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着々と復旧工事が進む三陸鉄道島越駅付近

 今年4月、三陸鉄道が東日本大震災以来3年ぶりに全線復旧します。南リアス線は4月5日、北リアス線は6日に開通予定で、それぞれ釜石市内と宮古市内で開通式典が行われます。

 それとともにJR山田線が三陸鉄道に移管されるというニュースが流れていますが、これはまだ「可能性」の域を出ません。
 三陸鉄道の復旧費は当初、180億円という試算がありましたが、最終的には90億円程度に収まる見通しだそうです。南リアス線は築堤が崩壊した甫嶺三陸間がすでに復旧して、吉浜間は昨年4月に運転を再開しています。今年4月は、残り吉浜釜石間が復旧、運転再開となります。
 この区間には津波で流失した荒川橋梁が含まれます。また見た目には被害を受けていないように見えた釜石付近の橋梁は、ひび割れや橋梁のズレなどがあり復旧に時間がかかりました。
20140203_01.JPG 20140203_02.JPG ▲(左)2011年5月28日撮影
 (右)2013年12月31日撮影(提供:三陸鉄道)

 北リアス線最大の復旧工事は、島越駅付近です。この小さな入江の駅と高架橋は何もかも破壊され流失しました。このブログでご紹介しましたように、NHKの朝ドラマ『あまちゃん』の震災シーンにも使用された破壊の光景が、この島越でした。
 最近の画像を三陸鉄道からお借りしましたので、震災前の画像とともにご紹介します。
20140203_03.JPG
20140203_04.jpg 20140203_05.JPG ▲(上)2014年1月30日撮影
 (左下)2005年5月8日撮影(右下)2011年4月11日撮影(提供:三陸鉄道<3点とも>)

 巨大な築堤ができて、防潮堤の役割も担うことになりました。1月30日の撮影の写真(上)には、築堤上にバラストが敷かれている様子です。横から見るとかなり傾斜の緩い築堤になっていますね。
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 新しい島越駅田野畑寄りの島越第1トンネルの出入口付近にできます。これは災害時に避難がしやすいようにとの配慮です。駅舎は復旧開業時には間に合わず、開業後になるとのこと。旧駅舎のデザインに近い建物を予定しているそうです。新しいホーム横にはすでにPC枕木が置かれています。
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 下の写真はあまり紹介されることがない島越田野畑間にある2つの橋梁です。東日本大震災の取材の際、島越へ行く前にこの2つの橋が激しく破壊されているのを見て、衝撃を受けました。谷が狭いだけに津波の圧力も高まったのではないかと思います。
 コイコロペ橋梁は島越駅から島越第1トンネルを田野畑側へくぐったところにあります。田野畑から島越へ向かう道の上を線路が跨いでいる場所です。
20140203_10.JPG 20140203_11.JPG ▲コイコロペ橋梁
 (左)2011年4月30日撮影
 (右)2013年12月28日撮影(提供:三陸鉄道)

 もうひとつがハイペ沢橋梁です。これは島越第2トンネルと平井賀トンネルの間に架かる橋で、すぐ横が海です。ひとたまりもないという破壊ぶりでした。
20140203_12.JPG 20140203_13.JPG ▲ハイペ沢橋梁
 (左)2011年4月30日撮影
 (右)2014年1月30日撮影(提供:三陸鉄道)

 平井賀トンネルと越えると田野畑駅です。田野畑久慈間は平成24年4月に平常運転に戻っています。
 いよいよ4月、全線復旧します。新しい車両も走り始めます。復旧した新しい線路を新車に乗って車窓を眺めたい。老境にも待ち遠しい春があります。
追伸 
2月28日私が担当しました『線路はつながった 三陸鉄道 復興の始発駅』(冨手淳著)が刊行されます。詳しくはまたこの欄でご紹介させていただきます。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年02月03日   東北   タグ : 三陸鉄道

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