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『昭和天皇実録』と鉄道

 今日9月9日は『昭和天皇実録』の公開日だそうです。先月21日に天皇陛下に奉呈された際に、新聞・テレビで一般に知らされました。その記事の中で、一般公開(情報公開)は9月中旬とありました。その日付は9月17日と聞いていましたが、実際には今日9日になりました。この一般公開日が早まったのは、10日発売の『文藝春秋』の「功績」ですね。

 それはともかく私も『昭和天皇実録』の刊行を待っていたひとりです。長年お召し列車の全記録をまとめたいと思ってきました。その試みとして「日本鉄道旅行地図帳」8~10号で明治、大正、昭和3代のお召し列車の記録を一覧表にしました。昭和天皇は昭和29年の戦後巡幸までの記録です。
 例えば明治天皇については『明治天皇記』13巻が刊行されていて、行啓幸の記録がつぶさに記録されています。その中からお召し列車を仕立てている可能性のある記述を抜き出し、当時の新聞記事などで確認するという作業を繰り返しました。
 漏れ伝わってきた話では、『昭和天皇実録』の行啓幸の記録は、かなり詳細な記述があるとのことです。これで昭和天皇のお召列車の運転記録をつぶさに知ることができそうです。D51やC51など牽引機の形式を記している場合もあるそうで、ファンとしてはそれも気になります。
 さらに昭和28年10月19日の項には牽引機の番号も記されていて、号機まで明らかにされているのはここだけかもしれません(『昭和天皇実録』は1万2000頁なので断言はできませんが)。
 昭和天皇は松山で開催された国体の開会式に臨むため10月19日9時10分にお召列車で東京を発ちました。このお召列車の牽引機こそロイヤルエンジンことEF58-61でした。ご出発前、昭和天皇はホームで国鉄関係者から新製電気機関車の説明を受けたそうです。
 61号機はこの年7月に日立製作所で完成、予備機である60号機も同月に東芝府中工場で完成し、10月の本番に備えていました。 20140909_01.jpg
▲東京機関区昭和46年2月撮影
 昭和28年当時東海道本線の電化区間は東京~名古屋間、初お召しの61号機は名古屋まで牽引してC59−15にバトンタッチしました。復路名古屋~東京間は60号機が担当しました。お召し機のデビューは、番号付きで『昭和天皇実録』に記録されました。
 昭和39年10月1日、東海道新幹線が開業しました。今年50周年の迎える東海道新幹線に昭和天皇が初めて乗車したのは、昭和40年5月7日でした。東京9時30分発、8両の特別編成を使用しました。
 浜松〜豊橋間では運転席で関係者から説明を受け、そのご感想が御製として残っています。特に初公開というわけではありませんが、新幹線初乗車の記録とともに、昭和天皇がこの時詠んだ歌も記されているとのことです。

四時間にてはや大阪に着きにけり新幹線はすべるがごとし

避け得ずに運転台にあたりたる雀のあとのまどにのこれり

 鳥たちも新幹線のスピードに慣れるまで時間がかかったようです。1日もはやく『昭和天皇実録』を読んだみたいですね。お召列車の研究では第一級の史料であることは間違いありません。

編集部 田中比呂之(ひろし)

矢来町ぐるり内に特設ページを開設しました!

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掲載できなかった写真を区間ごとに海側、山側で分けて掲載しています!

2014年09月09日  

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