神奈川県の中央部を縦に走る相模線は、おそらく鉄道ファンからほとんど注目されていない路線ではないかと思います。走っている電車は205系で、前面はこの線オリジナルではありますが、だからどうした、ですまされてしまいそうです。
乗り鉄で「つぶすために」乗る人はいるでしょうが、何かのついでに乗るには乗りにくい路線でもあります。私もそれほど乗っているわけではありませんが、それでも神奈川県民の鉄道ファンですから、非電化時代から時々乗りに来ていました。
キハ30やキハ17(キハ11か?)に乗って、数時間ローカルな気分に浸りました。前回乗ってからどのくらいの時間が経過しているかわかりませんが、少なくとも電化後に205系に乗った記憶があります。たしかその時は寒川で降りて、西寒川まで廃線跡を歩いたはずです。
寒川と厚木以外には降りたことはないのではないかと思います。先週の土曜日、橋本から全駅撮影を試みました。11時頃、横浜線で橋本に降り立ち、まず南橋本で降りました。駅横には巨大なマンションが建っていました。駅はガラス張り。最近郊外駅に多いガラス張りなので驚きませんが、こんな駅舎ばかりだったら、どうしようとは思いました。
▲(左)南橋本(右)上溝、背景に丹沢が見える
気温は高くありませんが、気持ちのよい青空が広がっています。高架の上溝駅ホームからは、丹沢がきれいに見えました。次の番田の駅舎を見て、ちょっとホッとします。昔ながらの木造駅舎で、財産標を見ると昭和16年と記されていました。現在リフォーム中です。
▲(左)番田(右)下溝
20分から30分毎に来る電車は、ガラガラということもなく、かといって立っている人がいるわけでもない、ほどよく乗客がいます。これくらいの乗車率だと営業的には厳しいのかなと思ったり。
下溝駅舎は昭和19年築の小さな駅。そして相武台下、ローカル色たっぷりの駅です。神奈川県にもこういう駅がまだ残っているんですね。出入口横には大きな木もあり、ローカル駅舎の典型と言えるでしょう。昭和5年築です。缶コーヒーを飲みながら、次の電車が来るまでゆっくりと愛でました。
▲(左)相武台(右)入谷駅駅名標
入谷は片面ホームで駅舎はありません。相模線には他の路線では見かけない駅名標が立っています。これにはどんな事情があるのでしょう。まさか相模鉄道時代のものではないでしょう。
海老名、厚木は語るべき駅舎はありません。海老名は小田急・相鉄駅前の発展に飲み込まれようとしていました。
▲社家駅駅舎
そして社家、門沢橋、倉見です。門沢橋駅は新しい駅舎に変わっています。相模線を代表する?2つのコンクリート駅舎。シンプルですが、かなり良い味が出ていました。説明板にあるように、この駅は大正15年に開業して以来の駅舎だそうで、先ほどの相武台下駅舎のような建物が主流だった当時、かなり斬新だったでしょう。これほど洒落たコンクリート駅舎は珍しいと思いますが、相模線には2つもあります。
▲(左上)倉見駅説明板(右上)倉見駅駅舎横(下)倉見駅正面
コンクリートといえば、現代を象徴するコンクリート建造物である高速道路の建設が、相模線の沿線で進んでいました。私は車を運転しないので、道路網については疎いのですが、社家から宮山にかけて、相模線に絡みつくように高架道路が建設されています。それは、鉄道と道路の勢いの差を感じさせる光景でもありました。
▲宮山駅横踏切から
宮山
寒川、香川、北茅ヶ崎は携帯電話のカメラで撮影しましたが、北茅ヶ崎は日没に間に合わず、いずれまたということにしました。
編集部 田中比呂之(ひろし)