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情報はあったほうが良いが......

 先日このブログで会津線の撮影旅行について触れました。この旅行を蘇らせる道具として当時の時刻表を使用しましたが、時刻表では貨物列車の時刻がわかりません。そういえば蒸気機関車牽引列車の時刻をまとめた雑誌のようなものがあったな、とふと思い出しました。冊子のような本だった。

 railphoto.jpg以前実家から中高生の時に読んでいた鉄道雑誌を自宅に運び込みましたが、その中にあるかもしれないと探してみると、ありました、『RAIL PHOTO』。「通過時刻までわかる 45.10全国SLダイヤ一挙掲載」と表紙にあります。B5判42ページ。定価360円。鉄道写真集出版会編。(このころ『鉄道ジャーナル』は300円でした)。
 会津線のページをご覧いただきますが、SL牽引列車だけを抜き出して、時刻表の形に編集してあります。丁寧な手書きに、編集者の熱意が伝わってきます。あの頃、鉄道誌以外にはほとんど情報はなく、いや、あっても中学生の小遣いではあれもこれも買うことができません。ですから、時刻の情報といえばこの本しかありませんでした。
 この本と時刻表を見ながらできるだけSLの写真を撮ろうと、旅程を考えたわけです。列車に乗っているのも好きで、駅で降りてうろうろするのも好きでしたので、いつも中途半端な結果だけが残ります。40年前のフィルムを見ながら、今も中途半端な性格だけは変わってないことを確認しました。
aizuline.jpg それでもSLの時刻が事前にわかって、それをもとに計画を立てられる時代になっていたんですね。私のようにSLの時刻を知りたちと思う人たちがそれなりにいて、「市場」が形成されつつあったということでしょう。
 私より上の世代の人たちは、そういう点でご苦労をされたと思います。ただ青木栄一さんが昭和20年代に北海道を旅行した時の記録集がRMライブラリーで刊行され、それを読んだとき、とても羨ましいなと思った記憶があります。青木さんは「行ってみないと何がいるかわからない」状態で、北海道各地を訪ねているのです。
 こういう旅には無駄足はつきものですが、思ってもみないモノに出会う喜びもまたあるのです。すでに日本国内ではこういう経験をすることは、ほとんど不可能です。事前に情報があることは、良いことに違いありませんが、訪問してその情報の正しさを証明して歩く旅になってしまいがちですね。無いものねだりを承知で書いてしまいました。

 編集部 田中比呂之(ひろし)  

2013年07月29日   東北

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