早起きはどちらかというと苦手ですが、起きてしまえば朝は気持ちが良いものです。早朝の電車に乗ると当然のことながら、乗客がそれなりに乗っていて、皆さん、どちらへ?などと余計なお世話なことを考えてしまいます。
関東鉄道の全駅撮影をめざして、まず秋葉原に向かいました。つくばエクスプレスには、乗りつぶしで乗って以来です。この電車の加速とスピードには前回乗車したときにも感心しました。
守谷で関東鉄道に乗り換え。ちょうど守谷始発下館行きの快速に接続していました。この快速で下館まで行きます。守谷から各駅停車だと1時間以上かかりますが、この快速は47分で走ります。
天気は良いし、気になるほどの風も吹いていません。水海道を過ぎてしばらくすると平野の向こうに筑波山が見えてきます。この山を見るたびに「山高きが故に尊からず」という言葉を思い浮かべます。この山を深田久彌は百名山に数えました。
乗客数人になって下館に到着しました。9時12分。ここ下館から全駅撮影を始めました。取手まで25駅あります。水海道までの単線区間はおおよそ30分毎の列車間隔ですが、一定ではありません。駅で貰った時刻表を見ながら、行ったり来たりしようとしたのですが、どうもうまくいきません。
騰波ノ江では関東レールファンCLUBの人たちが、駅舎内で模型を楽しんでいました。それとホーム横にレールを敷設して、1分の1も楽しんでおられる。うらやましい環境ですね。駅舎を買い取って、趣味の部屋にするのは、私のいくつもある夢想のひとつですが、こうして実現している人たちがいるとは知りませんでした。
他の駅では待ち時間を持てあましていたのに、ここでは待ち時間が10分もなく、入場券をいただいて、後ろ髪引かれるように騰波ノ江を後にしました。
宗道は古い駅舎でありませんが、ちょっと変わったデザインの駅舎でした。ここからは筑波山が見えます(電線に邪魔されていますが)。何故か筑波山は気になる山です。
▲駅舎の向こうに筑波山が見える
単線区間が終わる水海道に辿り着いたのは15時半でした。この先取手までは複線で、列車本数も増えるので、夕暮れまでには取手に着くことができます。出直さなくて済みそうです。相模線では北茅ヶ崎を撮り残してしまいました。
▲小絹駅。ホームにこれほどの大木があるのは珍しい
この日私は「常総線1日フリーきっぷ」を使っていました。水海道〜取手間は自動改札が完備されていて、しかも無人の場合がありました。小絹で改札を出ようとしたところ、自動改札が閉まっているので、横にあったインターホンのボタンを押すことになります。カメラに切符を見せました。駅舎を撮影して入場するときも同様です。無人駅でこれを繰り返すことになりました。
新取手でも同様に、インターホンのボタンを押し、「どうしました?」と聞かれ、切符をかざし「出ます」と答えて、改札を通りました。駅舎を撮影して、改札口に行くと、先ほど通った改札機の羽?が片側が開いたままになっていました。インターホンのボタンを押すのが面倒なので、そのまま通ってホームにあがりました。
ホームのベンチに座っていると、「さきほど改札を通ったお客様、インターホンまでお越しください」と構内放送がありました。改札に向かいました。ホームを歩いている間にまた放送があり「女性のお客様、不正乗車とみなしますよ」。ホームには2人組の女性客がいて、そのひとりも私と同様、改札のインターホンに向かいました。
インターホンのボタンを押し、切符をカメラに見せようとしたところ、「お客様ではありません」と言う。改札近くにいた別の女性は、自分のことからしらと慌てていました。
「不正乗車」は穏やかな言葉ではありません。呼ばれた女性が実際どうだったのか知りません。しかしホームにほとんど人がいなかったとはいえ、「不正乗車だ」と放送されて呼び出されるのは、穏やかではありませんね。インターホンで本人に事情を確認してから発しても遅くはない言葉でしょう。
私の持っていた「常総線1日フリー切符」は厚手の紙に印刷された切符で、磁気券ではありませんでした。これが磁気券であれば、自動改札を通るだけですから、いちいちインターホンのボタンを押さなくても済みます。
新取手のこの件で、せっかく朝から楽しく駅の旅を楽しんでいたのに、気持ちが暗転してしまいました。取手から我孫子に移動して、「唐揚げそば」を食べて気を取り直しました。
編集部 田中比呂之(ひろし)