まさかここに地下鉄が走るとは、と開通時に思ったものです。日吉本町や高田は小学生時代の行動範囲内です。田んぼや池や原っぱがあって、子供にはよい遊び場でした。地下鉄と言えば、銀座線や日吉まで乗り入れてくる日比谷線ぐらいしか知りませんでした。
　思えば半世紀の月日が流れています。世の中は変わります。日吉から乗車して日吉本町で降りてみました。立派な駅舎がありました。地下から上がって外に出てみると、まるで浦島太郎ですね。地形に覚えがあるようなないような、なんとも不確かな心境です。小学校時代の友人の名前を何人か思い出しました。
　次の高田でも降りてみましたが、やはり昔と重ねられる光景はありません。またいつか、と呟いて、駅に戻りました。お約束の駅名標を撮影しようとファインダーを覗いて、ちょっと驚きがあったのですが、「たかた」と書いてあるのです。「たかだ」じゃないのか？　この瞬間まで「たかだ」だと思っていました。私が住んでいた下田町の隣が高田町でした。誰も「たかた」と言っていた覚えはありません。高田小学校と野球の試合もしたことがあります。（大勝しました）。


　気持ちの整理のつかないまま、次の東山田で降りて「えっ」と声が出ました。「ひがしやまた」と書かれていたのです、大きなひらがなで。駅名ひらがな書きとしては日本最大級ではないかと思われるほど、大きな字で書かれています。次の北山田も「きたやまた」でした。
　この辺りは「田」は濁らないのかと長津田のことを思い出したりしました。長津田は「ながつた」です。思い込みと言ってしまえばその通りなのですが、子供の頃からずっと「ながつだ」だと思って乗り換えていましたが、大人になってからある日気づきました。田園都市線でも横浜線でも車内放送や駅の案内放送で「ながつた」と言っているのに、気づかなかったのですね。
　では私が長年住んでいる横浜北部地域は「田」は濁らないかというと実はここに挙げた駅名＝地名以外はだいたい濁っています。長津田の隣に恩田がありますが、「おんだ」です。

　時間に余裕があるときにもう少し調べて見たいと思います。いや今尾恵介さんに聞いてしまった方が早くて正確かもしれません。そう言えば、ジャパネットたかた、ですね。

編集部　田中比呂之（ひろし）