豪雨と鉄道

 今年、というより近年といった方がいいかもしれませんが、豪雨による災害が増えているような気がします。鉄道ファンですから、自然災害と鉄道不通といったニュースに敏感です。不通になって、そのまま廃止になった路線は、これまでにいくつもあります。とても心配です。

 東日本大震災の津波被害から復旧に向けて進む三陸鉄道が走る同じ岩手県の岩泉線が廃止の危機に瀕しています。岩泉線は平成22年7月、押角~岩手大川間の土砂崩れで全線が運休しています。昨日、JR東日本は、沿線自治体に廃止の意向を地元自治体に伝えました。三陸の海側では三陸鉄道がNHKのドラマの舞台として注目を集める中、岩泉線の沿線自治体は、廃止という厳しい要求をJRから突きつけられています。
 東日本大震災が起きた同じ平成23年、只見線は豪雨によって3カ所の橋梁が流出して、会津川口〜只見間で不通になっています。災害から2年が経過した現在も復旧の見通しは立っていません。
 今年7月には米坂線手ノ子付近で路盤が流出して線路が宙づりになりました。ローカル線でこういう災害が起こると、ドキッとしますが、幸い8月8日に復旧しました。中学生の時に9600形蒸気機関車を撮影に行った思い出深い米坂線だけにホッとしました。

okami.PNG▲現在運休している岡見貨物 山口線 徳佐~船平山 2009年8月
 西日本では、あちこちで記録的豪雨(今年は何度もこの言葉を聞きました)による災害が起こっています。路線名を聞くと弱いモノいじめとしか思えないよう災害です。木次線、山陰本線、山口線、三江線で不通区間が発生して、山口線では「SLやまぐち」号の運転を取りやめました。貨物ファンもやきもきしているのでは。ただしJR西日本は平成7年7月にやはり豪雨不通になったあの大糸線(南小谷~糸魚川間)を2年かけて復旧させた会社です。正直なところ、廃止されるのではないかと思っていました。なので、現在不通になっている路線も期待を裏切るようなことはないでしょう。
 延岡から高千穂を結んでいた高千穂鉄道は、平成17年9月6日台風24号による増水で、2つの橋梁が流されるなど大きな被害を受け、運行休止となり、翌平成18年12月に残念ながら廃止になりました。
 三陸鉄道関係者から聞いた話では、津波被害を実見した際、思い浮かべたのが高千穂鉄道だったそうです。このまま列車を動かさなければ、廃止が待っている、と。だから動かせるところから動かそうと思ったのだそうです。久慈〜陸中野田間の運転を再開したのは、震災から5日目、3月16日のことでした。

編集部 田中比呂之(ひろし)  

2013年09月06日   中国・四国 / 東北

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