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もし「軟券検定」をやるなら、この問題

 幼稚園から大学まで通うと、その間に受けるテストの回数はどのくらいになるのでしょうか。もちろん何千回という回数になると思いますが、成長期にこれだけ持続して行われる「イベント」はそう多くないでしょう。

 テレビでクイズ番組隆盛の遠因は、この教育の成果ではないかと密かに思っています。そして○○検定が安定した人気になっているのも、やはり「教育の成果」でしょう。 20140207_01.jpg
▲中村俊一朗コレクションより
 もし切符検定とか軟券検定とかを実施するなら、上のような車内補充券を題材に問題を出したら面白いのではないかと前々から思っています。例えばこの車内補充券の発売日の特定です。地図式の車内補充券を見ると、ついつい日付の特定をしたくなります。というわけで、今日はこの車内補充券の日付特定に挑戦してみようと思います。保存状態の良い切符ですが、「領収額」欄に「銭」があるので、少なくとも戦前のものだということはすぐにわかります。
 東京電車区間のうち、山手線は昭和46年に開業する西日暮里以外は現在と同じです。京浜東北線王子鶴見間はやはり西日暮里以外は現在と同じ駅の並びですね。中央線東京武蔵境間が、万世橋以外は現在と同じです。都心部は他にも交通機関があり、地元から新駅請願などはないのでしょうね。
 私がこの切符を見て、最初に気がついたのが、南武線がないことです。それで南武鉄道がいつ買収されたかから調べることにしました。昭和19年4月1日でした。確定した日付を○数字で整理しながら進みます。

①昭和19年4月1日以前

次に万世橋の廃止日を調べます。
②昭和18年11月1日休止

西の方に目を向けると熱海の先に函南、三島、沼津があります。ということは丹那トンネルが開通しているということです。
③昭和9年12月1日丹那トンネル開通

 熱海の南に伸びる伊東線が網代まで開通しています。その先はいつ開通しているのでしょう。網代までが昭和10年3月30日、宇佐美、伊東の開業は昭和13年12月15日です。伊東線の履歴で一気に可能性が狭まりました。
④昭和10年3月30日から昭和13年12月15日の間

 となると、この期間で開業・改称・廃止になった駅があれば、さらに期間を詰められます。ここまで来るとしらみつぶしに駅の履歴を追わなければなりませんでした。ありました。北浦和。昭和11年9月1日です。

 これでも見逃しがあるかもしれませんが、この切符の発売日は、昭和11年9月1日から昭和13年12月15日の間ということになりました。お忙しい方にはお薦めしませんが、調べる過程で余計な知識も得られるので、楽しい頭の体操にはなります。
 最後にもう一枚「出題」します。お時間のある方は挑戦してみてください。 20140207_02.jpg
▲生井邦昭コレクションより

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年02月07日   その他

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