入場券を勉強中

 入場券の料金の変遷を勉強中です。きっかけは戦前期の3枚の入場券でした。「東京駅10銭昭和11年3月17日」「新橋5銭日付なし」「品川5銭昭和13年1月5日」で、まず日付の入っていない新橋の発売時期を知りたいと思いました。

20140514_01.jpg ▲中村俊一朗コレクションより
 明治から昭和戦前期の入場料の変遷は以下の通りです。入場券の登場は明治30年です。

明治30(1897)年 2銭
明治44(1911)年 5銭
昭和17(1942)年 10銭


 明治44年から昭和17年まで30年余り5銭だったようですが、それでは東京駅の10銭はどういうことなのでしょう。調べて見ると大正7(1918)年に、東京、上野、大阪の3駅の入場料を10銭に値上げしています。さらに昭和5(1930)年には、県庁所在地駅で年間10万人以上の入場券利用者がある27駅も10銭に値上げしました(合計30駅)。2年後の昭和7(1932)年には、10万人以上の利用者のある駅を10銭に値上げしています。
 入場券利用者10万人以上という規定は面白いですね。昭和5年から昭和17年の間で、10銭の入場券の駅は10万人以上の入場券利用者がいたということになります。
 昭和5年10月号の「時刻表」を見ると、入場券10銭の30駅が列挙されています。昭和9年12月号の「時刻表」では6駅増えて36の駅名が並んでいます。これらの駅が年間10万人以上の入場券利用者がいたということなんですね。
 この時期の「10銭駅」の例を示せないのが残念ですが、品川や新橋が10銭でないのが不思議な気もします。
 昭和17年4月1日、入場券は10銭に値上げされました。この時に最低運賃を入場料金とすることも決められました。これまで10銭だった駅は据え置かれたのかどうか、まだ調べがついていません。その後の値上げは以下のようになっています。(最低運賃から推定)

昭和21年3月1日 20銭
昭和22年3月1日 50銭
昭和22年7月7日 1円
昭和23年7月18日 3円
昭和24年5月1日 5円
昭和26年11月1日 10円


 終戦直後のインフレをそのまま反映して毎年のように値上げが行われています。全国ネットの国鉄のこと、運賃改定にともなう作業はたいへんだったでしょう。
 その後入場料金が20円に値上げされるのは昭和41年3月5日、15年近く値上げされなかったのは、これも驚きです。戦後の変遷については次回に。

編集部 田中比呂之(ひろし)

2014年05月14日   その他   タグ : 入場券, 切符

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