東京総武地下駅の特急「しおさい」乗車ホームで待ち合わせ。発車時点で2人の脱落者が出ました。定時9時40分に発車。自由席には3割ぐらいの乗客でしょうか。それでも錦糸町で7割ぐらいの乗車率になりました。千葉方面の特急は錦糸町から千葉までの利用が多いと聞いています。ところが、私たちの乗った5号車の乗客は千葉でもほとんど降りず、かえってさらに乗ってくる乗客がいて、ほとんどの座席が埋まったようでした。
　佐倉を過ぎると低い山と田んぼや、畑の車窓が続きます。家が点在して、時々短い鉄橋を渡る車窓をボンヤリ眺めます。「この辺から会社に通える？」など愚にもつかない同僚の質問にも適当に答えます。「雨が降ったら出社したくないよな、こんな遠くに住んだら」。
　銚子まで2時間強。同じ時間に東京を発車した「のぞみ」は京都に達しようかという時間です。JRの改札口には銚子電鉄の女性3人が立って案内をしていました。跨線橋を渡って銚子電鉄の乗り場へ。かなり老朽化した駅舎のようなゲートをくぐってホームへ。ちょうど2両編成の電車がやってきました。乗客は20人ぐらいでしょうか。同僚たちはほぼ全員デジカメで写真を撮っていました。

　前の車両に乗ると、動き出す前に車掌がさっそく検札にやってきました。「1日乗車券をください」というと「どこまでですか」と聞き返され、「外川まで」と答えると「では外川の駅で買ってください」と言って去って行きました。理由を聞くのを忘れてしまいました。
　定刻に電車は動き始めました。途中、笠上黒生駅で銚子行きの電車の行き違い。同好の人たちがあちこちでカメラを構えていました。減便になるとこの駅での交換風景が見られなくなるそうです。駅舎は木造駅舎でした。
　終点外川で下車。前にここに来てから20年が経過していることに愕然。その時は構内に「澪つくし号」のトロッコ車両が留置されていましたが、その場所には老朽化した電車が留置されていました。

　外川から港に向かって下り坂を同僚たちとゆっくり歩いて行きました。港の近くにあるお店をめざします。2日前に仕入れたばかりの情報で、予約もせずに向かっているとは、誰も知りません。釣り船が舫っている港の前に小綺麗なそのお店はありました。総勢9人が突然訪ねても全然大丈夫でした。ただし料理が出るまでに30分ぐらいかかると言われました。
　この時期にしては気温も高く、日差しが入る部屋は暑いぐらいでした。風はなく、波の音も聞こえてきません。皆思い思いにまったりしていると、注文した店の名前を冠した定食が運ばれてきました。刺身はまだ鼓動しているのではと思うほど新鮮でした。これで1200円は安いですね。丼もつみれ汁も美味しくいただきました。


　ここから犬吠埼まで弧を描く水平線を見ながら歩きました。40分ぐらいでしょうか。前方にずっと灯台が見えているので、不安なく歩けました。犬吠埼のお土産屋の前には観光客の車がたくさん駐車していました。風はやや強いぐらいでしたが、意外に寒くない。これは黒潮のおかげでしょうか。快晴の空に白い灯台。ここで脱落していた1人と合流しました。
　灯台の見晴らし台まで99段の階段だそうですが、誰も挑戦しません。灯台を囲む白い壁の前に白い郵便ポストがありました。写真を撮っていると、ちょうど集配の人が来たので、「白いポストはここだけですか？」と聞いてみる。「特別に許可をもらって白に塗っているんです」。全国でここだけだそうです。


　ここから犬吠駅までまたゾロゾロと歩きました。15分ぐらいでした。犬吠の駅舎はポルトガル風の駅舎。ここで1日乗車券特典の濡れ煎（銚子電鉄を支えている！）を受け取りました。犬吠から今度は1両（元営団）の電車。これで先ほど同好者の人たちが写真を撮っていた笠上黒生駅で降りました。駅のあちこちにカメラを構えた人たちがいます。ここで当面見られなくなる交換風景を撮影。同僚たちは意味がよくわからないようでしたが。
　銚子に戻ってまたお土産を買ったり、老舗の寿司屋で名物の甘い伊達巻きを食べたりして、帰りの特急「しおさい」に乗り込みました。土曜の夕方なのに銚子の駅前商店街に人影がほとんど見られませんでした。


編集部　田中比呂之（ひろし）