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似たもの駅舎 三角屋根の東森と美利河

  函館本線東森駅は、通称砂原回り線の駅です。砂原回りの前身となる渡島海岸鉄道にも東森という駅がありました。その鉄道名にロマンチックな印象を勝手に抱いていましたが、この鉄道の写真や切符などは見たことはありません。それはともかく、この駅は 『百駅停車』に「鄙にも希なモダン駅舎」として登場します。

 筆者の杉﨑さんは「初めてこの駅に降り立ったときは、よもやこれが駅舎だとは思えなかった」と書いています。写真を見るとホームと駅舎に微妙な距離があり、しかも建物に駅名看板がない。いかめしで有名な森駅のとなりのローカル駅の駅舎が、どういう経緯で斬新で可愛らしい三角屋根になったのか、興味をそそられます。屋根の色は赤です。higashimori.jpg▲撮影:杉﨑行恭氏

 さて昨日松前線瀬棚線岩内線の駅舎の写真を、それぞれの駅ページにアップしました。この3線はいずれも廃線になっていて、ほとんどの駅舎は取り壊されているのではないかと思います。
 瀬棚線美利河という名の駅がありました。駅舎の写真を見て、どこかでみたことがあるな、と思いました。これが前述した東森駅舎と瓜二つでした。昭和58年2月に乗車した宮脇俊三氏は

「トンネルを抜けると、明るい高原状の広々としたところに出て、美利河に停車する。別荘のような三角屋根の駅舎は、小さいながら瀟洒だ」
(『終着駅に行ってきます』新潮文庫

と書いています。
 残念ながら、JRの仲間に入れてもらえず、JR化直前に瀬棚線は廃止になり、美利河駅も運命を共にしました。廃止後、美利河駅を訪れた堀淳一氏は、「大好きな駅名だった」と書かれたあと、駅舎にも触れています。

美利河駅は、名前ばかりでなくて、ほとんど地面に接するばかりの大きな三角屋根とそこからニュッと突っ立っている高い煙突、というバンガロー風のスタイルもまたよかった」(『北海道 鉄道跡を紀行する』北海道新聞社)。

 birika.jpg▲撮影:RGG

 駅舎の印象も、立地条件に左右されるということでしょうか。生き別れた双子のような駅舎は、廃駅となった美利河は2人の先達に賛辞を送られ、現役の東森は本線の片隅でひっそりと生きている。

 今度、北海道に行く機会があれば、砂原回りのローカル列車でこの三角屋根の駅舎を車窓からでも見てみたいと思っています。

編集部 田中比呂之(ひろし)

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