そういえば名古屋付近のフリー切符があったなと思って調べて見ると、名古屋を中心とした「青空フリーパス」と静岡を中心とした「休日乗り放題きっぷ」がありました。
「休日乗り放題きっぷ」は国府津(御殿場経由)~豊橋、富士~甲府までが乗り放題です。国府津では販売していないので、熱海の新幹線窓口で買うことになりました。まず函南で降りて撮影をしてから、静岡まで乗り通しました。函南には「新幹線」という地名があるそうで、心惹かれる響きですがまたいつか。
今日のブログのテーマは岳南鉄道ですから、東海道本線の話は別の機会に譲ります。伝統ある大幹線なので、静岡から沼津までひと駅ずつ辿るだけでも見どころ満載でした。ことしは東海道本線全駅撮影に挑戦しようか秘かに思っています。
というわけで、静岡からひと駅ずつ下車して、吉原まで戻ってきました。岳南鉄道には昨年吉原本町まで乗車しています。ここから先は10年ぶりです。この駅めぐりの旅は事前の準備をほとんどせずに出かけて、その場で考えながら乗り降りすることにしています。
岳南の吉原駅の古色蒼然とした雰囲気は、私のお気に入りの最上位に入ります。まず全線フリー切符を買い、時刻表をもらって電車の時刻を見ると、30分毎の運転です。吉原を除いて9駅。全駅撮影をしようとすると単純には5時間近くかかることになります。もちろんそんな時間はありません。
▲岳南吉原駅改札
元井の頭の7000形電車に乗り込み、駅間距離を体感しながら終点の岳南江尾まで行きました。江尾に着いた時は私と同好の人だけになっていました。電車は4分で折り返します。同好の人は慌ただしく写真を撮って、戻りの電車に乗り込んでいきました。私は隣駅神谷まで歩くことにしました。観光地でもない初めての土地の住宅街を歩くのは、鉄道ファンの喜びでもあります。
神谷からひと駅須津まで電車に乗りました。須津=すど、と読みます。「津」を「と」と読ませます。「愛知御津」も「あいちみと」でしたね。須津から岳南富士岡まではたいした距離ではないと思っていたのですが、途中に川がありました。岳南鉄道の橋を渡ってしまえばなんともない距離ですが、道路橋はかなりの迂回になり、夏のような気温の中、タオルがびっしょりになりました。
▲屋根と柱は岳南のトレードマーク 岳南江尾と須津
▲岳南原田と本吉原
岳南富士岡に留置中の電気機関車などをじっくり撮影したいと思っていたのに、持ち時間は5分ぐらいしかありませんでした。電気機関車たちはよく整備されているようでしたが、貨物輸送が廃止になった今、先行きが不安です。機関車だけでなく、この鉄道自体の先行きが不安です。富士岡からは双子の女子校生と20代の女性と私の4人だけの乗客でした。
比奈で下車。富士岡も比奈も10年ぶりにもかかわらず、ほとんど風景が変わっていませんでした。側線に貨車が1両もいないのが変わったところでしょうか。ここからまた歩きます。岳南原田まではそれほどの距離ではありません。巨大な工場を見ながら、15分ぐらい。岳南原田の駅舎も良い味が出ていました。ここで上下列車が交換します。
本吉原までひと駅乗って下車。ここには駅舎がありません。また歩きます。疲れが足にきています。吉原本町経由ジヤトコ前まで歩きました。へとへとでベンチに座り込みました。
ジヤトコ前から吉原まで電車に乗っている時は、今日はこれでおしまいにしようかと思いました。吉原に着いてから思い直し、原、片浜の2駅を撮影して(東田子の浦は昨年撮影しているので割愛)、沼津から御殿場線経由で帰ってきました。この日は27126歩、廃線跡歩き並の歩数でした。
編集部 田中比呂之(ひろし)