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世界遺産に挑戦する三池炭鉱

 『日本鉄道旅行地図帳』九州沖縄大改訂版の取材2日目の午後は久留米周辺の駅巡りをしました。2車線の道を走っていると左に写真のような建物が目に入りました。こんなところに駅はないはずだが......、どうもお店のようです。「ちょっと、休んでいきますか」ということで駐車場に乗り入れました。オニオンというハンバーグチェーンの建物で、移築とかではなく、新築だそうです。
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駅のようなハンバーグ店
 こういうお店が生活圏にあれば、趣味の会合にちょうどいいのになあ、などと考えながら、コーヒーとチーズケーキをいただきました。

 さて大牟田市内に泊まって3日目に訪れたのは大牟田市役所です(この建物もこっそり世界遺産リストに入れておいてもいいのではと思いました)。取材の際にいただいたクリアファイルに記された言葉をここに引用します。

----大牟田市は、三池炭鉱関連施設(宮原坑、三池炭鉱専用鉄道敷、三池港)を「九州・山口の近代化産業遺産群」として世界遺産登録を目指しています。

 われわれの注目はもちろん「三池炭鉱専用鉄道敷」です。単独ではありませんが、世界遺産に登録されれば、廃線跡としては世界初ではないでしょうか? 市役所で担当者の方々に説明を受けた後、宮原坑や万田坑などを案内していただきました。
 ご存知のファンも多いと思いますが、西鉄新栄町付近から旧宮浦坑付近までは、現在でも三井化学の専用鉄道があり、ジーメンス製の流れを汲む東芝製の電気機関車が活躍しています。朝、2往復の貨物列車が走ります。市役所に行く前に撮影しました。
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昇降式踏切を通る東芝製電気機関車
 さて最初に案内されたのは宮原坑です。実は産業系のこの手の施設にはそれほど興味がなかったのですが、宮原坑の竪坑ケーブル用の鉄製櫓を見て、ちょっといいなと思いました。前日に見た佐賀線の筑後川橋梁のように佇まいがいいですね。横には廃線敷があります。この後万田坑(荒尾市)も見学しました。こちらの方は整備が進んでいるようで、受付の建物にはジオラマもありました。
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宮原坑竪坑櫓(左) 宮原坑ケーブル操作室(右)

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万田坑竪坑櫓

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下に廃線敷がある陸橋
 鉄道ファンとしてはやはり廃線跡が気になります。できれば遊歩道に整備して、徒歩や自転車で世界遺産を巡ることができたら楽しいでしょうね。それに戦前から電気機関車が多数活躍していた専用鉄道ですから、その電気機関車の保存施設も作って欲しいですね。気まぐれな観光客より、鉄道ファンの方が足繁く通ってくるかもしれません。さらに「オニオン」のようなファミレスができれば、言うことはありません。

 今回の取材記事(内田宗治氏取材執筆)は、『日本鉄道旅行地図帳』九州沖縄大改訂版に掲載します。発売は9月20日(予定)です。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2013年08月05日   九州・沖縄

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