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時を止めている小湊鐵道

 小湊鐵道には何度か乗車しています。そのたびに「いずれ駅舎をじっくり見てみたい」と思っていました。「いずれ」とか「いつか」はだいたい実現しないものですが、この夏に実現しました。残念ながら車での訪問でしたが、それでも十分木造駅舎を堪能しました。そのことは8月6日のブログで触れました。

 ここ数日「otome-c56」さんがこの鉄道の駅舎や切符売り場の内側の写真などを投稿されています。駅舎の写真をいくつか見ていると、私が8月に訪れた時とほぼ同じ風景が写っています。撮影日を見ると、平成11年5月ですね。14年前です。どの駅舎も開業当時、つまり大正14年の建築とのことですから、変わっていなくても不思議はありませんが、まさに時が止まっています。車両も同じです。
 8月のブログを書いた後、『日経ビジネス』に石川晋平社長のインタビューが載っているのを見つけました。車両は全部14両で、最後に買ったのは昭和52年とおっしゃっています。数年に1回全部塗り直すとも。小湊鐵道の車両はいつも塗装がきれいだと思っていましたが、車両を新製しない代わりに、まめに塗り直しているということなのですね。
 それよりも駅舎の建築を担当したのは、当時の鹿島組、今の鹿島建設なのだということが、このインタビューで判明しました。大手建設会社に依頼したので、同じ形の駅がいくつもできたということだと思います。地元の大工さんにお願いすれば、ここまで同じ駅舎がいくつもできることはありません。
 その大正生まれの駅舎を、車両と同様何度も塗り直してながら、大事に使ってきて、ついには21世紀に突入しました。今年になって無人駅が増えたようで、ちょっと気になります。

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▲(左)投稿:otome-c56さん(右)撮影:編集部
 上総鶴舞駅の使用されなくなったホームの上から駅舎を撮影した写真を「otome-c56」さんの写真と比べてみると、どこに違いがあるかわからないぐらいですね。手前の駅名標がやや朽ちてきていますね。出札窓口を見ると、塗り直しているのがわかります。
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▲(左)投稿:otome-c56さん(右)撮影:編集部
 上総山田駅も時の経過がわかりません。ただこの駅も無人化されて、硬券を売っていた窓口の前に、自動販売機が置かれていました。
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▲(左)投稿:otome-c56さん(右)撮影:編集部
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▲(左)投稿:otome-c56さん(右)撮影:編集部
 海士有木駅も時が止まっています。5月と8月の差しか感じられません。この駅はかつて千葉急行がめざしていた駅ですね。この駅の佇まいを見て、やはり妄想だったのかと思いました。この風情が残って良かったとも思いましたが、それは余所者の無責任な感想というものでしょう。
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▲(左)投稿:otome-c56さん(右)撮影:編集部
 フリー切符を買って、何駅か降りてみることをお薦めします。秋の鉄道小旅行にはうってつけです。
 30年前、40年前の写真も見てみたいですね。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2013年10月02日   関東   タグ : 小湊鐵道

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