5月に静岡から函南まで駅舎を撮影した折、興津、蒲原が昔ながらのコンクリートの駅舎だったことで、木造とコンクリートの造り分けは何だろうと思い始めました。例によって答えがあるわけではありません。
ここで言うコンクリート駅舎は、改札・待合室・駅事務室で構成されているコンクリート駅舎を指します。つまり木造でも良いのではないかと思われる駅舎です。興津や蒲原のようなコンクリート駅舎は全国にたくさんあるかと思います。
例えば九州などは台風が多いのでコンクリート駅舎が比較的多いのだと言われるとつい頷いてしまいます。筑豊本線若松から折尾まで乗車したとき、確かにコンクリート駅舎をいくつも見たので、「やっぱりそうか」などと思ったのですが、考えてみれば台風が多いのは九州ばかりではありません。
駅めぐりで撮影したコンクリート駅舎をいくつか並べてみたいと思います。まず興津や蒲原に似ている駅舎から探してみると、総武本線旭、青い森鉄道小湊などが似ています。
私の世代が「新校舎」といっていた昭和40年代に建てられたコンクリートの校舎に似ています。旭や蒲原の横長駅舎の撮影には苦労しました。
戦前には小ぶりで粋なコンクリート駅舎がありました。写真でしか見たことはありませんが、小海線の野辺山など実際に旅先で見たら、一生忘れないような佇まいです。しばしば取り上げられるのが、相模線の社家と倉見です。現存する2つの駅舎は今でも小粋です。
関東鉄道の戸頭駅はモダンですが、なぜコンクリート製なのかと思った駅舎です。設計者の思いがこもっているのかもしれません。
最後に思いがこもり過ぎ、強烈な個性を周辺に振りまいているコンクリート駅舎をご紹介しておきます。総武本線飯岡です。この日は総武本線の駅を成東からひとつずつ訪ねて、古い駅舎などを楽しんできたのですが、この駅舎が目の前に現れたときは仰天しました。写真をご覧ください。
追伸
「小心火車」さま、さっそく新幹線車窓写真をありがとうございます。「雪の冠 雲の帯 いつも気高き姿にて」の富士川橋梁の写真、感動しました。
編集部 田中比呂之