何と伊集院光さん。太田光さんとの生放送二時間の掛合いは密度も速度もあり、かつ親密で率直で、圧倒的な面白さ。才能や繊細な神経の在り処を分かり合っている者同士の〔神回〕でした。
◎あんなグルーヴ感を活字で表せたら、対談や座談会も大成功です。戦後すぐは出席者が酔払う場合があって(臨場感が出る)、太宰・織田作・安吾の座談会も、百閒と志ん生の対談もそう(「内田でございます」「はじめまして」と始まり、「クソじじい」「一つ違いだから同じようなもんだ」「智恵が違う。一年が大事だ」みたいになる)。尤も小林秀雄は
◎出席者が対立するのも読み応えがあって、学生時分に読んだものでは、荒木経惟さんと篠山紀信さんの
◎酔談も対論も本来の座談の愉しみとは違う、と仰る向きには――。古本屋で買った『現代日本のユーモア文学』全六巻の月報が吉行淳之介・丸谷才一・開高健による連載鼎談で、これが機知縦横・当意即妙・博引旁証にユーモアを論じて笑わせ(至難の業!)、グルーヴ感満点。声優にあててもらって深夜放送で流したいくらいでした。
▽次号の刊行は十月二十七日です。
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雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。