駅名標のデザインは多くの鉄道ファンが気にしているのではないかと思います。私もそのひとりです。列車からホームに降りると、まず駅名標を探します。そしてたいてい写真を撮ることになります。
少し前までは駅名の書体に興味の主体がありました。さまざまな書体があり、鉄道会社によってかなり違いもあります。いずれ駅名標書体の研究を本格的にしてみたいと思いつつ、かなりの時間が経過しています。
近頃は書体よりも駅名標そのものの形に興味が移っています。特にホームに建植(この言葉が適当なのかは不安です)してある駅名標の形が気になっています。それで気になる駅名標をいくつかご紹介してみます。
まず「標準型」と言える駅名標からと思って手持ちの写真を探してみると、木造のものがなかなか見つかりません。私が「標準」と思っているのは、いわゆる国鉄型です。木造ではありませんが、例えば下の写真の南武線久地と鶴見線新芝浦が私の標準です。書体、文字の配置なども含め、これを「標準」としています。ただし現在の駅名標の標準ということではありません。
常磐線末続は緑の太線が入ってJR東日本仕様になっていますが、形そのものは標準型と言えるでしょう。上部に蛍光灯が入っています。奥羽本線鷹ノ巣は枠の鉄棒が薄い緑色に塗られています。
木造のものを探したところ、木造風の金属製ながら「昔デザイン」を高崎線でいくつか見つけました。
枠の鉄棒に着色してあることに気づいたのは、青梅線の乗った時でした。緑色に塗られていました。こういう時つい青梅鉄道時代の伝統か、などと考えてしまうのですが、五日市線、八高線、川越線でも緑に塗られた駅名標を発見して妄想は撃沈しました。
形が明らかに違って他線でも今のところ見かけていないのは、「相模線仕様」です。これも相模鉄道以来の伝統かなどと思ってしまいましたが、国鉄買収後開業の駅にもあって、仮説は1時間もしないうちに崩れました。
関東鉄道常総線の駅名標も他線には見られない独特の形をしていました。ただしこれどこかで見覚えがあるな、と考えていたら、鹿島鉄道の駅を丁寧に解説いただいた「KINU」さんがすでに指摘しておられた形でした。
鉄道は全国にあって、地域色、会社色があって当然なのですが、形そのものはだれがどのように決めているのでしょうか。今はその色や書体より気になっています。
編集部 田中比呂之(ひろし)