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リニア新幹線に興味が湧かない理由

 川島令三さんの『リニア中央新幹線のすべて』(廣済堂出版)を拝読しました。久しぶりに「川島節」を楽しみました。川島さんには仕事でお世話になっていますし、もともとかなりの量の著作を拝読しています。真剣に論じているところに、突然子供の妄想のような話を挟み込む面白さが川島さんにはあります。

20131119_01.jpg 川島さんはリニアには肯定的です。技術的なところもわかりやすく書いてあるのですが、普通鉄道の技術もよくわかっていない私にはかなりハードルが高い気がしました。
 実はいくらニュースなどでリニアの話題が取り上げられても、なぜか興味が湧かないのです。151系「こだま」や新幹線に胸躍る気持ちになった子供の頃とは違います。大人になってからも、新車が登場するとなんとか時間を見つけて乗りに行っていますが、リニアにはどうしても興味が湧きません。
 おそらく私の年齢と関係があるのでしょう。リニア新幹線の品川〜名古屋間が開通するのが2027年(予定)。私は70歳になっています。あまり考えたくありませんが、元気なら鉄道旅行をノンビリ楽しんでいるかも知れません。それでもどこかに速く行かなければならない用事はほとんどないでしょう。さらに新大阪(大阪のターミナルは新大阪ということになっているそうです)まで完成するのが2045年です。
 では2027年に元気だったとして、現在居住している東横線沿線から橋本まで行ってリニア新幹線に乗り換えるかどうか。川島さんの本には新横浜以南に住む人の例が書かれています。

----橋本駅がリニア中央新幹線の駅になったとすると、新横浜以南住む人にとっては同駅乗換よりも34分所要時間がかかることになる。横浜線の新横浜〜橋本間の所要時間が34分(快速利用では27分)だからである。
 東海道新幹線「のぞみ」の新横浜〜名古屋間の所要時間は1時間18分である。
 リニア中央新幹線を利用すると、橋本〜名古屋間の所要時間はリニアの途中駅をすべて通過したとして33分、各駅停車タイプだと63分と想定できるから、リニア中央新幹線経由の新横浜〜名古屋間は乗換時間15分として1時間15分から1時間52分となる。


 この想定を読んで、リニア新幹線への興味がますます薄れました。これなら「のぞみ」に乗ります。もっともリニアと東海道新幹線は同じ会社です。「のぞみ」がなくなって、急行並の「ひかり」と「こだま」しか走らせず、リニアに誘導するダイヤになることも考えられます。それでも「老鉄道マニア」は東海道新幹線でのんびり行くことを選ぶのではないかと思います。
 2027年という具体的な年が「予定」とはいえ明示されたことで、21世紀後半の鉄道の姿が朧気ながら見えてきたことは確かですが、それにしても鉄道建設は気の遠くなるほど遅いのは何故でしょう。もっと迅速に建設してくれれば、私も興味を持ったかも知れません。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2013年11月19日   本の話   タグ : リニア新幹線

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