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駅スタンプ「温故知鉄」

 現在戦前の駅スタンプを蒐集整理中です。一部本物もありますが、ほとんどは雑誌「旅」に掲載されたスタンプで、それをデジタル化しています。「旅」に掲載されたスタンプについては、以前触れました。昭和6年頃から昭和10年頃まで熱にうなされたように毎号大量のスタンプが紹介されました。

 まだ全貌は明らかになっていませんが、おそらく500個以上のスタンプが紹介されたのではないでしょうか。その3分の2ぐらいは解説付きです。普段私たちが接する駅スタンプは、暗号のような絵柄が散りばめられ、文字による解説は皆無かわずか数文字です。もう少し絵柄について詳しく知りたいと思っても思うに任せません。
 やはり前にも触れましたが、駅スタンプの嚆矢は福井駅です。その福井駅のスタンプ設置は当時新聞にも出たそうですから、かなり話題になったことは想像できます。「旅」昭和6年6月号に紹介記事が出ていますので、その記事をまずご覧ください。
20140612_01.jpg ▲「旅」昭和6年6月号より(画像を合成しています)
 これが今日に至るまで衰えることなく鉄道旅行のひとつの楽しみになっている駅スタンプの始まりでした。福井駅長だった富永氏の功績はとてつもなく大きなものだと思います。これ以降、スタンプを積極的に紹介した「旅」の影響もあって、日本全国の駅に燎原の火の如く駅スタンプが広まっていきます。国有鉄道だけではなく、私鉄にも伝播していきます。
 昨年このブログで紹介しました函館本線小沢駅のスタンプも「旅」に載っていました。小沢駅にアップされた2つのスタンプから、同じスタンプが30年近く使われていた可能性について書きましたが、どうやらこのスタンプは昭和8年に使用開始されたようです。
 その他、ワイスホーンの説明、牧場主が盛岡市に住んでいる三田氏の経営であることや、列車の絵は道内有数のトンネルと勾配を表現していることなどを伝えています。考案者は助役の村上健吉氏。やはり説明されないと分からないことばかりですね。
 全体のデータ化と整理にはもう少し時間が必要ですが、折に触れてご紹介していきたいと思います。駅という定点で古いもの尋ね、新しい現在のものを知るのも楽しい。駅スタンプはストレートにそういう楽しみ方ができます。
20140612_02.jpg ▲(左)「旅」昭和6年6月号より(中)投稿:tt-museumさん(右)投稿:新金沢文庫(和久田康雄コレクション)(画像を合成しています)

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年06月12日   その他 / 投稿   タグ : 駅スタンプ

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