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大通公園を横切る馬車軌道

 『日本鉄道旅行地図帳』を企画したとき、サブタイトルとして「全線全駅」という文字を入れることは、最初から決めていました。悩みに悩んだのが、「全廃線」という文字を入れるかどうかでした。語呂もいいし、納まりもいい。鉄道をよく知る人たちに、強くアピールができる文字です。反面、編集する側の責任は重大です。最終的に、自分に「覚悟」を促す意味で、入れることにしました。

 全廃線といっても、たとえば都市路面電車の前身である馬車鉄道の実態を明らかにするには至りませんでした。北海道では旭川に上川馬車鉄道、札幌に札幌石材軌道、函館に亀函馬車鉄道などがあり、地図にはなんとか入れることができましたが、路線の概要などはほとんどありません。紙幅の問題もありましたが、調べきれなかったという方が実態に近いでしょう。

 この週末、「日光牛車鉄道」さんから投稿いただいたのは、札幌の馬車鉄道の絵葉書です。大通公園付近を2台の馬車が走っています。10人も乗れば満員になりそうな車両を牽いています。背景には町の建物が写っています。「日光牛車鉄道」さんは年代を「大正初期」と推定されています。

 札幌に限らず馬車軌道のデータを入力する準備はまだできておりません。したがって会社名や路線名が選択できず、投稿しにくくなっております。今回「日光牛車鉄道」さんのように、後の札幌市電の前身というご判断でご投稿いただき、こうして札幌の馬車軌道の姿が浮かび上がりました。札幌の拡大図をご覧いただくと、オレンジ色のラインでこの馬車鉄道の路線が入っています。

 MEMO欄に各路線の開通日も入れてあり、これは編集部への叱咤激励とし真摯に受け止めたいと思います。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2013年05月27日   北海道   タグ : 札幌, 馬鉄

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