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これもプライベートブランド商品ですか

20140306_01.jpg「おいしい柿ピー」を食べながらこのブログを書いています。近頃柿ピーマイブームが来てしまい、どうしてもやめられません。この柿ピーは先日行った松阪駅前のファミリーマートで買ったものです。いつも買っている東急ストアの「ピー柿」より内容量が少なく、90gと表記されています。

 同じ柿ピーでも袋の大きさには差があるものなんですね。地域の特性なのか、チェーンの特性なのか。小売り側が徹底して分析した結果、生まれてくるのがいわゆるプライベートブランド商品なのでしょう。私のようにあるだけ柿ピーを食べてしまう人間には、制限があっていいかもしれません。
 長い前置きになってしまいましたが、先日『図説街場の鉄道遺産』という本が刊行されました。版元はセブン&アイ出版という会社です。セブンイレブン系の会社ですね。これもプライベートブランド商品ということになるのでしょうか。
 タイトルが示しているように内容に冒険性はありませんが、手堅いテーマの選び方です。「東京23区編」と「東京近郊・神奈川編」が出ています。ぱらぱらめくっているうちに、あちこちで手が止まりました。この2冊の本で紹介されている鉄道遺産のかなりの数は私も訪れていますが、「あれこんなところだったっけ?」と思うところが何カ所もあります。
 遺産の魅力が実物以上によく伝わっているのです。鉄道ファンのツボが押さえられているというのでしょうか。鉄道遺産といえば、多くは木・鉄・煉瓦・コンクリートでできていますが、その質感が良い感じに写し出されています。
 この2冊で紹介されている中で、さっそく訪れて見たくなった鉄道遺産をいくつか挙げてみます。まず残っているとは知らなかった京成本線寛永寺坂駅。隣の博物館動物園駅は有名ですが、寛永寺坂駅の駅舎がまだあるんですね。実は木造駅舎よりはコンクリート駅舎の方に魅力を感じます。
 やはりコンクリート製の王電ビルヂングも気づきませんでした。都電の三ノ輪橋は何度か行ったことがあるはずですが、こんな格好いいビルが建っているとは。
 東京市場駅は、汐留の先にあった駅です。鉄の柱がカーブして並んでいるのは、かなり格好いいのですが、今もここに入れるのでしょうか。往時の写真を見てみたい場所です。
 切りがありません。奥付のページに木造のベンチの写真があります。いまだに東急の駅に残されている座り心地のよいベンチですが、これを最後に持ってくることにしたのは、松本典久さんでしょうか、岡倉禎志さんでしょうか。東急ファンとしては拍手を送りたいと思います。
 この本と合わせて読んでおきたいのは、前にご紹介した小野田滋著『東京鉄道遺産』です。この3冊を鞄に入れても負担にはなりません。
 さらに気になるのは、どこのセブンイレブンでこの本が売れるかですね。商品分析にはシビアなこのチェーンのこと。詳しい分析データが出るでしょうから、この分野が好きな鉄道ファンがどこにいるのかがある程度あぶり出されるのではないかと期待します。もっとも他社には教えてくれないでしょうけれど。

編集部 田中比呂之(ひろし)
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2014年03月06日   本の話

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